質疑(村上委員) 

 

私からは、投影広告物を活用した防犯活動に関する質問をさせていただきます。
 大分昔の話ですが、福山市では2011年度からの3年間で、市内約3万2,000個の防犯灯をLEDに切り替えております。それにもかかわらず市民から夜道が暗いという声が多数寄せられています。市民の多くは、街頭での犯罪は、防犯灯が整備されていない暗い場所で起きているという感覚があると思います。犯罪の発生と照度の関係性について正確な根拠があるかは分かりませんが、私も同じ感覚があります。このようにみると、声がけ事案等が発生するたびに不審者情報と一緒にマップで表示されているオトモポリスで、防犯灯の有無が紹介されていないのは少し残念だと思っております。
 そこで、最初の質問です。「減らそう犯罪」第5期ひろしまアクション・プランでは、犯罪に遭わせない、起こさせない、犯罪予防力の高い生活環境を整える対策が掲げられておりますが、防犯上、照度を確保することの有用性を県警察としてどのようにお考えなのか、また、防犯性の向上と安全の確保に配慮した公共空間の整備の一環として、道路管理者等に防犯灯整備をどのように働きかけておられるのか、お伺いします。

答弁(生活安全部長)

 犯罪の起こりにくい安全・安心なまちづくりを推進する上で、住宅街や通学路などを点検するなど、犯罪や事故が発生するおそれのある環境の解消、改善に向けて取り組む必要があります。
 防犯灯を住宅街等の暗い場所へ設置することは、犯罪を企てている者に犯行を思いとどまらせるなど、県民生活の安全・安心を確保する上で効果が期待できるものと考えております。
 また、県警察としては、引き続き県内の各市町、道路管理者等と協議の場を設けるなどして、必要に応じて必要な箇所に防犯灯が設置されるよう働きかけたいと考えております。

望・質疑(村上委員) 

 

今、必要に応じて必要な場所でという御答弁をいただきましたが、防犯灯の整備が防犯上有効に働くということは今の説明で分かりました。
 ただ、犯人しか知り得ない事項が周知の事実になることで捜査に支障を来すということもお伺いしております。とはいえ、捜査の中で不審者があった場合に、照明がどうだったのかや、防犯カメラはどうだったのかなど、情報の精査もしていただきたいことも強く要望させていただきます。
 同じくアクション・プランに掲げられている一人一人の犯罪抵抗力を育む対策や、地域ぐるみで犯罪抑止力を高める対策においては、防犯に関する広告物も大きな効果を発揮すると考えております。
 私は、最近町なかで見かけるようになったプロジェクターで路面に投影された企業ロゴをヒントに、ひったくり注意などのメッセージを暗い夜道に投影する方法を考えているのですが、こういった路面に投影する行為は道路交通法上、何らかの規制を受けることになるのか、県警察の考えをお伺いします。

答弁(交通部長) 

道路における禁止行為としては、道路交通法第76条第4項第7号で、第2号から第6号に掲げるもののほか、道路または交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、または著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為を規定しております。この道路交通法の規定を受けて、広島県公安委員会が定める広島県道路交通法施行細則第11号では、道路における禁止行為として、運転者等の目を眩惑するような光をみだりに道路に投射することと規定しております。そのため、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする道路交通法の趣旨に照らすと、質問にあった道路に投影する行為については、投影する光の照度や方向、運転者に与える影響などを踏まえて個別に判断することとなります。

要望(村上委員) 

 

12月に平和大通りでも照度を高めてイルミネーションをやっていて、照明から落としているロゴは影なので眩惑させるようなものかと言えば、私はそうではないと思っております。
 私が住む福山市には24時間営業をしているスーパーがかなりあるので、動線上にスーパーが社会貢献に取り組むCSR活動の一環として企業ロゴとひったくり注意などの防犯メッセージの2つを入れてくださると、夜に来店するお客様が増えるなど、プラス材料にもなっていくと思います。
 地域の民間企業がやっていただくことを考えると、企業の社会貢献としていいのではないかと思います。広告物として路面に投影すれば、通行人の防犯意識向上に一役買うだけではなく、協賛企業からの広告収入が事業のランニングコストに充当されて、自治体にとっては費用を投じることなく防犯活動を展開できることになります。これは住民、企業、そして自治体にとってウィン・ウィンの取組になると私は確信しております。このアイデアに関して、県の道路部局からは、路面に投影する行為自体は道路法第32条に規定する道路占有許可の対象ではないと聞いておりますが、先ほどの答弁にもあったとおり、果たして道路交通法に規定される道路における禁止行為に該当するのか、あるいは屋外広告物条例の規定に抵触しないのかといった確認は必要であると思います。特に竹原市などの古きよき町並みを大切にする地域などに企業ロゴが果たしてあってよいのかなど、地域のニーズや課題はあると思うので、先ほど答弁いただいたことが各自治体にとって本当に必要であるか考えるべきだと思っております。
 ただ、私には先端技術の導入に際して、従来の規制に抵触してできないといった考えが行政機関の中で先行するあまり、新しいアイデアに柔軟に臨む姿勢が欠けているのではないかと感じることが多々あります。県警察におかれましては、既成の概念にとらわれるばかりではなく、新しい発想を柔軟に取り入れることも念頭に検討していただくことを要望して質問を終わります。