「無理題の種」として、源氏物語を使おうと考え始めたのは源氏物語を読み終えた時でした。

 「桐壺」から9題を選び、それについての、諸説を整理しました。既に明らかにした

書籍(6種)を参考として使うことにしました。その段階では、私は専門の学者でもなく、知識もないので、ただ、「ここを使うと無理題になりますよ。どの説が正しいかわかりませんが」という姿勢でまとめました。


 ところが、その書籍の示す説にどうしても納得いかない説があることに気付きました。この際、私だったらこう考えるということを明らかにしてもいいのではないかと思うようになりました。そこで、どのようにそれを示すかと毎日考えあぐねていたところ、眼の前に「CELL CHECKER」という乾電池の残量を計る器具があったわけです。


 「よし、これを正解度チェッカーとして使おう」ということにしました。簡単に言えば、これが正しいだろうという説をこのチェッカーに掛けると、正解であれば、グリーンゾーン(右20%)に、無理題として問題があれば、レッドゾーン(中央60%)に、もし、間違った答えだったら、ブラックゾーン(左20%)に針がふれるといったものです。くわしくは、『「無理題」こそ「難題」』14頁をご参照ください。


 このチェッカーは私の考える正解度を表します。だから、私の源氏物語の読み方のリトマス試験紙の役割を果たします。これを使って諸書籍を比べたところ、「谷崎新新訳」がもっとも私の理解力に合っているという結論を得ました。(本書46頁)


 勿論、諸説それぞれ、一流の学者が本気で考えてのことですから、どれが正しいと結論づけることはできません。ただ、このチェッカーを使うと、その人それぞれの好みが説明できるのではないかとして面白がった代物です。


 『謹訳源氏物語』をこのチェッカーにかけた報告は既にこの「無理題に遊ぶ」というブログでいたしました。

 ところが、今日また、「中国新聞」の文化欄に、この『謹訳』の紹介がありました。リトマス試験紙にかけた『謹訳』をもう一度くわしく来週は書こうと思っています。