広島時代の持ち歌を除くと、Perfumeは現在までに約50曲を持ち歌として発表しています。

そのうち、シングルのリード曲がインディーズ時代の3曲に、メジャーデビュー後の14曲(シングルは12枚、ダブルAサイドの2曲を加えて14曲)。


インディーズ時代、



当時は、よりアイドルらしくするための細かい指示が多かったですね。作詞家もすでに決まってましたし。それまでの曲を聴いた時、すごくステレオタイプな感じのアイドルだったから、初シングルの「スィートドーナッツ」は、彼女たちに合わせる感じでした。そうしないと曲が発売されないんですよ(笑)

アレ、ソノカメラ用ノ電池、捨テルナラモラエマセンカ。

(QJ74号インタビューより抜粋、一部捏造)


ということで、Perfumeに提供された曲もステレオタイプなアイドル歌謡の様式に沿ったものとして制作されています。

軽快でアップテンポなイントロから始まり、一旦テンポが落ち着いて歌のパートに入る。

従来ながらのJ-POP的な構造を持つ曲を続けた後、「引力」「ビタミンドロップ」でその構造を崩しにかかります。

イントロらしいイントロをつけずに、そのまま歌のパートから曲を始めてしまうというこのスタイルに当てはまる作品は、Perfumeのメジャーデビュー後にリリースされたシングルリード曲14曲のうち、実に9曲にものぼります。


カップリング、アルバムオリジナルを含めてもこのスタイルを持つ曲は15~6曲程度しか無く、中田さんが編みだしたシングル曲用のスタイル、ということが言えそうです。


中田さんが提供するPerfumeサウンドは、たとえば、イントロに相当する演奏部分、Aメロ、Bメロ、サビ、大サビ、アウトロ、と切り分けて、従来のJ-POP的な構造に順番を入れ替えても、曲として成立するものです。

元々、曲作りの早い段階から歌入れを行い、そこから歌い手の解釈を考慮に入れながら全体を完成させていく、という体制は、従来のJ-POPのスタイルからはかけ離れたものでした。

しかし、やはりPerfumeの歌ありき、の曲作りには制約がかかります。

capsuleだったなら、構想を練る段階で、このサウンドかっこいいからこのまま歌無しでいってしまえ、という選択も可能でしょうが、Perfumeに提供する曲では、特にシングル曲ではそうもいきません。


Perfumeサウンドの中には、「The best thing」のように、歌が曲全体と有機的に結びついた完成度の高い作品も多いのですが、インストゥルメンタルだけで聴いても魅力的で、それだけでも成立してしまうような感想を持つものもあります。


「歌モノ」であることを強く意識せざるをえない曲作りの中で、従来のJ-POPの構造に沿った基礎をまず築き、そこからオリジナルな様式でデザインした建築物を建てる。

「オリジナルな様式」の部分には、中田さん独自の要素が色濃く出てきますから、ポップでキュートなボーカルパートとは、印象として若干の距離が出る場合もあります。

その距離感を感じさせない工夫が、いきなりポップでキュートな歌声でキャッチーなメロディーを奏でるアレンジになっているのではないか、と思います。


歌からいきなり始まり、さらに、歌部分が聞こえにくくなるリスクを冒しながら分厚いベース音を響かせ、強烈なエフェクトをボーカルにかける、というシングル曲のスタイルには、必然的に聴く者に強い印象をあたえる歌声が求められることになり。


さて、その役割は2009年の3月まで、多くの場合のっちとかしゆかが担当することになっていきます。


これで、軌道修正できたかな、お爺さん。

あれ?すべらない話に夢中って…… ▽-w-▽