質疑(村上委員) 

 

私からは、業務の合理化と組織力の強化についてお伺いしたいと思います。
 まず、少子高齢化によって急速な人口減少が進んでおり、行政機関も他人事ではなくて、2040年には職員が半減するといった試算も出ております。そういったところで、業務の効率化や単純作業からの開放というのは、最重要課題として取り組んでいくべき事案かと私は考えております。
 このような情勢を反映して、県警察におかれましても、業務の見直しや先端技術の導入に向けた動きは進められていることと思うのですが、私はこれまでも、警察職員一人一人の業務負担が大きいのではないかという観点から質疑を進めてきたのですけれども、職員の減少が懸念される行政機関の中にあって、事故、事件、災害など緊急の対応が求められる警察組織こそ業務の合理化を声高に浸透すべきだと思っております。
 そこで質問なのですけれども、警察業務と申しましても、組織の運営や方針を決める管理部門から、制服警察官や刑事、交通といった実働部門と多岐にわたるわけです。それぞれの部門の実情に応じて合理化を検討されていることと思いますし、組織全体として大綱に基づいて業務の合理化を進められていると思うのですが、デジタル技術やAI技術といった先端技術の導入による業務の合理化に関しては、県警としてどのように取り組んでいるのか、お伺いします。

 

答弁(警務部長) 

 

お答え申し上げます。
 県警察といたしましては、社会の変化に適応し、新たに生じてくる治安上の様々な課題に適切に対応していくために、警察運営の在り方というものにつきましては、不断の検討や見直しを行うことが重要であると認識しております。この一環としまして、先端技術の導入も含めまして、業務の合理化、効率化を推進していくこととしております。
 具体的には、これは全国の警察が一体となって進めているものなのですけれども、例えば、警察行政手続のデジタル化というものを推進し、申請を受理するという業務を合理化したり、パソコンの中に入っているソフトウエアが自動的にデータを入力したり文書を編集したりする作業を行うRPAソフトを活用して、作業の合理化を図るなどの取組を、県民の皆様の利便性に留意しながら推進しているところです。

 

質疑(村上委員) 

 

ただいまお伺いしたとおり、県警察におかれましても業務の合理化が進められているのは、もちろん重々承知なのですけれども、私は組織の業務の合理化の先に何を目指しているのかという観点がすごく重要だと思っております。
 そこで、例えば、今よくあるのが、取引で言えば、東証でPBR1倍を目指しましょうとなったときに、不動産というのは運用利回りが3~4%が平均というところで、7%まで上げないといけないということで、今、大体、東証一部企業はもう不動産売却をどんどん進めていっている状況なのです。ただ、売ることはしても、その先に何を目指してどのように産業を成長させていくのかというビジョンが抜けているということがよくあるのです。これは、労働に関しても同じようなことが言えると思いまして、作業時間を減らした結果、目指すべきものは何なのかというところがすごく重要だと思っています。
 要は、警察において、ワーク・ライフ・バランスを実現し、仕事の進め方を改善して職員一人一人の能力を最大限に発揮していこうとすること。そして、警察の強化として、女性職員の活躍推進がありますけれども、今、女性が関わらないといけない事件、事故も増えてきています。要は女性が対応しないと、いわゆるセクハラとか痴漢とか暴行事件とかで二次被害になってしまうというところで、女性の活躍、女性に選ばれる警察組織ということもすごく重要になってくると思うのです。
 さらに言えば、先月も私は質疑したのですけれども、若い職員の価値観がどんどん変わっていっている中で、ともかく警察は動け、県民のために動け、というところも重要なのですけれども、やはりそこも価値観の変化を意識しないといけないと思うのです。
 そういった中で、組織力の強化に向けて有効なビジョンということを考えたときに、私自身は業務の合理化が職員の減員の議論になったりだとか、私生活のみの充実を目指すといった取組になるべきではないと考えたのですが、県警察において、働き方改革の必要性や目的をどのように位置づけて、どのように取組を進めているのか、お伺いします。

 

答弁(警務部長) 

 

県警察といたしましては、それぞれの職員がその能力を最大限に発揮し、生き生きと活躍できる職場環境の構築を図りまして、複雑困難化しているもろもろの治安事象について、より的確に対応していくことを目的に、広島県警察ワークライフバランス等の推進のための行動計画を策定し、この計画に基づき、様々な取組を進めているところです。我々としましては、限られた勤務時間の中で、集中的、効果的に業務を推進するという意識に変えていくこととか、あるいは、女性の活躍を推進すべく業務の合理化、効率化等の取組を進めていくといったことを決めているところでございます。
 この取組の具体的な内容ですけれども、例えば、職員の長時間勤務を是正し、限られた勤務時間の中で職員一人一人がそれぞれ生産性を高め、ひいては、組織力全体を高めていくといった意識を持って業務を進めていくことになるよう、幹部職員から実動員に至るまで周知徹底を図るなどしております。
 また、平素からそれぞれが所掌する業務について、その実施状況や業務の負担についてよく把握した上で、必要性の低い事務の効率化でありますとか、逆に優先的に取り組むべき事務があれば、その業務の重点化も図るというところです。今後、職員がその能力を最大限発揮できるような職場環境を構築するとともに、先ほどお答えしましたとおり、先端技術の導入も含めた不断の業務の合理化、効率化を推進していく考えでおります。
 この先の話ですけれども、これらにより生じましたリソースというものを、現在も手だてを講ずべき様々な治安事象が発生しておりますが、こういったものの対応のために有効に活用するものとして、警察力の最適化というものを掲げまして、県民の期待と信頼に応える広島県警察を目指してまいりたいと考えています。

 

意見・要望(村上委員) 

 

私は、膨大な文書の作成や手続に時間が割かれているのではないかという視点ももちろんあったのですけれども、アナログからデジタルに変わっていくという中で、業務の効率性だけではなく、信頼性を高めていくという観点もあると思うのです。その観点を持つことで、いわゆる業務の負担軽減はもちろん、県民からの信頼も得ることができると思うのです。
 そこで、業務の合理化というところでは少し外れるかもしれないですが、以前、尾道で子供に対する警察官の暴行事件があったときに質疑した件で、先日、10月9日付の日経新聞に、警察官の職務質問でカメラ指向という記事がありました。これは、職務質問に対する暴力等への抑止効果や、職務質問、正当性の証明が期待されるということが紹介されておりました。こういった先端技術の活用が警察職員の負担軽減につながるのであれば、それもやはり業務の合理化と評価できるのではないかと私は思っております。
 これらの業務の合理化が、職員の減員や私生活のみの充実などの枕言葉にならないように、組織力の強化、先ほど最適化と言われましたけれども、こういったところを取組の定着として徹底していただきたいと思っております。