赤坂見附駅から歩いてすぐの場所にある豊川稲荷は、こじんまりとした神社なので初詣の参拝客が拝殿どころか門のところからずらっと並んでいた。
でも、門から離れた場所にある売店が並んだ側の通用門からも入れて、そこから屋台が並ぶ道を進むと拝殿への通路に出る。
そこから割り込むことも出来そうだ。
初詣はしない僕は、境内の様子を写メに収めただけで見物終了。
通用門から出ると赤坂御用地がすぐ近くにあるせいか警官の姿が目立つことに気づく。
そのうちの一人に新宿への道を尋ねると
「新宿?歩いて?」
と呆れ顔をして聞きかえされた。
少し引き返しても行けるし、青山一丁目の交差点を右折しても行ける、と教えられてなんとなく青山一丁目交差点ルートを選ぶ。
これがその日何度もくり返した判断ミスの何番目かになって、結局新宿にたどり着けず渋谷で妥協したのは前に書いたとおり。
歩き始めると右手側にずーーーーっと御用地の石垣が続き、食べ物屋はおろかのどを潤すための缶ジュースの自販機すらない。
ネットカフェを出る前に夜食用に買ってまだ食べてない方の焼そばを朝食代わりに食べて、それ以来何も食べていなかった。
頭の中にはペッパーランチ、ペッパーランチという言葉が呪いの言葉のようにプカリプカリと浮かんでくるんだけど、そんなものどこにも見えない。
青山一丁目交差点について右折しても新宿駅西口にたどり着くのは神宮外苑へいたる道を通ってもまだまだかかると判明。
そちらに行くとますます食べ物屋がなさそうだったのでもう少し直進して青山二丁目あたりまで歩く。
するとカレー屋など食べ物屋が数軒固まっているエリアに出た。
カレーでもいいか、いい匂いだし、と思って何気なくあたりを見回すとハンバーグ、の文字が。
地下一階にステーキ&ハンバーグの店があるらしい。
立て看板を見るとなんとどことなくペッパーランチっぽいリーズナブルなランチセットもあるのでそこに決定、でもこの店はハズレ。
カットステーキとハンバーグ、というメニューはペラペラの合成肉のステーキに牛肉の味のしない、そしてソースが本当にイシイのチキンハンバーグそっくりの味がして付け合せで鉄板の上に置かれたもやしの方がなんぼかおいしかったほど。
空腹を埋めただけの食事は僕からかえって歩く気力を奪った。
その店を出てなお歩く。
もう渋谷の方が全然近いらしいのでそちらを目指す、あと2キロだ、挫折。
途中で循環バスのハチ公バスに乗って渋谷駅、ビックカメラに立ち寄ってヘッドホンを見ているとオーディオテクニカ製品の試聴コーナーがあってがっつく。
ただ、こういう試聴コーナーで流れている曲って大抵はジャズのライブだったりハードロックだったりして、ハウスとかエレクトロの音に向いているのがどれか、という判別はまず出来ない。
まあ判別が出来ても高級ヘッドホンなんて買えないので、インナーイヤータイプのもので2000~3000円くらいのものでも、なんて思いながら結局買ったのは2500円→1280円、型落ち、在庫整理っぽい値段の耳掛けタイプ、イヤフィットヘッドホンというらしい。
これ、音がいいのか悪いのか未だに分からない。
多分あまり良くない、でもオーテクだからいいんだ、あ~ちゃんもおすすめオーテクなんだから。
渋谷駅付近まで行く途中から新宿とは逆方面、六本木行きはどうかね?と頭の中の迷走準備委員会が審議を始めていた(僕は数多くの委員会に所属している)。
六本木。
どこだ、まだ行ったことねーぞ。
それだけの理由で六本木行き決定。
歩く。
その時点でもう午後4時過ぎ。
赤坂見附の狐に化かされて無駄に時間を費やしてしまっていた。
背後から迫る夕闇から逃れるようにギロッポンを目指す。
だから、どこだそれ。
また詳しく道を把握しないまま歩き始めたことに気づいたのは、運良く六本木通りという道路標示を見つけた後だった (・~・)