◆長火鉢に炭を熾して・・・(陶芸)◆ | 頑固オヤジの、ばり雑言!!

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今シーズン初めて長火鉢に熾した炭を埋けで、火遊びをした。

 

 

 

和室に置いた長火鉢の右奥に有るのは、女房のところから持ってきた棚とアタシの作品の染付人形。これと同じ人形が左の出窓に置いてある。

 

この長火鉢は猫板が割れていた為、安く手に入れられた。それくらいの修理はお手の物、色と引き出しの配置が一目見て気に入った。

 

 

 

飛青磁水指の蓋が割れたので、それを金継し火消壺にした。

 

右の鍋敷きはお手製、今ならこの手の鍋敷きはネットでも売っているが、これを作った大昔は何処にも売っておらず、たまたま目にした写真を参考に、こさえてみた物。

 

 

 

炭籠はネットで買ったバスケットに、柿渋を塗った物。炭の粉が落ちない様に、柿渋を塗った和紙を内側に貼った。

 

 

 

炭起こしに消壺の中の炭を入れ、ガスの炎で火を点ける。

 

 

起こした炭を長火鉢の灰に埋けるが、この時部屋の窓二か所を少しだけ開けて置く。こうしないと、一酸化炭素中毒になる恐れあり!!

 

以前これをせずに炭を熾していると、ガス警報器が鳴り出して、その音にびっくりしたことがある。

 

 

 

 

 

 

長い事使っていなかった火鉢の灰は湿っている、てぇことで、炭の火力が小さくなる。そんな時は火吹き竹で一吹きすれば、御覧の様。

 

陶芸を始めた当初から工房では火鉢に炭を熾し、湯を沸かしたり料理をしていた。調理に炭を使うのはついで、主なる目的は灰をとる為。

 

アタシの使う釉薬は全てオリジナル、陶芸家なら当たり前だが、その釉薬を作る材料にこの灰を使うのである。

 

釉薬材料に天然土灰と合成土灰、てぇのが有る。合成土灰てぇのは科学的に灰の成分に似せて作った物。天然土灰てぇのが、この手の灰のことを言う。

 

どうせ使うなら良い材料、ところがこの天然土灰てぇのは高価な材料、んなら、手前で作っちゃえと、火鉢の灰を使うのである。

 

薪を燃やしての灰作りは、スゲー面倒、時間がかかるが、炭の灰を集めた方が使いやすい。

 

昔から年寄りが囲炉裏で燃やした粗朶の灰が良い、と言われている。燃えカスが残らない様、じっくり燃やした灰が良いと言う事。

 

大昔の陶工には、これらの灰を使うと言い釉薬になると、言い伝えられていた。

 

 

 

鉄絵一円相水指

 

 

 

灰釉抹茶椀

 

 

鉄絵散松葉紋手付鉢

 

 

 

鉄絵馬図灰釉大壺

 

この大壺は、輪積みてぇ技法でこさえたもの。その輪積みを、横浜線沿線の光学ガラスを作る工場で目にした事が有る。

 

レンズを作るガラスを梳かすルツボ(炉)を輪積みで作っている職人に、思わず声を掛けたのは大昔。

 

柔らかく練った粘土には、焼成時の収縮防止の為、大量のシャモットが混ぜられていた。越前や大谷とは粘土の使い方が違ったが、基本は同じ。

 

 

 

折れ松葉図割山椒

 

 

 

鉄絵草紋鶴首瓶

 

その土灰を使って焼いた作品が、これらの品。灰と石だけの昔ながらの釉薬だが、その調合比や微妙な焼き加減で作品の色が変る。

 

市販の釉薬を使ったんじゃ、こんな作品にはならねぇよ・・・・。

 

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