[前書き] 連れ合いがテレビを見ていて、「浅田真央ちゃんがかわいそう、彼女はもうすでに、日本人の可愛らしさ、品格、節度のある人間性を世界に見事に示しているではないか、マスコミの、この上、金メダル至上の報道は我慢ならない、それをブログに書いてくれ」という要求を、まったく同感、フリーの演技前、今しかないので書いておきます。勝っても負けても関係がない、私は絶対に見ません、彼女はまったく責任を果たしました。


 卒業式のシーズンが参りました。私にも、卒業生に残す言葉を書いてやって欲しいと、教員の寄せ書きが届けられました。


 私は、残った小さなスペースに「本物は重いよ!」と書きました。


 私が、公立高校を退職して、私立高校の教員になって、まず副担任としてついたのが、Tという英語の教員でした。彼は、私より16歳年下でした。彼は、全共闘の学生運動のまっただ中にあって運動に本気だったようですが、他の多くの学生と同じく落ちこぼれたようです。シャイで、ハスにかまえて、どうしようもなく生徒にやさしく、私を時にいらいらさせました。よく一緒に酒を飲みましたが、私は酔うと、『神田川』を歌い、「あなたのやさしさが恐かった」と冷やかしたものです。


 しかし、その英語の実力は本物でした。私は以後十数年彼と一緒に教員生活を送りました。私は当時学会誌『解釈』に投稿し、掲載を許されましたが、その表題は英語で書くことを要求されました。たとえば、「敬語について」、「係り結びについて」、「『正徹物語』の本文の考察」など。英語のまったくわからない私は、すべて彼にお願いしました。「On Honorific」、本当にお世話になりました。そして、日頃、日本語と英語の違いを常に話をし、若い彼に言いようのない知的刺激を受けていました。


 「Dream Come True」のこと、学校の中庭に藤棚を作ると言いだしたこと、卒業記念碑の英語の綴りの誤りをいち早く発見して、削り直させたことなど思い出がいっぱいあります。


 その彼に病魔が。