ワンルーム・ディスコが終わって


セラミック・ガール


三人がこの曲の始まり、決めポーズを取ると会場内は大歓声に包まれた。


名古屋名古屋、横浜横浜、そして横浜横浜。

いずれの会場でもそれは同じだった。


僕ももちろん周囲と同様大きな声を出しながら、でも心の片隅では「あれれ?」と、思っていた。


あれれ?この曲ってこんなに人気あったっけ?


大歓声に漫画のようなフキダシをつけて掛声を中に書きこむとしたら、待ってました!とでもいう感じ。


ライブが終わって2ヶ月近い時間がたった今考えるなら、なるほどこの曲は2008年の大イベントであった武道館ライブ以来のフルコーラス披露ということになる。


しかもホールツアーの段階ではセットリストに組み入れられていはいなかった。


中にはこの曲のパフォーマンスを初めて見るという人だって多かっただろう。

でも。

あの大歓声は、それだけが理由によるもの、とは考えにくいように思う。


ライブが終わってしばらくして放送されたPerfume唯一のレギュラーラジオ番組の中で、「たたみかけ」と表現された「ワンルーム・ディスコ」以降のセットリスト。


ライブが始まった段階から巧妙に仕組まれた「チョコ→ポリ」という必殺コンボに向けての「セットリスト」が、連鎖爆発を起こす前兆として、あの大歓声があったのではないか、という気がする。


最終日には特に、この日がPerfumeのライブ初参戦という観客の割合が少なかった。

前半に行われたMCの中で、たしかかしゆかが


Perfumeのライブが初めてだっていう人


と、声をかけたときには明らかにそれまでのライブと比べても観客席からの返答が小さかった。

観客の大多数は、「ワンルーム・ディスコ」から再開されたセットリスト、その先に何があるのかを知っていた。


クライマックス。


ただ人気のある曲を並べただけではない、演出、構成として考え抜かれた「女神のセットリスト」。

Perfumeの成長が、その中にはあった。


さて、「セラミック・ガール」。


この曲は、おそらく「ラブワー」と振付の難易度では双璧、パフォーマンス中のフォーメーション移動で一箇所、のっちが「あ~間に合わんかった」と、DVD「GAME」の副音声の中でボヤいた難所がある。


2番に相当する歌詞、かしゆかがセンターポジションで歌い始める直前にのっちがステージ向かって左、あ~ちゃんが右にパッと散開するように移動する部分だ。


参加した6箇所のライブで、僕はいずれもその部分を注目して観ていたんだけど、微妙。

間に合ったと言えば間に合ったし、間に合わなかったといえば間に合わない、もともとがそういう振付なんだ、と考えればどちらにも見えた。


次回への課題だ。


この曲はわかりやすくアップテンポ、「セラミックガール」と歌う部分で観客が親指人差し指中指を斜め前方に投げ出すように上げる「参加型」のスタイルが特徴である。


僕が初めてツアー「GAME」の名古屋会場で振付指導を受けた時にはもう少し複雑な動きだったのが、よりシンプルになって現在に至っている。


指の形は時間が経つにつれ、ちょっとバラバラになっている。


親指人差し指中指、が正解なのだけれど、今回のアリーナツアーで周りを見ていると、人差し指だけだったりVサインだったりする人も多かった。


この曲ではさらに



素敵な朝が来て  


二人で過ごせたら



という歌詞になった時に、三人がステージの真ん中左右に散らばって、右手を上げて左右に大きく振るよう、観客を煽るシーンがある。


みなさんも覚えがあるでしょうが、ここ、周りと合わせるのがなかなか大変。


おそらく、ステージ上の三人と、向かい合わせの鏡像のように手を振るのが正しいのだけれど、僕はつい三人と同じように、つまり三人が自分の左側に腕を振っている時に左に、鏡像の逆を行ってしまう。


ふっと横を見ると、大阪の猫さんも時々手を止めて、周りと合わせていたりする。

ちょっと安心する。


曲が終わりにさしかかり、三人が腕を振りながらセンター通路を戻り、メインステージに向かう。

このライブ中大活躍の直方体が三人を待っている。


ジェニーはご機嫌ななめ


は、GAMEツアーでも武道館でも代々木でも、もちろん今回のツアーでもずっとライブで披露されている歌だ。


あとは「シティー」と「マカロニ」「シクシク」「Perfume」そして「チョコ」「ポリ」くらいか。


直方体の中に三人が入ってイントロ、並びはセンターあ~ちゃん、ステージ向かって左にかしゆか、右にのっち。


歌い始めののっちは、直方体のリフトでせり上がりながら登場。


ナタリーのライブレポの画像を見ると、誰かが歌っている時、たとえばのっちならのっちが歌っている時には「NOC」とか「NOCCHI」という文字が直方体前面LEDモニターに表示されていたみたいだけど、当日はそんなところまでは見ちゃいない。


歌っているのっちを見ながら、あ~ちゃんを見ながら、かしゆかを見ながらコールをすることに夢中だ。


相変わらずのっちコールは凄い。

なんたって言い易いから(笑)。


コールの語尾で「ちゃ~~ん」とか言うと、何かが抜けていくような気がする。


「ジェニー」は、現在ライブで披露されている曲の中ではダントツに古くからPerfumeのセットリストに入っている曲だ。

アレンジは全く違うけど広島時代の終わり頃から歌い始め、東京バージョンになってからも常にPerfumeのライブの中にあった。


音源は少女時代のもの、歌声も少女のそれ、なのだが、あ~ちゃんの歌声が少女時代から大人びたものであったがために、現在そのまま音源として使われて生歌を被せられても違和感はない。


のっちの声は、いつの時代でも何かを思い悩んでいるようだし、かしゆかの声は適度にひびわれている。


ステージ衣装に身を包んだ三人は大人の女性になっていて、かつて少女だった自分の再現を楽しんでいるように見えた。


ライブハウストゥワーになったら、フルコーラスバージョンで披露してくれないかな。

たった一分ほど長くなるだけなんだし ▽・w・▽