今回の舞台装置は種田陽平さん。
「ClingCling」のMVの世界観を構築した美術監督である。

それをツアーのステージで再現したいというメンバーの要望に応えるため、あらためてMVのイメージにほぼ近い形でステージが組まれた。

立体的に配置された舞台装置はそれぞれがメンバーがパフォーマンスをする場所にもなっており、背景に相当する部分までがMVのイメージのとおりに再現されて凸凹のある構造になっていた。

ということは、最近のPerfumeのライブで恒例になっているライゾマのプロジェクション・マッピングはないのか?
それはそれで依存せずの新たな方向性でいいかなと思っていたら、なんとなんと舞台装置が自動で動いて場所を移動し、背景となっている壁は折りたたまれていくではないか。
(この部分に関してブログ仲間の柿羊羹さんからご指摘をいただきました。自動ではなく、スタッフの手作業が主だったそうです)

しかも、折りたたまれていく壁にはPerfumeのメンバーの影というか輪郭だけの映像がプロジェクション・マッピングで映しだされている。

何という手間暇。
そして気づかれるかどうかの微妙。

その一方各所に配置されたモニターにはメンバーがCGとコラボレートした映像が流されている。

CGの動きに合わせてメンバーが若干の演技をする、という内容なのだけれど、ここでも淡々と演ずるかしゆか、自分なりの表情のアクセントを加えるあ~ちゃん、おそらくは演出家の要請どおりの無機質なキャラクターを演じるのっち、という三者三様の演技が見られた。

着替えタイムは以前と比べると短くなっている(これはアンコールの時もそうだ)

3人が奈落に落ちていった部分からまた姿を現すのが照明を落とされた状態でも見え、始まったのが「エレクトロ・ワールド」。

照明が明るくなると、三人の衣装が青い色に変わっているのが分かり、それに合わせるように張り出しステージまで続く通路の両サイドの電球(LEDなんだろうね(笑))の色までが青に。

関監督によるMVには「青の時代」と呼びたくなる、効果的に「青」を配色した映像を作り出していた時期があった。
それが再現されるような照明。

長く続くチームPerfumeならではの演出。
痺れる。

最近にPerfumeのファンになった人たちにとって「三部作」ってどんな存在なのだろう。
最近の若い世代のファンの特色として、ブレイク前後にファンになった30~50代の男性ファンのようなブレイク前史への執着みたいなものがないことがあげられるのではないかと思う。

「エレワ」でブレイクしていれば、という当時のファンが感じただろう、そして何より本人たちが感じていたであろう無念のようなものは、ブレイク前後にファンになった者にとってもまるで種の記憶のように受け継がれていたはずである。

それを感じない新しい世代の、ブレイク後の「人気アーティスト」であるPerfumeのファンになった世代にとっての「エレワ」。

なんである世代のファンが、足元の床が熱した鉄板になったように跳びはねるのか、先祖返りをしたような雄叫びをあげるのかって分からないのではないか。

昨年末のドームツアーでは「コンピューターシティー」が、そして今年のツアーではこの「エレワ」と、そして ▽・w・▽