「ポリリズム」発売をきっかけに、2008年のアルバム「GAME」発表によって、本格的なブレイクを果たしたPerfumeは急激に活動の規模を拡大していきます。
2008年の4月4日から放送の始まった「HAPPY!」によって地上波における初レギュラー番組を開始、4月16日に「GAME」発売、4月27日から6月1日まで全国10ヶ所11公演のライブハウスツアーを開催、7月9日、11月10日にそれぞれシングルCDをリリース、夏期をロックフェス出演で過ごし、10月15日にツアーDVDを予定外に発売、11月6、7日日本武道館2daysライブ。

CDのリリースとそれに伴う活動、レギュラー番組出演(10月からは時間帯を移動した新番組)、ライブやロックフェスのためのリハーサル、の他に2007年4月から大学生として日常を過ごしているPerfumeは、物理的に余裕のないスケジュールの中、メンバー同士の間でさえ会話が失われていくほどに少しずつ消耗していきます。

それでも、武道館ライブと「Dream Fighter」のリリース、紅白初出演を控えた2008年の秋から初冬にかけてまでには、明確に活動の大目標が設定されていたこともあってか、モチベーションの維持を保っていたはずのPerfumeは、年を越して3月25日の新曲発売前まで、音楽活動に伴うスケジュールが極端に少なくなっていた時期に、目標を失いかけます。

変な言い方になってしまいますが、その「失い方」はメンバーそれぞれだったろうと思います。
例えばのっちはやりがいのある大きな目標が出来たことを喜びながら、この幸せな状況がいつまで続くのか、という不安にとらわれていたのではなかったか、と思いますし、あ~ちゃんは活動の規模が急激に拡大していく中で、ユニットのコントロールに対する手応えが薄れていくこと、に不安を感じていたのではなかったか、と。
もちろんこれは想像にしか過ぎないのですが、「Perfumeという利権」に群がってくる大人たちへの不信感が芽生え始めていたのではないか、という気がします。

ただし、この二人、あ~ちゃんとのっちが不安を感じていたとすれば、それは活動状況に関する事柄であり、よりメジャーなステージへ活動の主戦場が動いていくこと、そのものに対する方向では、不安は感じていなかったのではないか、と思います。
この二人、あ~ちゃんとのっち、というのは不思議な関係で、一人の人間として考えるとあまりにも色々なものが違う。
しかし、この二人にはたった一つ、、間違いなくピッタリと重なる共通点があります。
それは自信家であるということです。

「Perfumeになっていなくても、何か音楽に関わったことをしていたと思う」というのっちにはステージに立つ自分、という明確なセルフイメージがあります。
あ~ちゃんもその点は同じで、さらに、例えば、後輩からは慕われ、同級生からは頼られ、上級生からは可愛がられる、男子からもモテる、という人間として愛される自分という認識も加わっているのではないか、と思います。

では、かしゆかは、というと。
僕は基本的には、かしゆかも、歌を含めたステージパフォーマンスにはプロとして活動するレベルでも充分な自信があるだろう、と思っています。
最近特に思うんですが、この人の「自信ってどうやったら持てるんだろうって思います」という言葉は、劣等感ではなくて、自分の役割に対するレベル設定の高さと、自分への評価のズレにあるのではないか、と思うようになりました。

あ~ちゃんやのっちのように、SPEEDのような
ロールモデルを持たないかしゆかにとって、Perfumeのメンバーとしてのロールモデルや設定基準は、自分以外のメンバーになっていたのではなかったか、と。

初期ぱふゅ→むのメンバーの時代から、かしゆかは実力者とともに活動してきました。
あ~ちゃんももちろんそうなんですが、もう一人の「ゆか」さんも、非常に歌の上手な方です。
声量が豊かで、声に伸びがあり、「歌声」の強さと、安定感のあるボーカルです。現在でも。
「ゆか」さんの後に入ってきたのっちは、オールマイティな才能の持ち主で、リズム感や音感に優れていることからか、発表会で演ずる一曲の中で(ぱふゅ→む以外でも)、歌に関しても、振り付けに関してものっち頼りになる。
ちゃあぽんが、Perfumeとの対談の中で

「いっつも、真ん中」「本番で期待以上の活躍をするし、メインじゃないときも、すごい目がいく気になる存在」☆1

と、表現していたとおりの生徒だったようです。

そういった才能に恵まれたメンバーたちと同じユニットで活動を続ける中で、かしゆかが自分に課した基準というのは、すごく高く設定されてしまっていたのではなかったか、という気がします。
その設定に見合うだけの実力もあっただけに。

これもちゃあぽんの証言なんですが、

「ハムスター」☆2

これはちょっと違いましたね、

「Perfume以外のかしゆかはすごい“かっこいい”」「女子が憧れるような存在」「出てる人の中でいっちばん手足が長くて、すごい綺麗なんですよ。その手足が長いのを存分に楽しんじゃってて」「作品を見るたびカリスマ性があるなって」「自分の見せ方が昔から定着してて、すごいきれいだった」☆3

絶賛です。
さらに、あ~ママ、かしママとは少し違った距離と場所から当時の三人を見ていたのちママものっちを通じて

「バックダンサーのときはちゃんとバックダンサーだし、自分がメインの時はちゃんとメインになれるフレキシブルな子だわ」☆4
「それよりアヤノ、あなたお肌の手入れしてるの?ちゃんとご飯食べてる?いい加減に○○を紹介しなさいよ、どんな人なの?イケメン?あの写真だけじゃよく分からなくて」★1

かしゆかと関係ない部分も捏造されていますが、このような評価をしていたようです。
ただ、こういった評価というのは、なかなか本人には伝わっていなかったのではないか、という気がします。
かしゆかの評価基準は、長い時間をかけてかしゆかの中でどんどん設定値が高くなっていってしまった。
それは、自分自身への評価としてではなく、Perfumeのメンバーという役割としての評価であった、と。

劣等感ももちろんあったかもしれません。
でも、それよりも、活動の規模が拡大していく中で、自分の設定した高いレベルでパフォーマンスが出来ていないんじゃないか、という悔しさみたいなものが、自信の無さに転じてしまっていたのかもしれないと最近感じるようになりました。

ドーム後の泣き声を聴いて以来 ▽・w・▽


☆1、☆2、☆3、☆4
TVブロス 4/17~4/30 ちゃあぽん×Perfume より抜粋

★1 
悪ふざけ