かしゆかとあ~ちゃんとの間に存在する絆、非常に稠密な連帯感、は何に由来するものなのだろう、と考えることがあります。


二人の関係が現在のような強い結び付きになるまでには、おそらく長い時間と多くの出来事を必要としたのだろうけれども、長い時間と共通の体験があれば誰にでもあのような関係を築けるかと言えば、そうでもないような気がする。


あ~ちゃんと出会ったことによってかしゆかの人生が大きな影響を受けた、ということは確かなことだろうと思います。


かしゆかに限らず、それはのっちにも言えることであって、あ~ちゃんというのは云わば才能の触媒です。

自らの内側に豊かな才能を有しているだけでなく、あ~ちゃんが見込んで関わった何者かの内側にある才能を活性化させる(スタッフも含めて)。


かしゆかの場合は特に、あ~ちゃんとの出会いが無ければ本気で芸能界に関わろうとは思わなかったのではないか、という感じがします。


別に水泳選手になりたいわけじゃないし、という理由で8年間続けていた水泳よりも芸能スクールに通うことを選んだように、いつか、別に本気で芸能人になりたいわけじゃないし、という理由でごく普通の生活を選んでいたのではないか。


Perfumeというユニットは、厳しいショービジネスの世界で生き残ってきただけあって、見かけどおりに可愛らしい、お行儀がよくてスタッフ受けがよくて、周囲から愛されて、三人がいつでも仲がよくて、素直でイイ子な女の子たち、というだけの存在ではありません。


おそらく、あ~ちゃんとかしゆかはぱふゅーむ結成のかなり早い時期から、本気で、このぱふゅーむのままで芸能界にデビューするんだ、という決意を固めていたはずです。

そのためのプラン、のようなものも彼女たちの中にはあったのだろう、と。


彼女たちが考える、彼女たちなりのぱふゅーむらしさ、みたいなものが成長に従ってかなり具体的にイメージされていって、それは彼女たちの中で決してゆるがせには出来ない、周囲から何を言われようと譲ることの出来ないものになっていき、色々な面で譲歩はしてきたものの、今でもそれを守り通しているように感じます。


10年間。


あ~ちゃんとかしゆか、そしてのっちは、10年間「それ」を守り通してきました。

なんという強烈な意志、そして自我。


QJ77号の中のインタビューで、関和亮さんは、


こっちがやらせようとしたことに「やりたくありませ~ん」てなことを言うこともありますけど、そういうときは「それは自分のキャラにない」みたいなことを言うので、Perfumeのキャラクターを自分たちで管理しているんだなという感じはします


と、発言しています。


最近発売されたばかりのライブ写真集「Livefolio」のスタッフ座談会の中でも、音響担当(FOH エンジニア)の佐々ふみさんは、


今回嬉しかったのは、彼女たちが「大丈夫です、これぐらいだったら我慢できます」って言い方をしなくなったんですね。

うちらの意見を受け入れてくれるし、譲れない部分もしっかり自分たちの中に持って投げてくれる


と、発言していて、時に頑固に自分たちの意見を通してきたのだろうPerfumeの姿が伺えます。


Perfumeのこの「管理」や、「譲れない部分」を担当しているのは、基本的にはあ~ちゃんであり、それを支持し、守り、論理的な部分を補強してきたのが、かしゆかの役割であったろう、と思われます。


のっちという人は、こういう点では基本的に大人たちの言う事を素直にきいて、あ~ちゃんやかしゆかとともに、あるいはあ~ちゃんやかしゆかが言いたかったことを代わりに言ったりするようなことはしなかったんじゃないか、という気がします。


そういう点でも「のっちは何も言わない」人であったのではないか、と。


ある意味では、その素直さ、みたいな部分は、彼女の才能を評価し、鍛え、演出する大人たちが、のっち中心のユニット活動(特にぱふゅーむ以前)を選択する理由になっていたのかもしれません。


かしゆかとあ~ちゃんにとって、ステージに立つということは勝ちとるべきものであったのに対し、のっちにとっては与えられるもの、という意味合いが大きかったのではないか、という気がします。


かしゆかやあ~ちゃんが以前よく口にしていた「Dクラスの雑種」であった自分たちの立ち位置は、客観的な事実である必要はありません。


かしゆかやあ~ちゃんが、そう感じていた、当時の自分達を思い返してみてそう評価した、ということが大事なことなんです。


かしゆかやあ~ちゃんには、望むべき「何か」があり、一人では得られなかったかもしれない「何か」を、二人で勝ち取ってきた。


その関係を戦友のような、という類型にはめ込むことは、あまりにも安易なことのように思えます。


何よりもまず二人は「女の子」であったわけですから。

「女の子」同士という、おっさんから見ればX線も通さない鉛の壁の向う側にある特殊な関係を前提とした二人の絆は。


なんてことをウダウダ考えるよりも、絵で見れば簡単に感じられるんですよね。


Livefolioの初めの方にある、センター通路上で向い合って笑いあうかしゆかとあ~ちゃんの写真。

関さんだからこそ捉えられたあの絵、が二人の関係を全て表しているように思います。


友達や彼氏に見せるそれとは違うのだろう二人だけが見せ合うあの笑顔がある限り、Perfumeは大丈夫です ▽・w・▽