根菜がヒット。スチームや焼きで食べている。 | 村山涼一のマーケティング備忘録

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大根やニンジン、芋類などの根菜の売れ行きが好調だ。東日本大震災後、主に首都圏のスーパー店頭では野菜全体の価格が前年を下回る傾向が続くが、販売数量は回復途上。


こうした中にあって、常温でも貯蔵がきく安心感からか、根菜類をまとめ買いする消費者の姿が目立つ。電子レンジで便利に使える器具などの普及で、調理の幅が広がったことも需要拡大の背景にあるようだ。


-食品スーパーのいなげやは1~4月、野菜全体の販売数量は前年割れが続き、5月に入りようやく前年同月比1%増まで回復した。けん引役は初旬に新物が出回り始めたジャガイモやゴボウ、タマネギなどの根菜。


-首都圏が地盤のサミットも、5月は価格が前年より約2割下がった葉物の販売数量が前年割れを続けるのに対し、22日までに大根は前年同期比7%増、サトイモは同35%増となった。


-生活協同組合のユーコープ事業連合(横浜市)も「貯蔵性が高い」(青果担当)ジャガイモが5月は前年比86%増、ニンジンは同25%増のペースだ。


-根菜がいち早く売れたのがインターネット販売や宅配。有機野菜を手掛けるオイシックス(東京・品川)は売上高が3月に前年比2割増にはね上がり、4月中旬まで2ケタ増の伸びが続いた。


-らでぃっしゅぼーやも3月が1割増、4月は6%増だった。


食生活に詳しい電通総研の大屋洋子主任研究員は根菜人気の理由を「様々な料理に使い回しがきき、作り置きができるため」と分析する。


電通総研が4月11~12日にネット調査した「震災1カ月後の生活者意識」の「食関連の意識・行動変化」では、女性の約6割が「買った物は使い切る」と答えた。


震災直後の品薄や原発事故による混乱を経て、安心できる食材をできるだけ確保し、効率よく使いたいという意識が高まった。これに根菜類が合致したようだ。この動きは東日本が顕著で、関西などでは売れ行きに大きな変化は見られない。


需要拡大には、根菜を調理しやすい器具の普及も一役買っているとみられる。西武池袋本店では震災前に前年比1割増の売れ行きだったシリコンスチーマー「ルクエ スチームケース」(5000円前後)のうち、根菜の調理に向く底が深いタイプが5月1~22日で前年同期比5割増となった。


火の通りやすいオーブンレンジも売れている。GfKジャパンによると1~3月は前年同期比3~7%増だったオーブン機能つき電子レンジの販売台数が4月に同2割増と急伸。5月も22日までに12%増と好調を維持している。


以上、日経電子版。


葉物がダメ、野菜は使い切りたい。でも日持ちするもの。という代替性で根菜か。しかしおもしろいのは、それらを煮物としてではなく、スチームや焼きで食べようという姿勢が売れている調理器具から分かる。


確かにこれから暑くなるので煮物の痛みは早くなる。ならばスチームや焼きでさっと食べてしまおうと思うのは合点が行く。


代替、しかし根菜さえも葉物のように新鮮なうちにスチームや焼きで食べようという意志、姿勢。消費者の合理性は桎梏の中で成長している感がある。