『円買い介入余力はあと8回?』
『円安介入について』

『円買い介入余力はあと8回?』


・円売りドル買いに動いた市場参加者の多くは含み益を抱えている。円売りから撤退を余儀なくされる水準まで円相場を押し上げられず依然として円が売られやすい状況。

5兆円規模でも円高進行は限定的だった。介入は効かないという認識から円売りが強まる不安を感じさせる内容だった。


・介入を明言しなければ大規模な円買い注文が入った際に介入と誤認して円の買戻しを誘える。市場を疑心暗鬼に陥らせたい思惑がある。円売り介入と異なり、円を買うためには元手となるドルが必要なる。元手となる外貨準備は3月末時点で200兆円。
これらをすぐに介入原資として使えない。


・米バンクオブアメリカは政府が保有する外貨預金1550億ドルと満期1年未満の短期証券1720億ドル合わせて3000億ドル47兆円前後が24年上限と試算する。
ドル建ての外貨預金はそのままドル売りの原資として使えるが満期の長い米国債を売却するには市場で売却しなければならない。米当局の理解を得る必要がありハードルが高い。

 

・売却できる証券は2000億ドル程度で預金と合わせて3000億ドル程度が短期的な上限で円買いを5兆円規模で考えると円介入は8回程度のイメージ。
政府日銀の懐事情が見透かされると投機の円売りが強まる可能性が高まる。


『円安介入について』

・歴史的な円安が続く中で政府日銀による円買い・ドル売り為替介入とみられる取引が相次ぎ円相場が大きく変動している。米国の利下げ観測の後退があり日本側対応に限界がある。5%超の政策金利を6会合連続で据え置いた。
年内3回の利下げ見通しは後退するのが確実だ。


・介入は無秩序な動きに対抗する手段として場合によっては選択肢になるが円安背景には米国のしつこい物価高がある以上、根本的な解決策にはならない。
日銀が円安介入阻止のため利上げを急ぐのは金利上昇の副作用が大きく避けるべき。


・円安はグローバル企業収益を押し上げる反面、物価を超える所得増の実現を遅らせ個人消費の停滞が長引く懸念を伴う。さらに日本企業が海外でためたお金を含め国内企業の投資をひきつければ、長い目で見て為替の安定に繋がる。


・1991年からの介入データを解析すると24年3月末まで合わせて
A円売り・ドル買い介入が79兆8237億円
B円買いドル売り介入は14兆674億円
Aで購入したドルからBで売却した分を差し引いた金額のドルを政府は介入に伴い保有している1ドル160円で換算するとその額は109兆円だ。


・介入時のドル相場はAドル買い介入の際は平均で101円70銭。Bドル売り介入の時は平均で139円40銭で1ドルあたり37円70銭利益が出ている。
4月29日160円で差し引くと1ドルあたり58円30銭利益で5兆円規模なら36.4%で1兆8200億円利益が出たと想定される。


・5月2日は3兆円でその時の水準で考えると1兆500億円利益で合わせて3兆円の利益は手元に残る実現益だが税外収入として国庫に納付される。