核融合発電には複数の異なった方式があって、その中でも特に有力視されているものは ”トカマク型核融合” ”レーザー核融合” ”ヘリカル型核融合” の三つです。

 

まずはこの三つの核融合発電の簡単な仕組みと、その研究開発における、日本の果たしている役割や業績から解説していきます。


まずは、最も古くから注目され研究開発されてきた”トカマク型”からです。


これは超高温のプラズマを核融合炉内の空間に磁場を使って閉じ込める方式です。

 

重水素と三重水素による核融合を地球上で起こすためには、1億度超に燃料を加熱してプラズマという状態にする必要があります。
しかし、どんな物質も1億度超では固体の状態を維持できません。
それは、私たちがどのような物質で核融合炉を作ったとしても、その中で核融合を起こすための超高温プラズマを生成すると、核融合炉はプラズマと接触している部分が蒸発し、崩壊してしまうことを意味しています。

この問題を解決するために考え出されたのが、超高温のプラズマを、超伝導コイルで形成した磁場の中に閉じ込める、トカマク型やヘリカル型と呼ばれる「磁場閉じ込め方式」です。

考案は1950年代で、考案したのはソ連のイゴール・タムとアンドレイ・サハロフです。

トカマク型核融合炉の構造は、以下の画像のようになっています。

 

 

下の図は、上の核融合炉中心部分の構造やシステムをわかりやすくしたものです。

 

           

 

青い円の部分は磁場を作るための超電導体のコイルを密巻にしたもの(トロイダル磁場コイル)で、黒い線はこのコイルに通電することによって生まれる磁力線です。

 

核融合反応を起こすためには燃料を加熱してプラズマにしますが、プラズマは分子がプラスの電荷を持つ陽イオンとマイナスの電荷を持つ電子に分かれて運動している状態なので、磁力線があると磁力線に巻き付くようにらせん運動し続けます。


その性質を利用すると、核融合炉内のプラズマがどんなに高温でも、核融合炉の壁や、超電導コイルから離れた空間に磁場の力を使って閉じ込めておくことが可能になるのです。

 

こうして磁場を使って閉じ込められたプラズマを、ビームや電磁場を使って更に加熱することで、超高温の核融合プラズマを生成し、最終的に核融合させるのです。

上の図の赤いドーナツのような部分が、超高温のプラズマで満たされた空間のイメージ画像です。

 

 トロイダル磁場コイルでトロイダル磁場を生成し、それによってプラズマをドーナツ状にまとめ、ポロイダル磁場コイルによって ポロイダル磁場を生成てプラズマを内周方向へ押し込め、中心ソレノイドコイルによってトロイダル方向のプラズマ電流を誘導することによって、これらを固体という状態の物理的な壁と接触させずに、壁から距離を置いた空間に閉じ込めたまま、その熱をブランケットと言われるものを通して外に取り出し、その熱によって発電するのがトカマク型核融合発電の、ざっくりとした全体像です。

 

核融合炉図の左側中央部分に「ブランケット」という文字がありますが、これが指し示している部分は、核融合炉内で生み出された熱エネルギーや、核融合の燃料となる三重水素などを回収する装置です。


ブランケット内には冷却水があり、これを高温にし、これと連結された発電タービンを高温高圧の水蒸気で回して発電します。

 

このトカマク型核融合炉は、最も古くから注目されてきたもので、現在も、国際共同研究のITER、中国科学院のような国家プロジェクト、アメリカ合衆国、カナダ、日本などの多くの研究機関や企業が、その建設や部品などの開発に取り組んでいるものです。

ちなみに、ITERとは、核融合エネルギーの実現に向けて、世界人口の半分以上、世界GDPの4分の3以上を占める、日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドによる、核融合実験炉ITER(イーター)の建設及び運転を行う国際プロジェクトで、1985年の米ソ首脳会談で平和目的の国際プロジェクトとして提唱され、日欧米ソ(露)を中心に検討が行われ、後に中韓印も加わり、2007年にITER協定が発効するに至ったものです。

 

ここではITERに参加している7つの国や地域の紹介で、日本を冒頭に持ってきていますが、それがなぜかと言うと、発足当初からリーダー的役割を担ってきたのは日本だからです。

 

そして、そうなったことには必然的な理由があります。

その理由とは
第二次世界大戦敗戦後の日本には、航空機や宇宙ロケットをはじめとする、軍事に利用できる可能性を持つあらゆるテクノロジーの研究開発に大きな制限がかけられてきましたが、、核融合と高温プラズマに関わる研究は、軍事兵器利用の可能性の余地がないと考えられていたため、自由な研究開発が出来たからです。

※敗戦国となった日本が、どのような制限をかけられたかというと、数え上げればきりがないほど数多くの制限をかけられたのですが、それらのすべてを象徴しているよなものに、日の丸の国旗掲揚が禁止されたというのがあります。公の場で禁止されただけではなく、家の中で掲揚することも禁止されたのです。これは、日本人と戦って思い知った、日本人のもつ得体のしれない強さや賢さに対する恐れの表れだと思います。その恐れが生んだものの一つが、東京大空襲や原爆による、武器を持たない女性や子供を含む民間人に対する無差別な攻撃です。

そして、この恐怖を知る世代が時代の流れで消滅したことによって、今、世界が日本だけが持つ文化や社会に魅了されるという揺り戻しのような現象が起こっているのです。                                                                    ↓

 


日本が今、世界の人々の目にどう見えているかを知る上で適切だと思える記事があったので、少し紹介しておきます。

以下にスクショをとって貼り付けているのは

 

というサイトに以下のタイトルで2024年3月2日にアップされたものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

同サイトにはこんな記事も。

     ↓

 

こんな記事も。

   ↓

 

(話を本題に戻します)

そうした状況下で、1960年頃から日本の核融合研究者は世界の研究者と共同して高温プラズマの研究に従事するようになり、1972年にはJFT-2という西側世界での世界初のものが完成し、これにより、高温プラズマと核融合技術では日本が世界をリードしてゆくことになりました。

 

ITERの建設地は2006年にフランス・カダラッシュへ決まりましたが、日本はITER計画の当初からの計画設立国であり、プラズマ中の断熱層の発見によってITERの建設費を約半分にする提案を行い、1998年以降に設計変更まで成し遂げるなど、大きな成果を挙げてきただけでなく、現在はITER計画の主導権をとって推進しているといえる立ち位置にいます

 

ITERにおける日本の特筆すべき業績には
日本のトカマク型はプラズマの閉じ込め性能が高く、核融合反応に必要な条件の生成に成功していて、ITERで採用されている。
・JT-60でイオン温度5.2億度(世界記録)を達成しいる。

などがあります。

 

ちなみにJT-60は、日本の磁場封じ込め型核融合実験装置で、日本原子力研究所(JAERI、後に日本原子力研究開発機構を経て量子科学技術研究開発機構)が1985年から運用しているものです。


トカマク型と同じ「磁気閉じ込め方式」の核融合炉に”ヘリカル型核融合”があります。

 

ヘリカル型とトカマク型との違いは
トカマク型では閉じこめ磁場をトロイダルコイルを流れる電流とプラズマ中を流れるトロイダル電流によって閉じこめ磁場を形成しているのに対し、一般にヘリカル型ではその名の通りヘリカル(らせん)型の周回コイルに電流を流し、閉じ込め磁場を形成するという点です。↓

       

 

 

       

 

 長所としては、
・真空容器の外部のコイルに電流を流すことで、ねじれた磁場を作り出すことができ定常運転がしやすい。
・ディスラプション
(既存のビジネスモデルや価値観を破壊し、新しい仕組みや市場を創出する現象)が原理的に起きない。
・プラズマに電流を流す必要がないため、入力電力が少なくてすみ、エネルギー利得が高い。

 等があります。

 

 一方、短所としては
・抵抗加熱ができない。
・コイル形状が複雑なため、設計が難しい。
トカマク方式と比べると、長時間の運転を得意とするが、プラズマを閉じ込める性能に課題が残っている。

 等があります。

 

ヘリカル型においても日本はLHDで、定常運転約1時間という世界記録を達成するなど、世界をリードしています。

LHDとは、核融合研究の為に日本の自然科学研究機構核融合科学研究所のLHDプロジェクトによって製作された大型のヘリカル型のプラズマ装置で、日本独自のヘリオトロン配位を用い、54分の長時間のプラズマ持続や、核融合に必要な条件の10倍となる高密度プラズマを成功さています。

 

なお、ヘリカル型の「複雑な形状のコイルであるため製作の難易度が高い」という問題は、そうした難題に取り組み解決していくことを世界一得意としている日本民族にとっては、大きな武器になるものです。


《【世界や日本の動向】》

 

※アメリカやヨーロッパを中心に技術開発と資金調達が進められており、特にアメリカはその研究開発をリードしていて、累計で54.7億ドル(約7660億円)もの資金が投入され、米国のスタートアップ「Commonwealth Fusion Systems」が2025年までに核融合炉の実用化を目指すなど、技術革新が加速しています。

 

※イギリスやドイツも政府主導で核融合開発に積極的に投資を行いそれぞれ19億ドル、17億ドルを投入し、これらの国々では、官民連携による研究開発が進んでおり、国際核融合エネルギー機構(ITER)といった大規模な国際プロジェクトを通じて、各国が協力し技術の進展を後押ししています。

 

一方の日本では、、世界的な核融合(フュージョンエネルギー)産業化の波の中で活躍する、日本の核融合スタートアップ企業の代表格である京都フュージョニアリングに対する、政府の資金投入額が、欧米諸国と比べると話にならないほど少ない約3億ドルにとどまっているという、これまで日本の民間がどれだけ頑張って未来を切り開く優れた研究や技術を確立したとしても、結局はいつの間にか他国の後塵を拝させられていたという、既視感ありまくりの未来がちらつくものになっています。 ( ;∀;)

 

が、しかし、そんな未来を変えてくれるのではないかと思わせる、若い力が生み出している新たな現象の胎動も散見されます。

 

その一つが、現在日本で核融合(フュージョン)発電に挑んでいるスタートアップ企業の、トカマク型、ヘリカル型、レーザー核融合、それぞれを代表するスタートアップ企業の代表を招いて行われた、以下のインタビュー動画から見てとれます。

 

   

 

右から、田口昂哉(株式会社Helical Fusion 代表取締役CEO) 長尾昂(京都フュージョニアリング株式会社 取締役会長) 松尾一輝(EX-Fusion社 CEO) 司会進行役の中村達哉(グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパル)さんです。

 

私が動画を視聴したりホームページを覗いたりした印象から言うと、京都フュージョニアリング株式会社とEX-Fusion社の起業理念は、出発点が京都大学と大阪大学の研究室にあるせいか、非常に着実で現実的な段階や世界戦略を踏んで行こうとするものであるのに対して、起業のベースに ”「熱と計測」の確かな技術力で70年余エネルギー関連産業を支えてきた助川電気工業の協力があった株式会社Helical Fusionの方は、プレスリリースに「核融合のプラント建設および電力市場は2050年までに世界で年間5500億ドル規模にまで成長するとの試算**もあり、今後自動車産業のように日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性がある一方、国際的な開発競争も激化しています。Helical Fusionは世界最速での定常核融合炉を2034年までに実現し、世界中で商用化することで、持続可能なエネルギー源の社会実装を目指しています」と表明しているように、割と本気で世界の覇権を狙っているような印象を受ける会社です。

そしてその分だけ、なんか、面白そう(*^▽^*)/~~な会社です。

 

Helical Fusionが世界に誇る実績としては《大型ヘリカル装置を用いて1億度のプラズマ生成を達成し、さらに同じ装置で約1時間のプラズマ維持に成功という世界で唯一の実績》があるとのことです。


そして、この会社が今最も重要と考えて研究開発に挑んでいるものは、共同創業者で代表取締役CTOの宮澤自身が考案した独自の「液体金属ブランケット」の実装。

ちなみに、まだブランケットを実装した装置は世界のどこにも存在していません。

上記の三社のうちで、最も順調な業績を挙げているのは、京都大学の核融合研究の成果に基づき、核融合特殊プラント機器の開発を行うエンジニアリング会社として2019年に設立され、核融合の商用化に必要な技術(プラズマ加熱装置、熱取り出しブランケット、高性能熱交換器、水素同位体ポンプなど)の研究開発を行い、世界各国の核融合研究開発機関や企業を顧客に持っている京都フュージョニアリング株式会社です。

 

そして、私が個人的に一番興味を持っているのは、レーザー核融合による核融合発電の実用化を目指しているEX-Fusion社です。

 

レーザー核融合発電については、次の記事で詳しく紹介するつもりです。

今回の記事は以上ですが、これもよろしく。( `ー´)ノ
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 みんな幸せになりますように。
 サイラム<(_ _)>