パーフェクトスター・パーフェクトスタイル


この曲は2006年8月2日に一万枚限定生産で発売されたPerfume初のアルバム「Perfume ~Complete Best~」に収録された唯一の新曲として発表されました。


ライブでの初披露は同年9月26日に新宿loftで行われたライブ


UNDER THE INFLUENCE


これも動画で確認することが出来ますね。


ファンに愛され続ける名曲なのでライブで披露されることが多く、2007年1月7日に行われた


GIRLS BOX PREMIUM 01 Reborn 


で「高島屋」の衣装を着て歌っている映像や2007年11月に相次いでローカルテレビ番組で放映された


HOT WAVE SPECIAL LIVE


チャートバスターズR


の中でも「エレワー」「ポリ」「ディスコ」などとともに動画で確認できます。


「SEVENTH」が発表されるまで、三部作のイメージが強く、恋愛的な要素をあまり感じさせない楽曲が多かったPerfumeの中で、想うことの切なさを感じさせる数少ない曲の一つでした。


2005年9月のメジャーデビューから一年という時間を費やした壮大な楽曲上の実験「近未来三部作」の時代は、「リニア」「シティ」「エレワー」そして「W2」という傑作を生み出しましたが商業的にはまたもや失敗。


メジャーデビュー曲「リニア」は、オリコンランキング初登場、そして最高位99位。

「シティ」が45位、「エレワー」が確か77位。


99位から45位へと駆け上り、いよいよブレイクか、と期待された「エレワー」の77位という売れ行きは、その後わずか一ヶ月ちょっとの間隔でリリースされた「コンベス」購入を決めていたファンによる買い控えが原因、とされていますが関係者、コアなファンに与えた衝撃は大きかっただろうと思われます。


そんな雰囲気の中で発売された事実上のベストアルバム「コンベス」の1曲目に収録された「PSPS」は、届かない想いを歌った恋愛ソングのように見せかけながら、実は解散の危機にあったPerfumeへのプロデューサー中田ヤスタカからの惜別の歌だったんじゃないか、という噂が今も根強く残っているいわくつきの1曲です。


現在の我々からPerfumeの歴史を俯瞰して眺めてみるとこの曲は、メジャーデビュー直前の「切ない乙女心」を歌うションションションの方向、本来の既定路線に楽曲の雰囲気を戻したものなんだ、ということが理解できるんですが、当時先輩ユニットであるBuzyが、活動を総括したアルバムを発表後に解散してしまったことなどが重なって、様々な憶測を呼ぶことになってしまったようです。


メジャーデビューを引き受けたTJCが、アミューズという大きな事務所からタレントを預かってわずか1年だけの活動でいきなり契約を打ち切ってしまう、というのも、現在から考えると不自然かな、という気がしないでもないんですがとにかく。


「PSPS」では、一年間を費やした「三部作」による実験「ボーカルエフェクト」の成果が現れているように思います。


「リニア」でいきなり強力なエフェクトをかけることを始めた中田さんは、それでもメロディの部分では3人の声が聞き分けることが出来るくらいに地の声の雰囲気を残していました。


それが「シティ」では完全に3人の声を混ぜ合わせ(シャンパーニュにおけるアッサンブラージュのように)、未分化のまま提出し、「エレワー」では「シティ」のような強いエフェクトをかけたまま、のっち、かしゆかの声を重要なソロパートに採用しています。


「PSPS」におけるボーカルエフェクトは


3人の地声の雰囲気を残しつつ(リニア)


⇒さらに強力なエフェクトをかけて混ぜ合わせ(シティ)


⇒ソロパート部分の歌声としても採用する(エレワー)


という三部作全てのボーカルエフェクトの要素が使用されています。


このボーカルエフェクトの萌芽は、「エレワー」のcw曲「W2」にすでに感じられます。


メンバー3人の声の個性は非常にはっきりとしていて、少なくともファンならば聞き分けを間違えることはありません。


たとえエフェクトが強力にかけられていても、あ~ちゃんの声は甘く切なく、かしゆかの声は甘くひび割れ、のっちの声はまっすぐに重いままです。


2006年、Perfumeは高校三年生になっていて、将来の生活、進路をリアルに考えなければならない時期に差し掛かっていました。


ティーンズアイドルとしては年齢的な盛りも過ぎ、無機質に性的に未分化のまま仮想空間世界の住人を演じつづけるにはやや育ちすぎています。


そんな微妙な時期に発表された「PSPS」は、歌詞も含めた楽曲の雰囲気、3人の声の個性を引き立てるボーカルエフェクト、「小芝居」「ステップ」「当て振り」三つの要素が少しずつ取り込まれた振り付け、少女から大人の女性としてのステップに足を掛けた3人の容姿、Perfumeというガールズユニットのイメージが長い活動期間を経てようやく統一を果たす記念すべき名曲です。


次回では、振り付け、歌唱パートの振り分けを細かく見ていきましょう ▽・w・▽