エレクトロ・ワールド                (N)


wonder2                      (N)


パーフェクトスター・パーフェクトスタイル     (N)


Twinkle Snow Powdery Snow      (K)


チョコレイト・ディスコ                (除外)



コンベス~ファン・サービスの時代の始まりは2006年6月28日の「エレワー」発売から始まります。


「エレワー」収録の「wonder2」から幕を開け、「チョコ」で幕を閉じたこの時代は、Perfumeが解散危機を乗り越え、生き残りをかけてよりポップなサウンドを展開するための模索の時代。


この時代に行われた模索が、その後のPerfumeサウンドに重大な影響を与えていきます。


その影響とは、まずキラキラとした音色を作品の中に散りばめることであり、歌詞の中に届かない想いが込められるようになったことであり、それまで以上にメンバーのイメージと作品世界がリンクすることであり、3人の声の特徴を生かし強調するためのボーカルエフェクトが行われる、ということになります。


コンベス~ファンサービスの時代、サウンドの萌芽はおそらく制作時期が重なったであろう「エレワー」から始まっています。


「エレワー」の中で行われた、のっちソロによる作品世界の開幕+のっちを軸にしたユニゾンでのテーマの提出(サビ)、というボーカルパートの振り分けは、この後「w2」「PSPS」と続き、「のっちを軸にしたユニゾン」部分だけを残して「チョコ」、さらに


ポリリズム


SEVENTH HEAVEN


Baby cruising Love


までPerfumeサウンドの主軸となり、


マカロニ


で「のっちソロによる開幕」が復活、以降Perfumeの「表」側のスタイル(『表裏』については、また改めて書きます)として定着し、シングルのリード曲に多用されることでPerfumeの「歌」のイメージを象徴するようになります。


のっちを軸にしたユニゾン、とはどういうことか、について書いておくと


のっちの声の色、みたいなものはエフェクトによって変えられていて、あ~ちゃんの声のイメージに少しだけ近づけられている


あ~ちゃんのイメージに近づいたのっちの声、にあ~ちゃんの歌いまわし、癖を取り除いたあ~ちゃんの声を重ねる


二人の歌声を芯にした軸にかしゆかの声を吹き付けて甘さを加える


軸となるボーカル、少しだけあ~ちゃんナイズされたのっちの歌+あ~ちゃんの歌いまわしや癖を取り除いたあ~ちゃんの歌、には当然のっちの歌いまわし、歌い方が濃厚に残る


だから


のっちが歌っている部分が最近の曲はすごく多い (QJ77号インタビュー)


と、感じるようになる、ということです。

あ~ちゃんの歌声というのはユニゾンとして重なると、その透明感のせいか存在が薄れる、という傾向が強いのでよけいにのっちの声が強く聴こえる、ということもあるみたいですね。


のっちの歌い方が残る、ということは歌を通じた作品の解釈が残る、ということにもなります。


Perfumeの歌入れというのは、まず仮歌の入ったデモを渡され、メロディを覚えて、3人による歌詞の読み方(いく、を『iku』と読むか『yuku』と読むかなど)のすり合わせが行われて、間をおかずに歌入れ、となるようです。


デモを渡されるのが実はいつなのか、3人が言うように本当にスタジオ入りしてからなんてことがあるのかどうかは、ちょっと分かりません。


中田さんは、曲に変な色みたいなものが加わることを避けたがる人だと思いますから、直前に渡してメロディだけをたどらせるように歌わせて、とも考えられますから、本当にそうなのかもしれない。


ただまあ、どっちにしろ、デモを渡されてから歌入れまでそんなに時間がない、として。

僕たちがCD音源を通して聴く、3人の歌による解釈、というのはほとんどファーストインプレッションに近いものだ、ということは言えそうです。


それで、あの情感なのですからね。


僕がPerfumeの3人が凄いな、と思うのはダンスもそうだし、MCもそうだし、精神的な部分でもあるんですが、なんと言っても音楽的な解釈に関して、なんです。


中田さんは楽曲についての説明は一切しない、そして、ボーカリストの歌、歌い方に合わせてサウンドを構成し、アレンジを変えたりするそうですから、僕たちファンが聴くPerfumeサウンドというのは、中田さんのスコアを、Perfumeが歌によって演奏している、と言い換えることが出来るんじゃないか、と思います。

もちろん、演奏者中田ヤスタカとともに、ですけど。


「エレワー」の中でのっちのボーカルが比重を増し、ある一人のメンバーによる楽曲の解釈が残され、採用され、以降誰かしらメンバーの解釈、歌い方がサウンドの方向性により強い影響を与えることで、Perfume vs 中田ヤスタカ、だった制作過程が、Perfume + 中田ヤスタカ、へと変化し、やがて、Perfume × 中田ヤスタカ、にまで至るようになります。


と、同時に中田さん自身が、アミューズ+ヤマハチームからの強い拘束から、段々と脱出を始めていきます。


「シティ」の誕生で、初めて自分たちの作品に誇りを持てるようになり、「エレワー」によって作品世界への積極的な関わりを見せ始めたPerfumeは、コンベス~ファン・サービス時代に、より感情移入を必要とされるサウンドを提供されることに応え、パフォーマンスの完成度を高めていきます。


え~、予定を違ってしまいましたが、次回こそ、コンベス~ファン・サービスの時代 生き残るということ、がタイトルです ▽・w・▽