近所のスーパーに欲しい食材が無かったので、隣町の庶民的なスーパーへ行った。気取った店が多くなったこの辺りだが、このスーパーは昔ながらの佇まい、てんで、アタシの探している物があるだろうと、出かけたと言う訳。
此れなら何とか使えそう、てぇもんを買い、奥沢神社の前を抜けて帰宅した。
半世紀上前のこの辺りは、彼方此方に畑の残る新興住宅地、夏場になるとこの神社の周りで月に三回縁日が行われた。
その時この灯篭の右後ろで居合抜きの爺さんが真剣を振り回し、わずかなお足を稼いでいた。
街中で真剣の抜き身を振り回しての居合抜き、いまではとうてい考えられぬ事を、昔は当たり前の様に見世物としてやっていた。
細身で小柄な爺さんが、佐々木小次郎が持つような長刀を抜き放ち、ひざまずいた老婆の首筋に置いた大根を、真っ二つに断ち割る技は、迫力満点だった。
お袋が緊急入院した病院がこの神社のすぐ側、てぇ訳で、毎日病室に向かう前に、この社の前で一日でも早い病状の回復を祈ったもんだった。
信心深くないアタシでもお袋の事となると話は別と、、真剣に氏神様に回復をお願いした・・・・。
態々隣町のスーパーに買いに行ったのは谷中、育ちすぎて燕になってしまった谷中だが、古漬けを刻んだカクヤは、こいつが無いと旨かない。どうせ食うなら旨いものをと、その食材を手に入れるのには、労を惜しまない・・・。
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