『外国観光客に優しくない北京』

『中国への海外からの投資低水準』

『中国株価対策』

『アップルカー撤退EVの壁』

『中国ショック2.0』
『中国メーカー過剰供給太陽光パネル1年で半値』

 

『外国観光客に優しくない北京』

 

・北京ではどこも外国系クレジットカードが使えず支払い手段はスマホ決済だけ。スマホ決済でも日本から持参したスマホに搭載されている日本製は使えず中国モノに限る。

人民元現金もほとんど使われず現金支払いが拒否される。

・デジタル人民元など中央銀行デジタル通貨実証実験も先行している。キャッシュレス化と同時に脱クレジットカード化も進んだためカードか現金しか支払い手段を持たない外国人にとっては極めて不便な状況だ。

・現金流通が無くなり、デジタル決済が進めば政府が資金の流れや購買行動など市民の経済活動を把握する事がやりやすくなる。中国のデジタル金融化は使用者の利便性よりはデータ管理に重点があるのかもしれない。

 

『中国への海外からの投資低水準』

 

・23年対中直接投資は5兆円で2年連続減少で21年の1割弱に落ち込んだ。景気停滞、スパイ摘発懸念・米中の対中規制を受け外資の中国離れ。さらに少子高齢化による労働者不足も顕著になる。
・23年7月改正半スパイ法調査会社が滞り企業が新規投資に必要な調査ができない。半導体投資も米国規制などに伴いアジアに拠点を移す。
・中国社債償還140兆円は24年に満期を迎えるのが前年度より2割増える。特に地方政府系の投資会社融資平台の増加が目立つ。10年前の7倍となっている。10年で2倍となるGDPを増加率を大きく上回る。
・償還額は26年まで3年間では400兆円に達する。3割は融資平台だが米国格付けムーディーズが融資平台26社を一斉に格付け見直しを発表で安定的からネガティブに変更。
融資平台は収益率が低く地方政府の支援が不可欠だが収入の2~3割を土地使用権売却に頼ってきたが企業は地方政府からの土地使用権購入を大幅に絞っている。

期間3年の社債8%台の金利で不良債権も50兆円を超えて14年末の3倍になった。
 

『中国株価対策』

・中国は41兆円の市場安定基金を用意している。日本も過去同じ対策を練った。
郵貯や簡易保険、公的年金など政府が采配できる公的マネーの買い支えだ。

・政府の買い支えで短期的な反発は演出できても本格的な株価引き上げにできない。フェアバリュー水準まで株価が下がればおのずと買いは入る。
人為的な買い支えは市場の価格機能を阻害し、逆に株価低迷を長引かせる。
・アベノミクスから段階的に進めてきた上場企業ガバナンス改革で株主から預かった資本を継続的に増やしていく経済環境を整えない限り株価を長期的に上げる事はできない。

『アップルカー撤退EVの壁』


・自動車は電話やスマートウォッチよりとても複雑でアップルが10年越のEV開発を断念した。人が乗るEVには高い安全性が求められている。EVは多大な人的コスト、そして環境負荷がかかる事がわかってきた。
・ボディ形作る鉄鋼とアルミニウムを除けば、EVはガソリン車の6倍の鉱物資源が必要とされ大勢の労働者を動員いなければ採掘と加工は叶わずその際の汚染も大きい。
リチウムやニッケルなど重要鉱物はいずれもアフリカやアジア、南米の新興国に偏在している。EVブームは鉱物インフレだけでなく、各国の資源ナショナリズムを生み出した。
・アップルEV参入の同時期に国家レベルで取り組み始めた中国は製造大国から製造強国へ中国製造2025を掲げ、EV産業育成を柱に据えた。
23年はEV販売が年100万台を超えたが急速に売れ行きは鈍り、足元ではプラグインハイブリッド車などが現実解ではないか?といった議論すら広がっている。
・EVが本当に必要とされる地域がどれほどあるのかも揺らいできた。きれいになるのは先進国だけだと環境汚染に苦しむ資源国の不満は高まっている。中国が得意とする先進各国による搾取批判を放置すれば中国を利する南が強まりかねない。

 

『中国ショック2.0』

・中国輸出攻勢に対して相手国側は貿易制限の動きを表面化。アメリカは鉄鋼、アルミニウムEV半導体などの中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げる。
EUも中国製EVに対して追加関税の導入を検討している。インド・チリ・アルゼンチン・インドネシアといった国でも反ダンピング調査や輸入関税引き上げに動いている。
・1990年代から2000年代初めにかけてのチャイナショックは安い中国製品の流入がインフレ抑制に繋がった反面、国内製造業の雇用が失われた。他方で生産コストの引き下げを狙った先進国企業の対中投資が活発化した。前回は中国が世界経済に組み込まれるプロセスにあった。
・今回、中国は最大の製造大国になり低価格・大量生産品ばかりかグリーントランスフォーメーションなどの先進分野でもサプライチェーン構築を進めている。中国と西側先進国、とりわけ米国との関係が悪化し世界は分断されている。
また先進国はDX・GXなどの分野で自国産業の育成に力をいれており、こうした分野で特に中国製品への警戒感が強い。
・安価な輸入品への流入によるインフレ鎮静化というプラス面より雇用喪失の懸念や経済安全保障への配慮が優先され高関税も是認される状況だ。

日本企業も他人事ではない。中国での事業自粛はもとより、日本製品が世界中で先進国から締め出された中国製品との競合にさらされたり他国の関税引き下げに日本製品も巻き込まれたりする恐れもある。
 

『中国メーカー過剰供給太陽光パネル1年で半値』

・世界生産7~8割を占める中国メーカー過剰供給により直近で半値に急落した。欧州ではパネルメーカーが経営危機から工場を止め、業界団体がEUに救急支援を求めた。太陽光パネル価格は発電容量を示す1ワットあたり約17円となり1年前は33円でおよそ半分で欧州メーカーは売れ残った大量の在庫を抱えている。

 

・中国では内需を狙い各社が大規模な投資を重ねた結果、脱炭素の需要以上のペースで供給力が高まった。22年の世界全体の生産能力は700ギガワット(1ギガ10億ワット)同年の設置量200ギガワットの約3倍と供給過多になっている。

・米国は太陽光パネルへのセーフガードを続けており追加関税で国内産業を守る姿勢を打ち出すため欧州に比較して大きな影響は出ていない。日本は価格攻勢で撤退しており汎用品はほとんど手掛けていない。太陽光発電所の設置費用3割をパネルが占める。残りは送電ケーブルや工事費などだ。建設費や保険料など他のコストが上がるため全体の設置費は安くなっていない。