誰が“怪物”？
何が“怪物”？？
“怪物”とは何なのか。
シングルマザーの早織（安藤サクラ）は、息子の湊（黒川想矢）がイジメに遭っている様子を見てとって学校に抗議に出向く。
校長（田中裕子）と教頭（角田晃広）が、担任教師の保利（永山瑛太）から謝罪させる対応をとるが、保利の態度には反省している様子が全く感じられなかった。
仲良しであるはずの湊と依里（柊木陽太）の間で何かあったのか。同級生の子供達からも要領を得ない。
早織は、かけあっても響く様子の無い教師達を追及していき、やがてメディアも巻き込む騒動へと発展していく…
親の視点に始まり、対峙する教師達が“怪物”に見え、「あー、このことか」と思っていると視点が変わり、教師達の間で何があったかを見ていると、抗議に来た早織が“怪物”に見える。
そして子供同士、湊と依里が仲良く行動を共にする様子が描かれると、オトナ達の行動が全て思い込みによる妄動に見えてくる…
物事を見る角度が変わると、見える“怪物”が全く違ったものになる。
“怪物”はいたのか？いるのか？
そもそも“怪物”とは一体全体何なのか？
衝撃的なタイトルに引きずられているうちに、物語の中にどっぷりとはまりこみ、思考の沼でもがきながら、夢とも現ともつかない世界へと導かれていく。
振り回される映画体験が鮮烈な、ヒューマンドラマの傑作
「怪物」
2023年／日本
監督：是枝裕和
脚本：坂元裕二
出演：安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子