演目を教わって、中トリの歌之助師「善光寺骨寄せ」と、トリの春蝶師「高尾」の二席を是非と思い立ち、久しぶりに喜楽館へ
寄席で見るのは初めてではあったが、“大昔”に録画した先代の高座が自宅のビデオライブラリーの中にあり、見台の上で骸骨模型が組み上がっていく場面の記憶があったのだが、当代は人間等身大の骸骨模型での大がかりなものになっていてビックリ
たまに上手く組み上がらないらしく、ほな小さいのにしとかはったらエエのにとか思いつつも、当代の演出の妙味を存分に楽しんだ
言うたらナンやけど、先代よりずっと明るくて華がありキレのある高座で、早世されたのは残念過ぎたったが、当代の高座姿は喜んでおられるのではないだろうか
そしてトリの、師匠の三代目春団治が亡くなってから、とんと見なくなった「高尾」
のっけから“春蝶節”の効いたセリフで、どうしても三代目のイメージが強い「高尾」を、イッキに「春蝶噺」へと持ち込んでいく流れが見事
それでいて、高尾が“立ち昇る”場面での所作は三代目を彷彿とさせる華麗さで、三代目の高座を思い出してウルウルしてしまった
しかしその後は更なる“春蝶節”が炸裂
絶対に三代目に怒られるわと、要らぬ心配をしてしまう演出で爆笑を取りつつ、ラストシーンはまさかの展開
個人的に「高尾」は、オチが弱い、尻すぼみ感のある噺だと感じていたが、そのイメージを一新する斬新さ‼️喜六の切なさ全開の「高尾」が、“春蝶ワールド”に取り込まれたことで、心温まる噺に昇華されていた
三代目ゆずりの所作が似合う華と、自身の内に滾る狂気をスパイスに、“エエ具合のボンボン”からにじみ出るのであろう優しさが産み出した「高尾」に触れて、ホンマにクソ暑い中を新開地まで来た甲斐が大いにあった
ちなみに、
「途中で絶対に三代目に怒られる思いました」
と言うたところ、
「はい、絶対に怒られます」
とのお返事に爆笑したところ、的な写真