お彼岸のあれこれを済ませてから家に帰って⊿ツアーDVDを久しぶりに通して観た。

素晴らしい。

関さんの技術とセンスと、撮影対象への愛情が感じられる映像。

Perfumeのパフォーマンス。

あらためて感じたんだけど、2時間近くの間ずっとあのレベルで踊り続けるって半端じゃない。


あのツアーが終わってからもはや1年の時間が経っているんだ、と思うと感慨深い。

さすがにツアー中の記憶は薄れていて、DVDに収録された映像をある程度は客観的に観られるようになってきたと思う。

素晴らしい。

客観的に観ても、単純にこの言葉を繰り返すのみだ。


繰り返しの鑑賞に耐えうる上質な音楽と高品質のパフォーマンス。


Perfumeの音楽やパフォーマンスが、なぜ繰り返しの鑑賞に耐えうるか、といえば、聴くたびに、観るたびに評価が更新されるからだ。


まあまあだな、と思っていた曲が、すげーいいじゃん、に変わる。

Perfumeの音楽には、そういう一瞬がかならず訪れる。


ある音楽を聴く。

第一印象をまず感じる。

第一印象というのは、初めて感じるゆえに鮮烈な印象を残す。

しかし、やはり「第一」印象でしか無い。


音楽や、その他の表現活動に対する評価に大事なのは、あらゆる意味で、時間の早さではない。


こうやってウェブ上でブログの記事なんか書いていると、つい、情報の出入の早さを気にするようになってしまいがちだ。

誰よりも早く何かを知って、観て、聴いて、パッと感じたことを分かりやすい、或いは印象に残りやすい刺激的な言葉で評してみたりすることが、なんとなく自慢のようになってしまうこともある。


もちろん、そんなことでスピードを誇ることには、何の意味もない。

何かを評価するのに大切な事って、正しく評価することであり、深く理解することであり、作品に対して誠実に向きあうことだ。

どれにも時間がかかる。

すごく時間がかかる、と言ってもいいと思う。


たとえばPerfumeの曲がある。

初めて聴く曲である。

第一印象がある。


ハズレ無し、と言われるPerfumeの音楽だって、その全てが最高レベルの楽曲であるはずはない。

自分が求める方向性とズレていることだってある。

しかも、第一印象である。

あれれ?と感じることだってある。

それはそれで正しい。

正しい感覚なのだ。


でも、肝心なのは、そこで終わりにしてしまわないことだと思う。

音楽家とファンの間にある物って何かと言えば、照れくさいけど信頼関係だ、と思う。

あれれ?と感じたり「今ひとつだな」と感じたり自分の求めるものとは違うと感じたり。

それを止めることは誰にもできない。

でも、繰り返しになるけど、肝心なのは、そこで足を止めてしまわないことだ。


自分と、その音楽家の間にある信頼という紐帯を手放さず、時折手繰って前に進んでみることで、第一印象とは異なった感じ方や景色の見え方にたどり着く。

その場所に到着するまでに時間がかかった、ということは、その作品の評価を下げることにはならない。

時間をかけるだけの価値があった、ということだ。


だから僕は、Perfumeの曲を聴くのに、パフォーマンスを観るのに時間をかける。

もちろん一曲の演奏時間は3~5分くらいだし、アルバムなら50~60分くらいだし、DVDだって2時間くらいだ。

一回の鑑賞なんてすぐに終わってしまう。

だから僕は、繰り返す。

ずっと、連続して、というわけではなく、時間をおいたとしても繰り返し、何度も何度もPerfumeの音楽を聴き、パフォーマンスを観る。


以前と同じ感じ方をすることもあるし、以前と同じ景色を観ることもある。

そのことの方が多いくらいだ。

でも、いつか必ずそれはやってくる。


なんだ、この曲、すげーいいじゃん。


自分の心の中にある壁の穴に、カチッとPerfumeの音楽が、パフォーマンスがはまる瞬間が。

その瞬間その音楽は、自分自身の一部になるのだ。


今回で言えば、ツアーDVDのライブ映像全体がそうだった。


感想として、素晴らしいという言葉には変化はない。

素晴らしいライブ映像であり、素晴らしい記録映像であり、素晴らしい音楽作品だ。

でも、感じた深さが違う。

あのツアーから1年という時間を経て、ようやくあの横浜アリーナで行われたライブパフォーマンスを、理解できたように思う。


Perfumeは凄い。

その一言に尽きる。


あれから1年。

東京ドームで、あれ以上の何かが観られるのか。

胸が躍る。

これだから、Perfumeのファンってやめられない ▽・w・▽