次に、宮城県美田園高等学校では併修制度に取り組んでいましたが、先日、広島県教育委員会も視察に行ったとお伺いしました。現在、広島県教育委員会において、通信制を活用した併修制度、特に全日制と通信制の併修制度に対する認識と課題についてお伺いします。

 

答弁(高校教育指導課長) 

 

学校間連携における全日制と通信制の併修制度につきましては、生徒が通う学校──自校において開設されていない科目や、自校において開設されている科目であっても、より専門性の高い授業や特色のある授業を履修することができる制度であると認識しています。
 この全日制と通信制の併修制度を活用する際の課題としましては、制度上、修得できる単位数が36単位までと上限があり、卒業に必要な単位の全てを修得することができないこと、また、生徒が履修を開始する前に、生徒の理解や履修する科目選択など、前年度からの連携が必要であるため、年度途中からの履修は難しいことなどがあると考えています。
 県教育委員会といたしましては、学校間連携による全日制と通信制の併修制度の活用など、引き続き他県の事例も含めて研究してまいります。

 

質疑(村上委員) 

 

様々な課題が、国の制度の問題もあって進みづらいところも伺っていますが、私はこの宮城県美田園高等学校でも質問させていただきました。職業訓練校との連携はどうなっているのかと伺いしましたところ、現在、ここでもしっかりと連携は取っているとの話で終わりましたが、広島県の通信制高校と高等技術専門校の連携が取れていることは課長からも伺いしました。
 不登校生徒が増えていく中で、高等技術専門校との交流を通して地域の企業に根差す考え方も必要ですが、現実的には、進路指導主事に話を持っていって、そこで終わりになることが結構あるみたいです。それは以前から質疑し、そういった話をそれぞれの担当課長から聞きました。実際には、生徒はやはり担任に相談するところが大きいので、担任とつなげていただく、密な連携を求めているのですけれども、そういったところも含めて、どのような形で教育委員会がこれから高等技術専門学校、さらに言えば健康福祉局など、子供たちにいろいろ関わっていくところに関して連携を取っていくのか、所見を伺います。

 

答弁(高校教育指導課長) 

 

職業能力開発校との連携につきましては、進路指導主事やジョブ・サポート・ティーチャー等が参加する会議、高等学校就職促進会議等におきまして、今年5月、8月、10月の計3回、職業能力開発校の代表者の方を招聘し、直接取組内容等を説明していただく場面を設定したところです。また、令和6年度の職業能力開発校の募集につきましても、9月に各県立高等学校長に対して通知を行い、周知を図ったところです。
 不登校生徒が増えている現状で、高等学校における進路指導の場面において、その生徒の進路希望や生徒を取り巻く状況等を丁寧に聞き取りながら、担任や学年主任等とも一緒になって考えることなどの支援を行う中、職業能力開発校等の紹介を行っているところです。
 県教育委員会といたしましては、引き続き関係機関と連携を取りながら、職業能力開発校等の情報が校内で十分共有されるような体制構築に向けて学校を指導、支援してまいります。

要望(村上委員) 

 

以前よりも本当に前向きな答弁が返ってきたので、大変ありがたいのですが、やはり職業訓練校が厚生労働省の管轄というところもあり、壁を以前はすごく感じていました。今お話しされたことを、周知だけで終わらせないようお願いします。
 特に授業料だけでいえば、職業訓練校が11万8,000円で、そして職業能力開発短期大学校では39万円で、国家資格が手に入ります。しかも、これから必要とされる職種における手に職というものが手に入ります。ぜひとも学校にチラシ配付で終わりではなくて、広島県の子供たちに学力ではない、多様な考えや進路を指し示すようにしていただければと思っています。
 言葉を選ばずに話をすると、昔は、職人かたぎという言葉で、寡黙にこつこつとやっている人というのが、そういった言葉で終わっていたものが、今では何かすぐに、あの人はコミュニケーション障害だとか、何らかのその枠に当てはめようとするような風潮があります。実際に過去、私の友人たちでも、美術になるとすごく集中してやる子が、今、美容院で頑張っています。自分の能力を生かすところへ進んでいるのですが、こうしたことをもっとつくっていただいて、排他的にしないインクルーシブ教育の実現を、広島県教育委員会と職業訓練校が一丸となってしっかりと進めていただきたいと思います。