あらためてセットリストを考えてみると



オープニング


1曲目:指でクイクイっと誘う振り付けの曲



2曲目:世界で一番美しい歌



3曲目:メンバーが歌詞を重く受け止めている歌



4曲目:美脚ツートップ大活躍かと思いきやあ~ちゃんがおいしいところをさらう歌



オープニングでサプライズを伴った登場シーンがあって、会場の盛り上がりを利用しながらいきなりテンションをMAXに押し上げる、というセトリの構造が「GAMEツアー」の時にはすでに完成していたことが分かります。


オープニング後の3~4曲目までは、


イントロが始まると共に観客席がどよめくような人気曲であり


しかも、ノリという点でタテノリの期待が出来るビートの効いた曲


を配置しています。


あ~ちゃんが原案を提出して、そこから検討が始められる、というPerfumeライブにおけるセットリストは、舞台演出の土台となるいわば「シナリオ」なわけですから、観客席の反応までを考慮に入れた、非常によく考えられたものになっていると言えそうです。


MCの中では揺れる心境を吐露したりすることもあるあ~ちゃんは、現場プロデューサー、プレイヤー兼ディレクターとしては強気一辺倒。

パフォーマンスについては絶対の自信が感じられます。


オープニングから4曲目までで会場内は大いに盛り上がり、その代償として観客の多くはすでにへとへとになりかけています。


そういう面も配慮した上で、観客いじりを伴ったゆる~い「MC」が入り、さらに



5曲目:サイコロを使う歌



6曲目:プニプニな歌



7曲目:ファンが昇天する歌



8曲目:うわさ以上にのっちがかっこいいパフォーマンスの歌



軽いノリのアップテンポ

ミディアムなテンポ

タテノリありのアップテンポ

グルーヴィーなノリ


を使い分けたパートを入れてきます。


今回のツアーのパフォーマンス上における山場は、このパートと言えそうです。

現在におけるPerfumeのサウンド傾向がほとんど全て入れ込まれています。


このツアーで初披露となる5、8曲目のパフォーマンスは新しく、より成長したPerfumeによるミュージカルステージの一部、とも感じられるものであるとともに、Perfumeファンに指示されてきた「可愛くてかっこいい」パフォーマンスを押し進めたものでもあります。


間に差し挟まれた2曲は、Perfumeファンから愛される名曲。


特に7曲目(細かいですけどこの曲をオープニング後の7曲目に入れてくるあ~ちゃんは天才ですな)「GAME」世代以降のファンには聴きなれない曲のはずなのですが(GAME、武道館のDVDには入っておらず、アルバム未収録)、会場の反応は最高レベルでした。


ここでまた着替えタイムとなり、モニターや照明による演出があって



9曲目:鋭くとがった歌



10曲目:内緒な歌



11曲目:どうしてな歌



12曲目:未練



Perfumeサウンドは曲によるサウンド傾向がはっきりと分かれていて、傾向の重なる曲というのがあります。


今回、着替え後の仕切りなおしに9曲目を入れたことで、バキバキなタテノリ曲のスペースが埋まってしまいました。

このことによってもう一つのバキバキな曲が、またもやセトリから外れる、という構成になっています。


続く3曲は「甘く切ない」ゾーン。


しかも、10曲目、11曲目は「甘く切なく」しかもタテノリ出来る曲なので9曲目からの流れもスムーズです。


12曲目も切なさとグルーヴ感が共存する「顔で踊る」佳曲。


多彩な曲調に統一感を持たせるコリオ・ディレクターMIKIKOさんの手腕が冴え渡っております。


ここで、大本さんによる日替わりネタ披露のコーナーが入りまして続けて



13曲目:人差し指な歌



14曲目:アンテナが届かない歌



15曲目:旧コール消滅かも?



13曲目のドラマティックなイントロが始まると共に観客全員が同じポーズを取る様は壮観。

この時にはステージだけじゃなくて会場全体を見渡すことをおすすめします。


14曲目は11曲目と共にアリーナツアーからセトリに加わった曲。

人気曲であり、さらに観客がパフォーマンスに参加できる曲が、14、15曲目と続きます。

こうして徐々に会場全体の一体感が醸成されたところで、本格的な声出しのコーナーへと差し掛かります。


セトリやMC、声出しを通じて、会場全体に自分の演出意図を浸透させていくあ~ちゃんの「パフォーマンス」はお見事の一言。

惚れ惚れとしますね。



16曲目→17曲目:現代の必殺コンボ



18曲目:会場を走り回る歌



あ~ちゃんによって一つにまとめられた会場内の観客は、このパートでは休む間もありません。

大きな声で歌に参加し、飛び跳ねることでダンスに加わります。


Perfumeライブのピーク、必殺コンボの登場となります。

今回のツアーから、おそらく16曲目→17曲目→18曲目、3曲通しての構成がコンボとして認定されそうですね。


ここでライブ本編は終了。


アンコールに入ります。



19曲目:ホールツアーアンコール用の曲のうちのどちらか一曲



20曲目:かしゆかはしゃぎすぎ、でも、本当にかわいかった



21曲目:熱唱



19曲目、アンコールの1曲目はすでに報告されている2曲のうちのどちらかを2日間の日替わりで披露するようです。

どちらかというと初日の方が観客の期待という点では良いかな、と個人的には思うのですが、2日目の会場全体のダンスも捨てがたい。


20曲目は、一部の観客が何とかしてPerfumeメンバーから指差してもらえたり視線をあわせてもらうのに必死になる曲です。

そういうファンの「痛さ」が僕は大好きです(笑)。

ライブは楽しまないとね。


メンバーは律儀に応えているように見えて、実は自分たちが一番楽しんじゃっているパートなので、誰と目があったか、誰を指差したか、なんてことは記憶の片隅にもないのだろう(笑)と想像されます。

世界で一番幸せなすれ違いが起こるのが、ファンに感謝を捧げるこの曲です。


そして最後が熱唱。


この歌のときの生歌成分がどんなものなのか、と思って2日目には耳に手を当てて音を聴きとってみました。

3人の声がよく聴きたかったし、まわりからは浮いてしまったかもしれませんけど。


で、たしかに生歌成分は高い。

ただ生歌に会場でエフェクトをかけた部分は、カラオケのハーモニー機能みたいなやつまで一緒にくっついてきてしまって、「Mステ」内で「NF」を歌った時の、のっちのソロパートみたいになってしまっていて、メロディのほうが聴こえにくい、という事態になってしまっていました。


そこに音源らしき歌声も混ざってしまっていて、かえって全体がぽわんぽわんしてしまっていたように感じます。


普通に音源弱め+被せ生歌、で充分3人の歌声は伝わってくると思うんですが、ここは好みの分かれるところかもしれません。



さて、セットリスト全体を通してみてきて、やはり舞台装置や照明演出とのつながりが密接になってきただけ、たとえば会場ごとのセットリストの細かい変更、みたいなものは期待できなくなっています。


初日にある曲を歌って、その日の夜に急に「やっぱりこのパートとこのパートは入れ替えたい」みたいなことになったら、オペレーションの変更が間に合わないでしょうから大事になってしまうでしょうし。


セットリストも含めて、会場をレンタルする費用の問題と(横浜アリーナだと興行の場合1日12時間で500万円、撤収費用が250万円!!!)からんでライブの時間構成はがっちりと固定されています。


自由度が落ちた、代わりにプロフェッショナルなエンタテインショーとしてのグレードは、以前とは比較にならないほど高くなっています。

それが、現在のPerfumeのライブなんだな、と僕は感じました。


アリーナには、ライブハウスツアーの頃のような息苦しいまでの熱狂はありません。

ファンの期待も様々で、ライブ全体がどのような期待を持つファンにも満足できるもの、にコントロールされています。


これまた個人的なことなんですが、僕はライブ中何度も何度も会場内を見渡していました。

大きな会場内にぎっちりと人が詰まっていて、みんながステージの方を向いて同じ動きをしたり、光り物を振り回していたり、笑ったり、泣いたりしていて、Perfumeの成長を視覚から感じ取ることが出来ました。


もっともっとPerfumeのファンは増えるべきだし、この素晴らしいライブをもっともっと多くの人に見てもらいたいな、と思います。


ブログを通じてPerfumeに声援を送っているファンにも、まだまだやるべきことはたくさんあるような気がします。


Perfumeは、これから成長をはじめるアーティストであり、アイドルです。


みなさんとともに、成長を続けるPerfumeの姿を見守ることが出来たらな、と思いました。


笠寺の夜は、深紅に燃えて僕は白い灰になりかけました。

横浜で復活します。

その日にお会いできるみなさん、よろしくお願いします、いいライブにしましょうね


▽・w・▽ノ