介護を理由に離職する人材へのUターン支援についてお伺いします。
離職者の全国の状況を見ると、家族の介護・看護を理由とする離職者は年間およそ十万人とのことです。二〇二五年には団塊の世代が後期高齢者となり、七十五歳以上の人口は二千百八十万人になる見通しで、介護職員の不足が懸念されるとともに、今後も全国的に家族の介護・看護を理由として、さらに離職者が増加していく可能性は高いと思われます。
そこで、介護を理由に離職する現役世代が本県に戻って来やすくするような就職支援や、当面の生活資金など、思い切った支援に取り組む必要があるのではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。

 

 

知事(湯崎英彦君) 
若年層を中心とした就職による県外への転出超過が大きな課題となる中、介護による離職などを契機としたUターン希望者を支援することは、安心できる暮らしを支えていくという観点からも、重要であると認識しております。
 これまで、本県におきましては、移住支援の取組として、広島の持つ様々な魅力についての情報発信、移住希望者と地域や仕事とのマッチング、移住後のサポートまで含めた受皿づくりの三つの取組について、市町等とも連携して、総合的に進めてまいりました。
特に、Uターン移住におきましては、仕事とのマッチングが重要であることから、県の求人情報サイト、ひろしまワークスにより県内企業の求人情報を提供しているほか、東京、大阪、広島にUIJターン就職に関する職業紹介窓口を開設し、専任の職業アドバイザーが相談者のニーズに即したきめ細かい相談に対応しているところでございます。
加えて、移住後の仕事と介護を両立しやすい職場環境の整備も重要であることから、仕事と家庭の両立支援企業登録制度に登録した企業への特別な低利融資制度や、仕事と介護の両立に係る従業員からの相談に対応するマニュアルの周知、経営者等に対する仕事と介護の両立に向けた意識醸成を図るセミナーの開催などにより、県内企業における仕事と介護の両立支援の促進を図っているところでございます。
 こうした中、来年度から新たに、東京圏からの移住を促進するため、移住支援金に子育て加算を導入するとともに、農林水産業を含めた地域活性化に資する幅広い事業等を対象とした、起業支援金を新設することとしております。
 こうした取組などにより、介護を理由に離職する現役世代をはじめとした本県出身者に、安心して移住していただき、広島らしいライフスタイルを実現していただけるよう支援することで、本県へのUターン移住を促進してまいります。
 
村上栄二君 
 
残念ながら、本県は転出超過二年連続でワースト一位となっておりますが、今知事が言われました若年層がかなり出ているというようなお話の中で、鹿児島県が行っている事例に、故郷に学び育む青少年運動というものがあります。これは、家庭、学校、地域や関係機関などが一体となって、郷土に根差した、グローバルな人材を育成する取組を実施し、地方から進学された方々が育った故郷に戻って来られるよう、中学校、高校段階でのふるさと教育を実行しておられます。
 英語を話せるのがグローバルではなく、日本や故郷を語れることが真の国際人と世界では言われております。
 広島県では、新しく創設された奨学金制度があるのですけれども、これは地元に就職してもらうという観点でつくられております。しかしながら、広島在住の若い世代は、福岡、大阪には新幹線で二時間もかからずに着いてしまうのですから、大都市圏に魅力を感じて離れる若者が多いことは、ある程度仕方ないことだと私は認識しております。
 しかし、お金がないと、都会生活は厳しい社会であることも現実です。
 そこで、鹿児島県の長島町では、Uターン人材に対する奨学ローンの補填などの取組を行っております。出世魚で回遊魚のブリにちなみ、ぶり奨学金制度を設計しており、単なる就学支援としてではなく、町に戻ってきた際の支援まで、パッケージ型の支援を行っており、地域経済に好循環を生み出す仕組みづくりに取り組まれております。ふるさと教育と奨学金制度、これらの両輪で連動して取り組むことで、より政策を効果的に発揮するように考えられております。
 私は、広島県に戻るタイミングとして四つあると思います。まずは成人式、そして就職活動、里帰り出産、介護、この四点を軸に、幅広く、戦略的に取り組んでいただくよう強く要望し、次の質問に移ります。