女性にもさまざまな性(さが)があるが、みすみすダメ男とか、生活破綻者を拾いたがる悪癖を持った人がいる。
つい先日もそんな女性と話す機会があって、結局はその男の仕事を私に世話してほしいというのが本音だった。
ついさっきまでは私と一緒になって、その男を批判していたはずだったのだが、お酒がすすんだら突然に秘し隠していた本音が聞かされ、私は当惑し、呆れもした。
その女性には、そいつに運気を吸い尽く付されてしまうから、もういい加減に付き合いはおやめなさいと何本めかの釘はさした。が、それでも彼女は「だって可哀想なんだもの」と……
男もまた、そんな女性の匂いを敏感にかぎ分ける才があるやつがいるようで、世の中はそれで需要と供給がうまく折り合うようになっているらしい。
ふと、私もどんな癖を持っているのかのかと我が身を振り返った。
マンションの部屋に入ってきた蠅のような得体のしれない虫をティッシュで軽くつまんでベランダから外へ放り出した。つまみかたが弱いとヤツはまた部屋の中でうるさく飛び回るだろう。つまみかたが強ければアイツは潰れて死んでしまうから、なんとも優柔不断なつまみかたをした。だから、ヤツはちゃんと夜の町に羽ばたいたか、それとも……わからない……
ふと、食物連鎖のことを思った。少なくてもこんな日は、牛や豚肉が食べにくくなっている。鶏も、そのうち魚も、ついには植物をも食べるのをためらうようになったら、どうする???
大気のエネルギーを信じて生きていくというのはこのことかと、聖者たちの痩せこけたからだのことをイメージした。