今日紹介する歌は、
秋きぬとおちたる桐の一葉にもまづこぼるゝは涙なりけり
(梨のかた枝)
作者は三条実美(さんじょうさねとみ)。
天保八年(1837)~明治二十四年(1891)。
幕末・明治時代前期の公卿・政治家。
七卿落ちの一人として長州に逃れる。
維新後は、
議定・副総裁・輔相などの要職を経て、
太政大臣、
後に内大臣、
尊攘派の実美(作者)は、
文久三年(1863)八月十八日の政変により京都を追われ、
長州そして大宰府の延寿王院に移った。
暫しの間と思っていた仮の住処での生活が、
一年また一年と延びゆく哀しさを、
秋の訪れを告げる桐の落葉に託して詠む。
同時期に、
「まさきくて旅にはありと都なるわぎへに告げよ秋の初かぜ」がある。
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私の愛する私の全てであり私だけの掛け替えのないえむえぬ様に。