3Dプリンター住宅における技術支援についてお伺いします。
 アメリカでは、スタートアップ企業ICONが、3Dプリンターで建てた一戸建ての販売を実際に開始しました。
 3Dプリンター住宅のメリットは、建築スピードが速く、工期が大幅に短縮されることや、通常の住宅よりも低コストで建築が可能であること、また、CO2の排出量を削減できることが挙げられております。
 一方で、日本は地震大国でもあり、現在の3Dプリンター住宅では、基礎工事や建築基準法において、その基準を満たせておりません。しかしながら、技術は進化し続けるため、日本でも3Dプリンター住宅が当たり前となる時代は、そう遠くないと私は感じております。
 技術革新が進み、時間との勝負になりつつある中で、新しい分野に事業展開、事業移行する戦略も必要ではないかと考えます。
 時代に取り残されることなく、本県でもこの3Dプリンター住宅について、官民連携での技術支援を積極的に考えていくべきではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。

 

知事(湯崎英彦君) 

3Dプリンターによる住宅の建設につきましては、御指摘のように現行の建築基準法で認められていない特殊な材料や構造を用いることから、特例的に国土交通大臣の認定を受ける必要があることに加えまして、生産設備の導入に多額の費用を要するなど課題が多いことから、国内では、一部民間企業において、小規模建物の外壁材や驅体の施工に3Dプリンターを用いるなどの取組が始まった段階でございます。
 現在、本県では、工業技術センターにおきまして、3Dプリント技術を活用して工業製品に関する試作、形状や材料の強度評価などの支援を行っております。
 今後、さらなる技術革新が進み、特に建物の耐震性確保のための技術面での知見が蓄積され、国において建築基準法に基づく技術基準が整備された場合には、一般的な工法に移行していくことも考えられます。
 引き続き、国等の動向を注視し、3Dプリンターによる住宅建設が一般的な工法に移行した際には、設計や施工に係る業界団体と連携し、新たな技術基準の普及促進に取り組んでまいります。

 

村上栄二君 

 

一例で言うと、岡山県では、県内のEV普及促進のため、平成二十一年四月からメーカー、電力会社、経営団体、学識経験者、行政機関などで構成する岡山県電気自動車等普及推進協議会を設立し、平成三十年には、三菱自動車工業株式会社と連携協定を締結し、開発支援や情報提供といった官民双方の協力を通じて、岡山県全体の経済の底上げをしております。
 3Dプリンター住宅については、メディアにおいても取り上げられつつあり、空き家住宅の問題が今後大きくなっていく中で、空き家を三百万円程度で買い、撤去し、一千万円以内で家ができる時代、こういったことが到来することも想定され、今後、日本国内においても、建築基準法などの議論が進み、取組が進んでいくと思われます。
 岡山県がEV車促進政策に先進的に取り組み、現在、大きな果実を得たように、本県が3Dプリンターに関して、支援だけでなく、普及促進のための協議体を構築し、未来志向の取組を強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、農業ジーンバンクについてお伺いします。
 地域の伝統野菜などの遺伝資源を守るため、県が主導し設立した農業ジーンバンクが、この三月をもって廃止されることが発表されました。
 農業ジーンバンクについては、一部の農家から存続を求める声もあり、私のところにも実際に話がきております。
 県のジーンバンクでは、野菜など種子約一万八千点を保存しておりますが、これまで、相談業務として担当されてきた職員の知見などは、大変重要な知的資産になっていると聞いております。今、全国の種子を管理しているバンク的な施設では、遺伝子を残していくことを目的とされ、種を活用せずに主に研究目的で保管されているようです。
 種を取る方法だったり、その土地にあった在来種の紹介だったり、ちゃんと種子を本来のあるべき姿、つまりまいて、作物を生産し、時に特産物として地域の資源として活用し、生命の命をつないでいく、きめ細かな対応を行われていたとのこと。それができるのは広島県のジーンバンクだけだったと思われます。
 これまでの取組を無駄にしないためにも、相談業務により蓄えた知見をデータ化することや、相談業務で対応されてきた職員の指導で人材を育てていくべきではないかと考えますが、農林水産局長の御所見をお伺いします。

 

農林水産局長(大濱 清君) 

県ジーンバンクにつきましては、平成元年に設立して以降、稲、野菜類など、多くの種子を収集してきており、これまで保有してきた種子は、将来にわたって、遺伝資源として維持し、いつでも活用できるようにしておくことが重要であると考えております。
 このため、県ジーンバンクが保有する種子につきましては、国内最大のジーンバンクを有する国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構へ譲渡することなどに併せて、これまで、県ジーンバンクを利用していた方々が、これらの種子を、引き続き活用できる仕組みについて整理したところでございます。
 県ジーンバンクで保有する種子のうち、利用頻度が高い品種につきましては、品種特性などのデータベースや、相談業務などにより蓄積された知見を基にした栽培技術の資料を作成しており、今後も栽培に関する相談などに対して活用してまいります。
 また、こうした栽培技術などのデータや資料につきましては、県の職員だけでなく、現在、栽培している地域のJA営農指導員や市町などにも提供し、ノウハウが引き継がれるよう人材育成にも活用してまいりたいと考えております。
 これらの取組によりまして、これまで県ジーンバンクを利用されてきた方々が、引き続き、安心して栽培に取り組めるよう支援してまいりたいと考えております。

 

先日、高田議員も言われていましたチャットボットですが、より複雑に答えるような仕組みもできていますので、こういった知見データを、本当に県はたくさん持っていますので、ぜひともよろしくお願いします。
 既に農業に関する相談業務があると思いますが、農業ジーンバンク事業で行ってきた伝統野菜の栽培などにおいて、蓄えた知見をデータ活用して、先ほど言ったような形で新しい技術へ積極的に活用したり、地域おこし協力隊と連携してジーンバンク的な役割を担う人材を広島県で育てることなどを含めて要望して、次の質問に移ります。