来年春に行われるFC限定ライブツアーや、年末の出演番組や出演フェスなどの情報が入ってきて、なんとなく先送りにされている感のある、Perfumeの新曲情報、こそりとも出てきませんね。


情報が出てこないからと言って何も行われていないか、と言えばそんなことはなく、こんな時こそ水面下ではいろいろなオペレーションが組まれているのだろう、とは思うのですが、やはりファンとしては色々と考えてしまいます。


思えば僕たちは、おそらく誰もがPerfumeの新曲も中田ヤスタカさんによる作詞作曲、プロデュースということを前提にしているような雰囲気があります。

そんな保証なんてどこにもないのに。


Perfumeを取り囲んでいる輪、あるいは枠みたいなもの、サークルとでも呼んでおきましょう、そのサークルというのは、おそらくブレイクを果たした現在でも、あまりきっちりかっちりとビジネスライクに決められたものではなく、なんとなく緩やかな結束、というイメージがあります。


たとえば、中田さんとPerfume側との間に取り決めがあるのか、中田ヤスタカ(甲)は、ユニットPerfume(乙)について、某月某日より何年の間にシングル何曲、アルバム何作に該当する楽曲を提供する義務を負うものである、みたいな契約事項があるのか、まあ、ないんだろうな、とは思うのですが、まさか一作一作ごとの依頼、契約でもないような気もします。


ゆるく、「中田くんも売れてきて忙しいだろうけど、まあ、今年もなんだかんだでよろしく頼むよ」みたいなイメージがあります、中田さんも「はあ、まあ、今年も頑張っていい曲書いちゃいますから」みたいにモゴモゴ返事をしてたりして。


ただ、このままでいくのかどうか、については判断が難しくなってるんじゃないかな、という気がします。


現在のPerfumeサウンドというのは、少なくともJ-ポップを中心にした現代の日本の音楽産業のメインストリームにはならない傾向のものです。


電子音の多用、バンド編成のサポートミュージシャンによる演奏での再現を始めから意図しない音使い、ボーカルエフェクト、ライトノベルのような歌詞の世界観。


ライトノベルを、きちんとした小説として評価する人もいて、そしてもちろんライトノベルだってきちんとした小説なわけですから、ライトノベルという枠をはみ出して、評価が広まっていく。


でも、ライトノベル的な枠組み、みたいなものにどうしようもなくなじめない人だっているわけです。

むしろ、その方が多数派かもしれません。


Perfumeの音楽というのは、誰にでも容易に受け入れてもらえるものではないようです。

そして、そこにサウンドのオリジナリティがある。


シングルが売れて10万枚前後、アルバムが勢いの乗って30~40万枚、落ち着けば20万枚程度。


売れ行き、で考えれば、この辺りが精一杯じゃないか、という感じです。


チームPerfumeの上層部、プロジェクトPerfume(みたいなもの)が、Perfumeをどうしたいのかを考えると、どうにかしたかったんだろうけど、どうにも出来なかったんだろうな、と思います。


Perfumeというサークルって、やっぱり基本的には「閉じて」いるものであって、「閉じた」まま、世間に受け入れられてブレイクして、でもその「閉じた」中に入り込めない人、入ったけど出てきちゃった人みたいな人も多くて、大ブレイクには至らなかった。


意図して「閉じた」わけじゃなくて、厳しい環境の中で生き残るためにいつのまにか「閉じて」、その中で細々と活動存続、種の保存が行われてきた。

結果として、閉じられたサークル、袋小路の進化の系統樹の中で、図らずも進化のピークに達してしまっていて、外的な因子による変異が起こりにくい状態になっている、ということが言えるかも知れません。


Perfumeというサークルの中で完成された「何か」を守るために、急激な環境の変化や強い刺激をなるべく避けて、穏やかな穏やかな羊水のような環境を保護すること。


それが、積極的に路線を変更しないことが、最良の「プロデュース」になってしまう点に、Perfumeの特異さがあるように思います。

よけいな手を加えなくても、充分に魅力的で、完成度が高いだけになおさら。


彼女たちはまだ若く、成長途上にあります。


成長と言うのは、そのまま変化、という言葉に置き換えることが出来ますから、現在のPerfumeを保護することが「変化を避けること」には直結しません。


こうやって書いてみると、あまり良いイメージにはならないようにも感じますけど、Perfumeの熱心なファンに、彼女たちの親世代の人間が多いのも、この穏やかで、急激な変化でファンのイメージを裏切らないだろう、という安心感のようなものが影響しているのだろう、と思われます。


現在のPerfumeには、もちろん2008年の春の頃のような勢いのよさはありません。


穏やかと言えば穏やか、ジリ貧と言えばジリ貧です。


ただ、たとえこれからのPerfumeがビジネス面で多少の下降線をたどるにしても、それは、何か失策、重大な過ちがあった、ということにはなりません。

そう考えたい人も多いだろう、とは思いますが、それは(人気が、緩やかに、とは言え下降瀬をたどるということは)人気商売にありがちな自然現象でしかありません。


芸能界という惑星には重力があって、上に上がったものは、やがて落ち始めるものなんです。


2007年7月から2年以上、チームPerfumeはよく頑張ってきました。


Perfumeはもっと、(色々な面で)上に行くことが出来たかもしれません。

でも、等しく(色々な面で)ひどいことになっていたかもしれないんです。


リスクは犯さない、という不文律に従って行動したスタッフは、不安定な要素の多いユニットをきちんと守り通してきました。

チームPerfumeは、ユニットのイメージを損なわないまま、彼女たちを成長させてきました。


だから、僕は今でも変わらずPerfumeファンでいられるのだ、と思っています。


2010年は、もしかしたら、PerfumeとPerfumeファンにとって厳しい一年になってしまうかもしれません。


10年後のPerfumeファンは、もしかしたら2010年を「審判の年」だった、なんて言ってるのかもしれません。


彼女たちはまだ先へ進み続けるでしょう。


僕たちファンも、前へ進みましょう。

Perfumeファンらしく、ゆるく、穏やかに、そして必死に ▽・w・▽