「ドーン」
- ドーン/平野 啓一郎
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やっと、読み終わりました。
明日の返却期限ぎりぎりでした。
「2033年、11月6日午前10時17分、人類は、
ついに火星の上に降り立ちました!」
2000年生まれの子が、宇宙飛行士として活躍する近未来の話。
日本人宇宙飛行士、佐野明日人(アストー)が、
無事任務を終えて帰国したものの。
華やかな経歴の薄皮一枚はがした下には・・・
そもそも、医師をしていた明日人が、
宇宙飛行士になったのは、
東京大震災で息子を亡くしたこととも関係していた。
さらに、地球を飛び立ってから、
閉塞した人間関係の中では、
いつも同じ人格しか出すことができず、
ストレスになっていく。
(普段なら何気なく、ネットサーフィンでもして、
気晴らしをする事が出来るがそういうことも出来なくなる。)
ついに一人のクルーの気が変になってしまった。
隔離して、交替でクルーの介護をする事に決めたものの、
明日人の前の当番の人が尿袋の交換をさぼったりする。
(明日人は、自分に与えられた貴重な水を使ってまで下の世話をしてあげたりする)
しかし、女性クルーの一人を妊娠、堕胎させてしまっていたり、
自分自身もコカイン中毒になっていたり・・・。
その間、地球に残した妻は浮気をしていたという噂が流れたり。
帰還してからぼろぼろと、ネット上でいろんなことが憶測と共に暴露されていく。
なんだか、ふんだりけったりの、人間くさい物語と並行して、
アメリカの大統領選に絡んで、
東アフリカ戦争やら、
殺人兵器の蚊”ニンジャ”や、
可塑整形といったものがキーワードとなって、
政治の話も絡んでくる。
町中に張り巡らされている防犯カメラから、
人の動きを追跡したり、別の幻影を作り上げることが出来たり、
ウィキノヴェルという小説が乱立したり・・・
という、ちょっとSFっぽい話が加わって・・・。
結局、期待していた、宇宙人
”メルクビーンプ星人”は妄想の中の話で残念。
なぜ、自分が選ばれたのか、と振り返ったときに
”死んでも良いと思っていたからだった。”と。
再読したいかというと、もういいかな、という気がするが(長すぎ!)、
近未来的な部分は本当にそうなりそうな気もするので、
その部分だけは忘れないでおきたい。
メンタルな部分が一番もろく、大切。そういうことかな。