「お父さん、お帰り」
玄関を開けると、娘が走ってきた。
その手には、半分解けかかった小さな雪だるまが乗っていた。
「お父さんも、雪だるまだね」
頭に手をやると、うっすらと白い雪が積もっていた。
あの雪の中、何時間立っていただろう。
少しも寒さを感じなかった。
今でも体は火照っている。
早く一人になりたい。
計画を練り上げなくては。
あいつだけにいい思いはさせない。
「この事件って、あなたの会社の近くじゃないですか」
表情を曇らせた加奈子が、テレビのニュースに目をやる。
「営業で外に出てたから、何かあったのか?」
「例の殺人犯よ」
「……例の?」
「黒い天使よ」
灰色の空から白い雪が降ってきた。
どいつもこいつもそんなに急いでどこに行く?
今から、楽しいことが始まるのに。
楽しいニュースの始まりなのに。
それは、通りの向こうにあるコンビニの前に置いてあるんだ。
誰か早く開けてくれ。
おかしいと思わないか? 奇妙だと思わないか?
そんなものが置いてあるのは。
いつまでも、待たせるつもりなんだ。
手にした缶コーヒーも冷たくなってきたんだ。
早くしろ!
その時、一人の店員が出てきた。
店員はそれを見つけ首をかしげた。
何を考えている、早く開けるんだ!
誰かが、肩を叩いた。
不意に振り返る。
冬の街を凍らせる悲鳴があがった。
どいつもこいつもそんなに急いでどこに行く?
今から、楽しいことが始まるのに。
楽しいニュースの始まりなのに。
それは、通りの向こうにあるコンビニの前に置いてあるんだ。
誰か早く開けてくれ。
おかしいと思わないか? 奇妙だと思わないか?
そんなものが置いてあるのは。
いつまでも、待たせるつもりなんだ。
手にした缶コーヒーも冷たくなってきたんだ。
早くしろ!
その時、一人の店員が出てきた。
店員はそれを見つけ首をかしげた。
何を考えている、早く開けるんだ!
誰かが、肩を叩いた。
不意に振り返る。
冬の街を凍らせる悲鳴があがった。
