若山牧水の

   幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく (別離)

 牧水の有名な歌であり、国語教科書にも載るものですが、この初句「幾山河」はどう読むのでしょうか。

 信頼出来るテクスト『現代日本文学全集』(33)は「幾山河(いくやまかは)」とルビを付しています。

 また、他書もほとんど「いくやまかわ」と読んでいます。「いくさんが」と読んだものがあるか探しましたが、今のところ見あたりません。

 ただ、『日本名歌集成』(平岡敏夫)は、「文字どおり牧水の代表作として今日なお愛唱されている名歌だが、読みの上では一定しておらず、文法的問題もある。」と述べています。

 「読みの上で一定していない」部分は他には考えられず、「幾山河」を「いくやまかは」と読むか、「いくさんが」とよむかの問題でしょう。「いくやまかわ」と読むと字余りになることもあって、あるいは「いくさんが」せつもあるのでしょうか。


 私は、「いくやまかわ」と読むのだろうと思います。そして、そう読むことを昨日述べたCCにかけると、CC=80以上のグリーンゾーンに針は飛びます。しかし、なお、微かではありますが、疑念があります。これを思うとやはりレッドゾーン、CC=75ぐらいでしょうか。


 もし、この「幾山河」の読みが入試に出題されるならば、「無理題」として考えるべきだと私は思っています。そして、「無理題」の境界はこのあたりかなということを書いておきたいと思っています。