(村上委員) 

私からは、2月28日の委員会で質疑した、スクラップヤードでの保管上の適正管理の関連で質問します。
 4月2日の日経新聞に鉄スクラップの逼迫観測が出ておりました。脱炭素の流れから、鉄鋼高炉の大手はカーボンニュートラル達成を目標に掲げる上で、製鋼工程で高炉から電炉にシフトしています。高炉は石炭や還元剤を熱源として使うために、CO2を大量に排出しており、電炉は鉄スクラップを原料に使いCO2の排出量を高炉の4分の1まで抑えられるということが報道されています。
 今後、ビルや家屋の老朽化などから、年間3,000万トン程度の鉄スクラップが発生すると言われており、このうち2,000万トンが電炉材料として国内で使われ、残りの1,000万トンが海外輸出されるだろうということで、今後もっと国内で循環されることが目されております。
 そういった中で、日本国内における鉄スクラップの中でも最も流通量の多い指標品種のH2の平均の流通価格が2015年秋の最安値の頃に比較して、現在、1トン当たり5万2,000円と、3.5倍まで上昇している状況です。
 日本の鉄スクラップがかなり良いということで、海外からもかなり求められています。今後、鉄スクラップは国内の政策や産業構想面からも大変重要な国内の資源として私は認識しております。
 まず、広島県内における鉄スクラップの輸出状況はどうなっているのか、お伺いします。

(商工労働総務課長) 

令和5年度の財務省貿易統計によりますと、鉄スクラップの輸出量及び輸出額は、全国で約633万トン、約3,971億円となっており、そのうち広島県では約4万8,000トン、約31億円となっております。
 これは5年前に比べますと、全国では約100万トンの減少、約648億円の増加となっており、広島県では約4,000トンの減少、約5億円の増加となっております。

(村上委員) 

電炉による鋼材は自動車などに使われる丈夫な鋼材ではないということで、福山市のJFEでは、現段階では電炉による生産は予定しておりません。
 電炉による製鉄というのは発展途上で、世界中の国々が開発に予算をかけて、これができれば世界の鉄鋼状況は変わると言われているぐらいに進んでおります。
 しかしながら、27年には倉敷に高炉が導入されますが、今後、製鉄する際の鉄スクラップが国内で不足することが、容易に想像できます。
 そういった中で、鉱物資源の乏しい日本において、鉄スクラップは大変貴重であり、先ほど、日本国内の状況で言えば減っているというところはありますが、これから都市部の開発などで相当出てくることも十分予測されますので、本当に重要だと思っています。
 今後、ビルの解体工事が進んでいくことで、かなり多く出てくるだろうということも想定され、これから何らかの規制、調査が必要ではないかと思うのですが、お伺いします。

(商工労働総務課長) 

鉄スクラップは、カーボンニュートラルに向けた電炉の拡大により、将来的に需給が逼迫するとの報道もあることから、資源として重要なものと認識しております。
 一方で、民間事業者による経済活動によるものであり、規制等には慎重な対応が求められるものと考えております。
 今後については、鉄スクラップの需給状況を注視し、必要に応じて県内事業者等からヒアリングするなど、調査・検討を行ってまいりたいと考えております。

(村上委員) 

もちろん、規制というのは民間の経済活動の自由を阻害するということで、なかなか難しいのは私も承知しているのですけれども、今後、日本における廃棄物というのは、リサイクル材料として、都市鉱山としての要素も強いですし、特に円安、CO2の排出量対策といったところも含めて、国も動き始めると思いますので、その事前の政策というのは県の中でやっていくべきと私は思っています。
 特に福山市では、2017年度の環境省特定事業者排出データによると、温室効果ガス排出量で、JFEスチールが2,286万6,000トンのCO2を排出しておりまして、県内の産業部門の排出量が約4,000万トンですので、56%も福山市が占めているのです。
 こういった中で、JFEスチールも開発競争に力を入れていただいているのですが、仮に電炉を導入したときに、リサイクルの鉄が十分確保できるのは、ほとんど都市部です。県内でもこのような形でやっているということを事前に認識することが必要と思っております。
 その一つの提案として、産業廃棄物の業界というのは、かなり複雑で奥が深い状態でありまして、特に外国人が経営する業者、これがなかなかつかみにくいというところが業界のネックになっています。こういった相談もかなりあるのです。
 例えば、ごみ廃棄に関わる電子マニフェストというのがありますけれど、この進捗というのは環境県民局になると思います。そして、インボイス制度によって、どのような形で税を納めているのかといったものが詳しく分かるのですが、これは国税庁になる。
 要は、国、警察、知事部局の様々な部局で連携しながら、この業界の全体像の把握をまず進めていくことが必要であることを私からは強く要望して、質問を終わります。