質疑(村上委員) 

以前もつみたてNISAの質問をさせていただいたのですけれども、私たちは、お金に働いてもらうという感覚と、昨今、騒がれているメタバースというネットインフラの中にアバターとして人が経済活動を行う社会が既に到来しております。現実として私の周りでもキャラクターにお金をかけて、自分の服にお金をかけないという人たちが結構いたりするのです。既に現実社会の中にある経済の動き方とアマゾンなどを含めたネットによる販売との逆転現象が起きているのはもう皆さんも御承知のとおりで、今朝のニュースとかでもあったように、都市部の百貨店がどんどん閉鎖しているという現実があります。それで、政府も人が身体の空間、そして時間の制約から開放された社会を実現するということで、2050年を目標としたムーンショット計画を大々的に公表されているのが現実です。
そういった中で、目の前に人がにぎわいをつくるという政策中心の議論も大切だとは思うのですけれども、それとはまた別に、デジタルと現実社会との二極で政策を考えて取り組む局面に入っていると思っております。いわゆるアバターデジタル経済とは別に、今日は、お金に働いてもらうという視点で質疑をしようと思うのですけれども、要は何かといえば、社会の構造や仕組みを理解した経済政策のお話をしたいと思っております。
そこで、今後、大量離職に伴う退職金の問題などがありますが、業種や社員数による退職金制度の実態を教えてください。

答弁(雇用労働政策課長) 

退職金制度の実態についてでございますけれども、厚生労働省が発表しております平成30年度就労条件総合調査によりますと、退職一時金制度か退職年金制度を持っている企業の割合は全体では80.5%で、企業の規模別で見ますと、1,000人以上の企業では92.3%ですが、100~299人の企業では84.9%、さらに100人未満では77.6%となっております。また、業種別ですが、製造業では88.4%、卸売・小売業では78.1%、宿泊・飲食サービス業では59.7%などとなっております。

 

質疑(村上委員) 

先ほどの答弁でいえば、平成30年度の調査では退職一時金制度か退職年金制度を利用しているのは約80%で、100人未満だと約77%ですから、規模が小さいほど退職金制度がないということになります。その中でも、宿泊・飲食サービス業は59.7%。しかも、非正規雇用者を考えると、もっと大変な状況になるかと思っております。
 そこで、老後2,000万円問題というのがありましたが、物価高でもう、2,000万円どころの話ではなくなっていると思っております。退職金制度の活用などを普及するべきだと思うのですが、どのように普及しているのか、お伺いします。

 

答弁(雇用労働政策課長) 

独自に退職金制度を設けることが困難な中小企業で働く方々を対象にした、退職後の生活の安定を目的に設けられた国の制度といたしまして、中小企業退職金共済制度がございます。この制度の活用を図るために、国と運営主体であります独立行政法人勤労者退職金共済機構が連携し、毎年10月を加入促進強化月間と定めて、地方公共団体や事業主団体などへ集中的な加入促進活動を展開しているところでございます。
 県におきましても、それらの活動に併せましてホームページに制度の紹介や機構が主催する説明会への開催の協力など、連携して制度の周知を図っているところでございます。引き続き、県内の企業に対しまして、国、市町、機構などとも連携しながら、退職金制度の普及啓発を図ってまいりたいと考えております。

 

質疑(村上委員) 

まず、よくこういったところの説明を受ける上で、ホームページによる制度の説明、紹介は基本的に相手の意識がないと届かないですし、一方通行の発信というのは、なかなか周知という観点では薄いと思っています。特に今、LINEといった双方向でのやり取りというものがあったり、ターゲットを絞った通信手段もありますから、そういった活用の仕方はしっかりと考えていかないといけないと思っています。
 そして、国の調査ですが、420万社ぐらい会社があると想定されているのですけれども、従業員数ゼロ人から4人の会社が全体の58%なのです。では、そういった企業が実際にアンケート自体に答えているのかと言ったら、答えていない企業も結構あるような気がするのです。ということは、このアンケートの数字よりも実際にはもっと厳しい現実があると思っているのです。
 先ほど中小企業退職金共済制度について、勤労者退職金共済機構等を含めて対応していることはお伺いしたのですけれども、こちらの退職金額の目安について資料を見させてもらったのです。そうすると、大体掛金1万円で20年後に266万円ということで、内容自体が老後問題とかに全く追いつかないような退職金の制度になっているのです。では、金融機関とか政府も勧めているiDeCoやつみたてNISAを考えたとき、金融機関はiDeCoばかり推奨します。なぜかといったら、iDeCoは手数料が必要となるから、金融機関は最悪、赤字にはならないのです。では、つみたてNISAを積極的に営業しない理由は何かといったら、手数料も何もかからないから、活動すればするほど金融機関にとって赤字になるのです。だから、基本的には個人が意識を持って取り組んでいけばいいのですけれども、そういったことについて、まずは広島県自体がチラシなどの予算をつくって、商工会議所や金融機関に対して、つみたてNISAによる企業退職金制度として企業がするのではなく、個人でするという考えの下で普及するべきだと思うのですが、どのようにお考えか、教えてください。

 

答弁(雇用労働政策課長) 

委員御指摘のつみたてNISAにつきましては、国が昨年発表しました資産所得倍増プランの第一の柱にも抜本的な拡充や恒久化を進める必要があるとされております。つみたてNISAは、毎月、給与から長期間積み立てながら、毎年40万円までの投資について20年間非課税で運用できる制度でございますが、労働者個人個人がそれぞれのライフプランを実現するために必要な時期に必要な金額が準備できるよう、これらの積立制度をうまく組み合わせて活用していただくことが肝要ではないかと考えております。今後、デジタル技術の活用などによりNISAに係る手続の簡素化等が検討されるものと思いますので、県としましても、退職金に係る制度等に関する情報を適切に提供してまいりたいと考えております。

 

意見(村上委員) 

先ほど言われた中小企業退職金共済制度よりも圧倒的に利率もよくて、国が定めた低コスト、長期安定運用等の基準を満たした商品が対象で、長期積立分散投資に適した投資信託となっています。
 要は、2024年にはこれも拡大していくという法案がほぼ通っておりますし、つみたてNISAで、僕も投資事業とか、いろいろしているので、単純計算していくと、失われた20年と言われている期間の運用率が年平均で7.3%なのです。国は、つみたてNISAを活用すれば、失われた20年と言われる期間よりも低い年平均4.5%の利回りとなると考えておりまして、年間の上限額40万円を20年、元本800万円と考えると、4.5%の運用で2,030万円程度までになると予想されます。仮に失われた20年と言われている期間の年平均7.3%の運用で回すと、20年後に約3,500万円となるのです。毎年毎年、1年ごとにそういった形でお金が入ってくるという形で考えていくと、現在、政府がいろいろ現金だとか補助金だとかでばらまいている結果、何が起きているかといったら、当然のことながら、物価が上がっているのです。私たちには直接お金が入っていないけれども、税金が入っている以上は物価が上がっていく。物価が上がって、現金をばらまくと、当然、貨幣価値は落ちてくるわけです。だから、私たちが今、ためている預貯金の価値がどんどん落ちていく。これを株式に回していけば株価が上がっていく、そして皆さんの資産が上がっていくという考え方を政府が持っているわけです。
 これから自己責任の時代が色濃くなっていくことも考えていくと、広島県として、中小企業の企業数が多い現実からも、退職後の生活と真剣に向き合う必要があることを提言して、今回の質問を終わります。