今回の記事は「核融合は簡単に起こせるが、核融合発電は永遠に《見果てぬ夢》なのではないのかと感じさせるほど難しい」という話です。
なぜそんな難しい核融合発電に人類が挑み続得ているかというと、もし実用化できれば、その先の人類にはエネルギーの心配はなくなってしまうかもしれないからです。
少なくとも、数億年の間は!(^^)!。
まずは、「核融合はわりと簡単に起こせる」という話からです。
核融合がどれくらい簡単に起こせるかというと、原爆を作って爆発させるくらいに簡単に起こせます。
それはすでに水爆実験によって70年以上前に実証済みです。
(原子核を分裂させることによって発生するエネルギーを使った破壊兵器が原爆で、原子核を融合させることによって発生するエネルギーを使った破壊兵器が水爆です)
最初の水爆実験はアメリカが1952年南太平洋のエニウェットク環礁で行っています。
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ではなぜ、核分裂を使った原子力発電が実用化できているのに、核融合を使った原子力発電が未だに実用化のめどさえ立っていないかというと、簡単に核融合を起こせるのは一瞬だけで、しかもそのためには膨大なエネルギーが必要だからです。
どれくらい「膨大なエネルギーが必要か」というと、水爆を爆発させるためには、原爆を起爆剤として使用しなければならないほどに膨大なエネルギーが必要なのです。
なので、水爆という核兵器の容器の中にはもれなく、水爆のほかに、水爆を爆発させるための原爆も組み込まれています。
上の図の《一次爆破装置》のプルトニウムと《二次爆破装置》の高濃縮ウランが核分裂を起こして爆発する実質的な原爆で、《二次爆破装置》の重水素化リチウムの部分が核融合を起こして爆発する、実質的な水爆です。
水爆の核融合には重水素と三重水素が必要ですが、それは重水素化リチウムから自動的に作られるような構造になっています。
どうやって作られるかというと、原爆の熱で重水素化リチウムが分解されて重水素とリチウムになり、リチウムは原爆から放出された中性子を取り込むことによって核分裂して三重水素(とヘリウム)になるのです。
原爆によって発泡ウレタンや劣化ウランが高温高圧のプラズマになって容器内の熱や圧力をさらに高め、それらの総合的な力によって重水素と三重水素が核融合を起こし、水爆として爆発するのです。
このように原爆を使えば核融合が出来、それによって膨大なエネルギーを取り出すことが出来ますが、そのエネルギーは今のところ発電には使えず、何かを破壊することしかできません。
つまり何の役にも立たないのです。
そこで、何とかして発電に使えるようにしたいのですが、これがとてつもなく難しく、最初の水爆実験から70年以上たつ今なお出来ていないのです。
核分裂を使った原発が何故実用化できたかというと、核分裂は、ウラン235に中性子をぶつけるだけで起こせ、その核分裂はある条件下にウラン235がある限り、連鎖し続けるからです。
この連鎖反応が(数万分の一秒というような)一瞬で起こると、その結果として核爆発という現象を起こします。
したがって、核分裂を利用した原子力発電では、この連鎖反応をゆっくりと起こすための制御が必要不可欠となるのですが、その制御は、中性子をぶつけることで核分裂を起こすウラン235と、中性子をぶつけてもそれを吸収するだけで核分裂を起こさないウラン238を混ぜて燃料を作ること、冷却水や制御棒などを用いて中性子の速度や量をコントロールすればできます。
実際にそうすることで、原発は実用化できているのです。
核分裂は、「ウラン235さえ手に入れられるのであれば、そこら辺にあるぼろぼろの実験室でも簡単にできる」と言えるほど簡単に起こせます。
しかし核融合は違います。
それは、たった数個の原子を核融合させるだけでも、途方もない金をかけて作った最新の実験施設の中でしかできません。
私たちの最も身近に存在している、最も完璧な核融合炉は太陽です。

太陽の熱や光は、太陽の中にある2400億気圧、1600万度という環境の中で起こっている核融合によって生み出されているものです。
したがって、それを人間の手で起こすとなると、途轍もない科学技術が必要になってきます。
なぜ核融合にそのような高い圧力と温度が必要かというと、一番大きな理由は、原子核はすべてプラスの電荷をもっているため、二つの原子核を融合させようとしても反発しあって近づけることが非常に難しいからです。
しかも、二つの原子核を近づけたときに生まれる反発しあう力は、近づければ近づけるくほど強くなっていくという厄介なものなのです。
今のところ人類が核融合できるのは、水素原子だけです。
それが「なぜか?」というと、水素の原子核にある陽子の数は1個だけなので(水素の原子核は陽子一個だけで出来ていて、重水素の原子核は一個の陽子と一個の中性子、三重水素(トリチウム)の原子核は一個の陽子と二個の中性で出来ています)、二つの原子核をくっつけようとするときに生まれる反発しあう力が、最も弱いからです。
この反発しあう力を打ち破って、原子核同士が融合する距離まで近づけるために必要なのが、前記しているような高い圧力と高い温度なのです。
圧力を高めることで原子同士の密度を高めることができ、温度を高めることで原子の運動の激しさと速度を高めることが出来ます。
それはそのまま、原子核同士の衝突する確率を高め、衝突したとき原子核同士が近ずく距離を縮めることにつながります。
物質としての原子は、原子核の周りに電子を存在させています。
しかし、原子核の周りに電子が存在していると、これが防御壁となって核融合の障害になります。
そこで、核融合を起こす場合は、原子核と電子を分離してプラズマにします。
電子と分離した原子核はプラスの電荷をもっています。
そのため、前記しているように、二つの原子核を融合させようとしても、反発しあってある距離以上に近づくことはありません。
しかしミクロの世界には、これを超える力が存在しています。
それが陽子や中性子をくっつけて原子核を作っている核力です。
しかし核力は、力は強いが、力が到達するが極端に短いという性質があるため、二つの原子核を一つに融合させるためには、二つの原子核を、核力が働く距離(およそ陽子一個分の距離)まで無理やり近づけてやる必要があります。
その距離まで近づけることが出来れば、核力によって二つの原子核は一つの塊に融合します。
核力が働く距離まで原子核同士を近づけるのに必要なのが、大きな圧力と高い温度なのです。
太陽の中にある2400億気圧、1600万度という環境は、原子核同士が核力の働く距離まで近づくのに必要な運動量や速度や密度の総合的な値の一例ですが、人類には2400億気圧というような圧力は作り出すことが出来ません。
ではどうすればいいかというと、圧力の低さを補うために十分な高温を作り出すことです。
その温度は、最低でも1億度以上になります。
そして、その温度もすでに作り出せています。
問題は、そんな高温の物質(プラズマ化させた原子)を閉じ込めておくことの出来る容器は宇宙のどこにも存在しないということです。
ではどうすればいいかというと、容器に触れないように、容器の壁から離れた状態で浮かせたまま閉じ込めておくしかありません。
そしてこれも、磁場や磁気を利用することで出来ています。
さらにこの状態で、熱を外に取り出して発電することもすでにできています。
では、何が問題となって核融合発電が未だに実用化できていないかというと、今までは、発電するために使ったエネルギーより多くのエネルギーを取り出すことに成功していなかったからです。
これは「核融合発電は本当に実用化できるものなのか?」という問いに、誰も答えを出せていなかったことを意味しています。
しかしこの問題に対しても、2022年12月ローレンス・リバモア国立研究所で実施した核融合実験で、核融合を起こすために使ったエネルギーよりも多くのエネルギーを取り出せたことによって、「核融合発電は実用化できるものである」という答えが出されました。
つまり、それ以降は「核融合発電は実用化できるものなのか?」という問いが「それはいつになるのか」という話に変わってきているのです。
それだけでなく、それによって世界情勢はどう変わっていくのか、勝者はどの国になるのか、絶対的な勝者や、一方的な敗者を生み出さないために世界はどう協定を結んでいくべきなのか、という問題についても考えておかなければならないようにもなってきているのです。
次の記事では、今人類が核融合発電の実用化に向けて取り組んでいる問題や抱えている問題、達成している成果などについてさらに踏み込んで解説していきます。
…ちなみに、ここにこうして紹介していることは、20世紀以降の物理学の極めて表面的な成果についてですが、以下の本は
Amazon.co.jp: 相対性理論 量子力学 ヴェーダーンタで読み解く 宇宙と実在 電子書籍: 村中野山: Kindleストア
もっとはるかに深遠な部分において物理学者たちが、物理学者として発見した自然法則や、ヒンドゥ教の聖典ヴェーダやヴェーダーンタに開示されていた太古の宇宙論や原子論や生命論との邂逅(仏教もヒンドゥ教では異教ではなくヒンドゥ教の一宗派という扱いで、現に密に言えば、仏教哲学や仏教の宇宙論や生命観のヴェーダーンタです)などによって得た気づきや、知見や、宇宙を読み解く論争についてについて紹介しているものです。
今回の記事は以上です。
みんな幸せになりますように。
サイラム<(_ _)>



