質疑(村上委員) 

一級建築士の職員の現状に関して質問したいと思います。
現在、一級建築士の資格を取得するのに、過去11年の状況として、1次の学科試験における平均合格率が18%、そして2次の製図における平均合格率は39%となっており、合格率自体が10%程度となっております。毎年、法令も増えることで、覚えていくことがかなり増えているそうです。専門学校によると、年間1,000時間を超える学習時間がこの資格を取得するのに必要ではないかと言われております。その専門学校に行くには、約150万円の学費が必要となり、その額もどんどん増えている状況です。
公務員の方々は、大体年間2,000時間近くの労働時間であると考えられ、さらに1,000時間の学習時間、専門学校に行った場合は150万円近くかかるという現状で、5年の年齢区分ごとに、職員数と一級建築士の人数、取得率について、教えていただけますか。

答弁(建築課長) 

建築職の職員数並びに一級建築士、そして取得率についてお答えいたします。
まず、56歳以上については職員数10人に対して一級建築士の資格を持つ人は7人となっております。続いて、51~55歳については職員数17人に対して資格者は14人、46~50歳については職員数15人に対して資格者は13人、41~45歳については職員数9人に対して資格者は7人、36~40歳については職員数8人に対して資格者は4人、31~35歳については職員数24人に対して資格者は13人、26~30歳については職員数27人に対して資格者は5人、26歳以下については職員数7人に対して資格者はゼロ人となっております。
取得率で申し上げますと、41歳以上では7~8割程度と高い一方で、30代では5割程度に下がっております。さらに、26歳から30歳までは18.5%と、さらに低くなっている状態でございます。

質疑(村上委員) 

今、答弁いただきましたが、30代でがくっと取得率が落ちて、20代ではさらに落ちていくとのことです。そういった中で、仮に一級建築士の職員が減っていくと、どのような業務に支障を来すのか、お伺いします。

 

答弁(建築課長) 

まず、一級建築士の資格がなければ、営繕課で工事監理を担う、特に主任監督員となるグループリーダー以上の職員の職種的な履行が難しくなってくるのではないかと考えられます。

それから、一級建築士の資格がなければ、建築主事にもなれないことから、建築確認、建築許可、あるいは建築基準法に基づく指導など、資格を必要とする業務、具体的に申し上げますと、建設事務所の建築課長、あるいは建築課のグループリーダー以上の業務ができなくなると思います。

 

意見・質疑(村上委員) 

確認や建築許可、さらには県発注の工事の監理に必要な資格が欠如しているため、課長、グループリーダーとして、工事の監督員を担うことが難しくなるとのことです。しかし、一番の問題は、民間企業と対等に話をして、さらに指導するということが難しくなっていくことだと私は思っております。
それでは、この5年間、何名程度の職員が受験して何名程度の合格となっているのか、お伺いします。

 

答弁(建築課長) 

昨年度までの5年間で申し上げますと、年度ごとに非常にばらつきがございますので、平均として申し上げますと、大体10名程度が毎年受験しておりまして、2名程度が合格している状況になっております。

 

質疑(村上委員) 

今のお話では、合格率が20%程度ということで、先ほどもありましたように20代の合格率、取得率は相当低くなっている現状であります。
そういった中、公務員は職務を遂行する能力に応じる職能給であって、その職務の難易度や責任の度合いに応じて支払う職務給制度ではないことから、資格の取得に対して昇給や昇進は難しいと思います。ただ、賞与のときに支払うなどを含めて検討すれば、インセンティブのところは法律的な問題をどうにかクリアできるのではないかと私は思います。
それでは、一級建築士の資格取得のために広島県としてどのように課題意識を持って今後戦略を練っていくのか、お伺いいたします。

 

答弁(建築課長) 

賞与に関しては、人事課の所管になりますので、私からは直接お答えできませんけれども、そもそも勉強時間を確保するというところも非常に大きな課題となっております。この勉強時間を確保するという観点で、各職場で可能な限りの支援をしているところでございます。
具体的に申し上げますと、各課の課長と職員が1対1の面談の場におきまして、一級建築士の受験の意向について思いを伺った上で、受験を希望する職員については業務上の配慮をすること、それから、建築確認事務に関する研修、あるいは建築士試験の受験対策研修を建築課独自で毎年実施しており、人材育成の一環として取組を進めているところでございます。

 

要望(村上委員) 

人事課所管のため、なかなかここでお答えは難しいと思いますが、先ほど申し上げたように、専門学校の学費もどんどん値上がりし、150万円かかることも考えると、賞与や奨学金制度も考えていかないといけないと思います。何らかの形で県としても支援をご検討いただくよう、強く要望して質問を終わります。