
『家計金利ある世界に備え』
『新ニーサで家計革命』
『タンス預金3か月連続減』
『140兆円をどう使うのか?預金60兆円問題』
『預金60兆円大都市が吸引』
『家計金利ある世界に備え』
・家計が金利ある世界に備え、満期1年以上の定期預金の残高が減る一方、1年未満は約8年ぶり高水準にある。直近2023年11月銀行預金残高は970兆円。このうち定期預金は220兆円は220兆円で全体の2割を占める。定期預金のうち満期期間は1年以上残高は152兆円で3%減った。1年未満は11%増53兆円。
・1年以上の定期預金は流出が続く。マイナス金利導入前は185兆円前後で推移し預金全体の3割弱を占めたが足元で15%程度までさがった。23年3月米国シリコンバレーバンクが破綻した背景は預金が逃げ足の速いスタートアップ企業中心だったことがあり、抜けにくいとされる個人の安定預金は銀行にとって安定的な資金調達源で0%金利でつなぎとめてきた。
・物価が持続的に上がれば金利の低い預金目減りが続けばリスクは高まり、銀行・預金者双方にとって預金の位置づけは変わり始める。
『新ニーサで家計革命』
・2023年9月時点で2121兆円だがドル換算だと12年前のピークから3割減少。
通貨円に価値保存機能低下による危機感が広がりつつある。日本の株式市場構造的課題は3つある。
1:株主の老齢化で60歳以上が86兆5000億円と全体の6割を占める。1月は外国人が1兆9000億円買い越したが個人は9900億円売り越した。
株価が上がれば金融資産の取り崩し期を迎えた高齢者による売り圧力が高まるのは必然だ。新ニーサは株価暴落時に真価を発揮する。
高齢者が上値で売り、現役世代が下値で買うというリサイクルで株主の世代交代と多様化が進み企業統治が活性化する。
2:個人の時価保有の低下。かつて5割前後だった家計による株主直接保有割合は2019年15%程度まで低下した。企業成長と家計の購買力向上が相互作用する好循環が生まれた
3:慢性的な売り手不足問題だ。上場企業は過剰資本で自社株買いはするが新株発行は低迷。過去4年は平均5兆円以上の上場株式が消えた。日銀はETFを通じて時価推計60兆円以上吸い上げ企業の持ち株解消売りも底が見えている。
『タンス預金3か月連続減』
・2004年紙幣切り替え時には前年同月比で7.5%減少した経緯があるが23年12月時点で59兆4000億円と23年1月に比較すると1兆円減った。仮に2004年と同様に7.5%減少すると4兆5000億円程度資金が動くことになる。
・今後はタンス預金より匿名性が高くインフレ耐性に強い金に向かい、高齢者の中には新札発行で旧札が使えなくなるという誤解もある。国民一人当たりのタンス預金は48万円となるが現預金の割合が55%で米国13%、ユーロ圏36%と比較し突出。
『140兆円をどう使うのか?預金60兆円問題』
・ある企業は半導体メーカーを買収してきたが今回設計ソフトという目に見えない無形資産に着目し9000億円投資すると決定した。今や自動車・家電などがスマホの様にソフトで動く。高度で複雑な設計を簡単に誰でも使えるようにする。
・日本企業は失われた30年間で守りの経営を続けてきたが財務は強固となり上場1480社が保有する現預金は23年末で140兆円と最高水準にある。
・米企業の株式総額で9割が無形資産に由来する。アップル有形資産は数%に過ぎない。テック企業を代表する形のない資本主義が世界を席巻している。ソニーは10年で4兆円無形資産が倍増しエンタメで世界首位を狙えるようになった。眠る140兆円で社会を変える力が手に入れば産業の秩序が塗り替わる。
『預金60兆円大都市が吸引』
・相続に伴い今後30年間で58兆円の家計金融資産が東京圏に流入すると試算される。
東京圏の純増額は38兆円で奈良や秋田、愛媛など17県では家計金融資産の3割以上が県外に流出する可能性があると言われています。
・全国の信金の預金残高は162兆円で前年同月比1600億円増えたが伸び率は0.1%に縮んだ。20~21年には新型コロナウイルス支援金で8%超える時もあったが足元でも無利子無担保のゼロゼロ融資の返済に伴う預金流出が起きています。
・すでにJAバンクではマイナスに転じており10か月のうち9か月は前年割れだ。信金とJAバンクの共通するのは高齢化が進む地方という地盤。大手銀行は24年2月までの1年間で15兆円預金が増えている。
・マイナス金利解除で3メガバンクは0.001%だった普通預金金利を0.02%に引き上げて定期預金も金利引き上げた。楽天銀行は預金残高が23年12月10兆3100億円と1年間で1兆4700億円増やし口座数も1400万を超えた。