のっち。


歌、ダンス、トーク、そしてリップシンクによる総合的なパフォーマンスであるPerfumeのライブスタイルにおけるエース。


さらなる高みを目指すために女神が獲得し、天使とともに守護してきた宝石は、メジャーデビュー後にその輝きを増します。


のっちの中では歌うことと踊ること、は決して分離せず、彼女を形作る要素として一つに融けあい、身体の各部位は「歌=ダンス」用に合わせてビルドアップされています。


原典至上主義者であるのっちは、曲を聴いて、聴き込み、詞を読んで読んで、読み込んで(BEEカメの前で歌詞カードを読み始めると、カメラ前ということも忘れて読みふけるのっちの姿、覚えておられる方も多いんじゃないかと思います)、自分の中に明確なイメージを創りあげ、さらにMIKIKOさんの振り付け、という解釈を加えて完成させます。


身体の各部位、手、足、上体、下半身、指先、眼、口、時には眉や髪の毛、汗さえもが、イメージの再現のために奉仕させられています。


のっちの魅力について語られるとき、どうしても容姿に関する記述が多くなってしまうようですが、のっちの顔かたち、スタイルの良さ、というのは大きな才能のほんの一部分でしかありません。


ライブステージに立って、ファンの誰をも魅了するのっちは、のっちという姿かたちをした多くの才能の集合体です。


Perfumeのリップシンクに対する反応がファンとそうでない人たち、の間でこうも激しく食い違ってしまう最大の原因は、Perfumeが完成させつつある(歌+ダンス)≧リップシンク、という新しい形のパフォーマンスに対する知識の有無にあるんじゃないか、と思われます。


「音楽」を表現する際の形式、スタイルは様々です。


原始、「ヒト」が「音楽」を獲得した時から、或いは発明、発見した時からあらゆる方向に向けて進化の系統樹は成長を続けています。


音があり、声があり、抑揚があり、言葉があり、踊りがあり、歌となり、楽器となり、法則となり、形式となります。


「音楽」という進化の系統樹は全ての方向に向けて伸び続け、その枝の一つに。


「Perfumeスタイルのリップシンク」という青く、柔らかな若い芽が息吹き、成長を遂げ、蕾となり、花を咲かせようとしているんじゃないか、と思います。


のっちは、その枝についた蕾の中で最も早く大きな花を咲かせようとしているように感じます。


ステージ上で躍動する身体の動き、そして多彩な表情。


楽しいんだけど悲しく、うれしいんだけど切ない、という複雑な感情表現を求められる中田ヤスタカによって提示されるPerfumeサウンドのMIKIKOによる視覚化、それがPerfumeのライブステージです。


Perfumeのメンバーは、身体の動きのよって曲を、顔の表情によって歌詞を「歌って」いるんです。


声は、その中でとても重要な一部ですが、全てではありません。

「Perfumeスタイルのリップシンク」が、今後Perfumeの活躍によって、ライブパフォーマンスのスタンダードとして観衆の公認を受け、定位置を獲得することが出来たら、「音楽」は新しい表現形式をまた一つ、その大きな手の中に収めることになるような気がします。


…ちょっと話がずれてしまいました。

次回では、もう少し具体的に、曲名をあげながらのっちのリップシンクについて考えてみたいと思います。


テキストとしては、2007年までの「エレワー」と2008年以降それぞれの「エレワー」、「PSPS」「TSPS」「ディスコ」「BcL」「マカロニ」「ラブワー」のライブ映像が分かりやすい、と思います。

全部じゃなくても構いませんが、「bitter」、DVD版「GAME」は必らずお持ちのはずですよね、うん。 ▽・w・▽


追記:


あと、何とか頑張って「シークレットメッセージ」のライブ映像か練習風景も見てもらえたらな、と思います。

「タイムリミ」の部分しか歌詞部分の担当のないのっちは、この曲を「歌って」いるのでしょうか?


追追記:


今回の記事の内容と、プロフィール画像に用いている画像のイメージがあまりにも食い違うことを深く反省し、特に「噛みの子連合 ぼくにはのっちがよくわからない」の諸君にお詫び申し上げます ▽・~・▽