現在、業務用のバター等、乳製品の一部が不足状態にあることをみなさんはご存知でしょうか。


職場のレストランで乳製品を取り扱う業者さんが、会社ごと廃業に追い込まれる、という事態まで引き起こしているのですが…


2006年の春に供給過剰に陥った牛乳が大量に廃棄処分された、というニュースを覚えている方も多いのではないか、と思います。


これは、牛乳は高カロリーで太りやすい、というイメージがついてしまったことによる消費量の減少に加え、暖冬のせいで乳牛が景気よく生乳を出して大量に余ってしまったことが原因、ということのようです。


そこで、生産者団体「中央酪農会議」は前年度よりも1.5%の減産を決定してその計画を進めていきました。


しかし、またもや暖冬。


乳牛たちは景気よくザブザブと乳を出して。


2006年の4月~12月までに2.5%という計画を上回る減産ペースを保っていたにもかかわらず、小中学校が春休みに入って給食がなくなってしまう春先には、また大量の牛乳が余ってしまうのでは、とさえ言われていました。


それが現在では生乳(原材料乳)の不足。


なぜ?


牛乳(生乳)というのは殺菌設備など、衛生面の管理が大変に難しくて個人による独自の販売、というのはほとんど不可能な状態にあって、生産されたもののほとんど全てが、大手企業によって買い取られることになります。


大手企業が買い取ることによって、生産量に左右されない安定した価格による取引が行われることになり、その結果、今年はたくさん乳が搾れたから値段を安くして、なんてことにはならない仕組みになっているんだそうです。


となると、買い取り手のない余った牛乳は捨てられる、というレ・ミゼラブルなことになってしまうわけです。。。


牛にしろ豚にしろ馬にしろ、経済動物というのは幸運な例外を除いて(幸運なのかな?)いつか必ず食肉にされてしまいます(もちろんかつての競走馬も)。


人間が食べたり、犬や猫用のペットフードとしてガリガリと消費されてしまうんです。


乳牛も、数年に一度くらいの割合で食肉として処分されて頭数を管理されているそうです。


そのこと自体に問題はないんですけれども、業者さんの話によると、今回の生乳不足、牛乳の大量廃棄に加え、どうやら乳牛を殺しすぎちゃったことが原因らしいんですね。


乳牛から搾り取られた生乳は、大手企業に買い取られた後


牛乳

加工乳(低脂肪乳とか)

乳飲料乳(コーヒー牛乳とかですね)

バター

ナチュラルチーズ

ヨーグルト


などに加工されていきます。


あと、脱脂粉乳とか。


バターってあまり加工の優先順位が高くないんですね。


ですから現在のように生乳(原材料乳)が少なくなってくると、まず飲用の牛乳が優先されて、バターなどは不足しがちになってしまうようです(一般向けはとにかく業者用は特に)。


そしてこの状態、あと数年(今年生まれた子牛たちから安定して搾乳出来るまでおそらく2年以上)は続く、と言われています。


ンモー、と生まれてきた子牛は、一週間くらい初乳(消化しやすいたんぱく質やビタミンなどが多く含まれ、免疫成分もある)を飲んだ後に母牛から引き離され、専用の施設で育成されます。


生後2ヶ月で離乳をすませた子牛(育成牛と呼ぶ)は、生後約18ヶ月で初めての種付けを行います。


人間だったら間違いなく犯罪レベルの早熟さですね。


雌牛として育ち、妊娠出産を済ませた牛は、今度は自分が母牛となってお乳を出すことになります。


その期間、なんと約300日間!!!

しかも毎日という律儀さ。


そんなに律儀にお乳を出し続け、また子牛を生み、また律儀にお乳を出して、変化に乏しい毎日ながら、それなりに平穏な日々を過ごしていた(であろう)乳牛たちは、ある日突然に、処分されてしまいました。


僕たちや、僕たちが家族として共に暮らす小動物たちの食料になったのかもしれません。


彼女たちが出したお乳は、子牛たちに飲まれることも、どこかの工場に運ばれて殺菌され加工されることもなく、下水と同じ過程を経て処分されしまいました。


取り返しがつかないほどたくさんの牛とたくさんのミルクが。


酪農家を取り巻く環境というのは、非常に過酷なもののようです。


彼らに向かって、牛を殺すな、とか牛乳を捨てるな、なんて誰にも言う権利はありません。


生活の糧を得るために経済動物を飼育しているのですから、生殺与奪の権は彼らの手の中だけにあるべきであり、生産物である牛乳の処分も彼らの意思にのみ決定する根拠があるべきです。


でも。


生産の計画や意思決定について個々の酪農家よりも上位に立ち、より強い権限を持つ誰か、あるいは何かがある以上、その誰か、あるいは何かについては、今回の生乳減少による乳製品不足の責任が問いただされてもいいのではないか、と思います。


ただの消費者に過ぎない僕らはともかく、職場や収入を失う人たちによって▽・w・▽


今回の日記を書くにあたっては「バター不足」や「乳製品不足」という言葉をネット上で検索し、ヒットした個人サイトの記事や「中央酪農会議」のHPを参考にさせていただきました。

個人サイトはいろいろと渡り歩いたため、どなたのサイトか、ということが判らなくなってしまったので検索したサイトのみなさん、すいません、ありがとうございました。