『国産牛が買えない未来』
『大手の電気料金で公正取引委員会提言』
『肥料世界で値下がり』
『漁獲量2050年ほぼゼロに』

『通貨急落で成長を描き直す』
『5円玉材料費4.71円 銅EV・AI需要で最高値』

 

『国産牛が買えない未来』


・需給ひっ迫や物流コスト上昇でコロナ前からウクレレ木材の価格が3割上がった。いずれハワイ材でウクレレを作れなくなる。前橋市の楽器工場大沢さんは語る。

アフターコロナで買い負けの様相はさらに深まった。売り先として日本の順位はまた下がった。世界から買えないものが増える。

 

・日本の伝統的な玄そばは8割を海外依存だが支払い条件を引き上げられた。背景にはウクライナ侵攻による穀物相場の高騰でトウモロコシや小麦の作付け面積を増やそうとする農家は日本向けの玄そばを後回しにしがちだ。23年産の価格は前年より15%高い。

 

・国策で輸出を促す和牛だが香港や米国などから引き合いが強く、高級部位は3割海外で今後4~5割と伸びていく。百貨店などに並ぶサーロインは200グラム5000円で国内で消費が簡単にできる食材ではなくなった。

 

『大手の電気料金で公正取引委員会提言』

・低すぎは独禁法の恐れであり、供給コストを下回るなど著しく低い価格設定


・大手電力と新電力の取引条件は購入した電力の転売禁止、購入した電力の供給エリア制限、電力購入の上限量を設定。


・大手電力の小売り部門が採算性を度外視し低料金で家庭向けに販売するなどが複数で確認されている。新電力シェア17%程度になっている。

 

『肥料世界で値下がり』


・主要肥料であるチッソ、リン酸、カリウム23年から3~5割値下がり。カリウム価格は欧州で5割下落した。ロシアによるウクライナ侵攻で窒素肥料の主な原料となる天然ガス高騰したが下落と共に値下がりした。

 

・ウクライナ侵攻以降のロシア輸出増え中国も厳しい税関検査と規制緩和した。

肥料価格の下落影響は主に2つあり農作物の収穫量増加でトウモロコシは肥料を使わないと4割減る。21・22年農家が肥料使用を減らした。欧米の利上げを受けて借入金を減らし肥料支出を抑え作付面積を縮小した農家も多い。世界的な異常気象も重なり幅広く値上げが連鎖した。23年は使用料が3%増え、24年も2%増え南米・東アジア南アジア増加分の3分の2を占める。


・もうひとつは大規模農家の負担緩和だ。米農家は種子代、光熱費、人件費など負担の中で肥料が占める営業費用に占める割合はトウモロコシ、小麦は35%で最大で損益分岐点を下げると予測される。
牧草コストも22年まで下がる見込みだが肥料以外のコストが下がらないとアグリインフレ解消は本格的に進まない可能性がある。

 

『漁獲量2050年ほぼゼロに』


・スルメイカ漁獲量は最盛期の5%にまで減った。1968年に67万トンから21年には3.2万トンに過ぎない。温暖化が影響している。水産庁調査によると産卵場となる東シナ海の水温が上がり産卵や生育に適さなくなった。サンマも最盛期の3%しかとれていない。

・1984年約1150万トンだったが21年には319万トンと4分の1だ。とれるようになったのはブリは年12万トン増加基調、漁や加工の対象を変えるのは魚種転換と言われます。自然を相手にするための知恵だがハードルは高い。漁船や網など整備を入れ替える必要がある。

 

・国からの補助金があるが利益が確保できる水準で魚がとれるとは限らない。

温暖化だけが不漁の理由ではない。乱獲も避けなければならないが漁獲制限すると漁業者は収入が減る。漁業収入安定対策事業として580億円超が計上された。

・巨額予算も魚を増やす効果はない。政策支援も【とる】から【育てる】に発想を切り替えなければ産業としての復活は難しい。

『通貨急落で成長を描き直す』

・宮城県の小中学校5800人分を調理する給食センターでは献立から栄養価が高い牛肉が消えた。米や牛乳が9%値上がりし牛肉は1食300~360円の予算に収まらなくなった。

・ディスカウントは日本の円安問題なので日本側の問題だ。円安は中長期の国力に繋がる人材・科学技術や防衛の力まで削ぐ。23年末ITエンジニアは東京は6万2530ドルで米国サンフランシスコ湾岸地域の4分の1、シンガポール・北京でも3割低い。
国際的に技能を持つ人が日本で働く動機付けは弱まっている。

・スパコンリース契約も当初7億5000万円から10億円と3割増。
ステルス機は1機140億円だが取得計画では116億円。C2輸送機も230億円が297億円に膨らみ部品などを米国から調達している

 

・今後は債権取り崩し国が迫るが、門司港の九州経済圏貿易統計を見ると全国収支9兆赤字に陥る中で23年は4946億円黒字を確保した。自動車大手製造拠点が集まりTSMCを中心とした製造網が生まれる。九州電力は原発4基持ち、原子力割合23%で全国平均6%を大きく上回る。

・九州と同じ面積を持つスイスは物価上昇や人件費が高い事で知られるが化学・医療品を中心に高付加価値の製品を生み出す企業を育て新たな産業を構築した。


 

『5円玉材料費4.71円 銅EV・AI需要で最高値』


・非鉄相場の値上がりだけでなく円安が貨幣の製造コストを高めた。銅は1トン165万円で亜鉛1トン52万3000円だ。昨年末時点は3.68円から28%上昇した。


・EV普及や生成AI開発に必要なデータセンター建設ラッシュで電力供給の電線需要の増大が見込まれマネー流入が加速しており新時代の石油と呼ばれ世界の囲い込みが始まっている。
電線ケーブル盗難は23年認知件数は1万6000件を超え世界でも多発している。

 

・脱炭素社会への移行で銅は電気を通しやすくEV心臓にあたるモーターやワイヤーハーネスなどに同素材が使われる。EVの場合、ガソリン車の4倍銅は必要だ。太陽光発電と風力発電でも大量の送電ケーブルが必要となる。25年に世界の銅需要の12%にあたる403万トン30年には695万トンに伸びる。生成AI開発競争も需要増大の思惑を生んでいる。

 

・インドネシアが23年に未加工の銅鉱石の輸出を禁止する方針を打ち出した。今後、銅需要は石油と同様に世界景気や地政学リスクに揺さぶられそうだ。