『マイナス金利解除』

『急務となる通貨政策の見直し』
『労働市場こそ真の円安対策』

 

 

『マイナス金利解除』


・13年3月128兆円だったが23年6月には583兆円と455兆円増え発行済み国債の半分以上を抱え日銀が動けば国債の需給はたちまち不安定化する。
・財務省は2002年10年国債入札での【未達】の記憶がよみがえる。当時の入札は日銀が民間銀行が保有する株式を買い取るとの異例の政策を公表した直後に起きたが、政策の不透明感が金融機関の応札の手控えにつながった。

・日銀が金融政策の正常化に舵を切った場合、だれが国債の引き受け手にになるのか。10年間で保有残高は83兆円から181兆円へと倍加させた海外勢の存在感が高まる。

・正常化で国の利払いは24年度以降金利が想定よりも1%上振れした場合、24年度国債費が7000億円増え、25年度は2兆円、26年度は3兆6000億円増加する。

経済対策に回せる財源が失うと政府など不満が溜まることは容易に想像できる。

 

『急務となる通貨政策の見直し』


・安倍総理時代に実質的な円安政策採用され10年が経ち表面的には業績を改善し、株高を演出したが企業の競争力は一向に高まった。日本企業の地盤沈下が顕著である。
円安を必ずしも好感しなくなった。

・円安政策は自国窮乏化政策と化しており、世界的なインフレ時代が終わり、円安が国民生活を圧迫し続けることが懸念され、デジタル化やグリーン化の要請から日本企業は海外での企業買収による事業ポートフォリオの再構築を迫られている。
円安はグローバル市場での企業の購買力をそぐものでもある。

・資産価値の目減りを容認する国に投資する海外投資家はいない。必要な政策は輸出立国には円安だが投資立国には円の価値による維持・安定だ。
競争力の強化、健全な財政と金融。通貨政策を産業政策、財政政策、金融政策の観点から一体的に見直す時が来ている。


 

『労働市場こそ真の円安対策』

・22年は米国急速な利上げや地政学リスクも高まり米ドルほぼ全て主要国通貨に対して増加。今回は日本円の独歩安が際立つ。

・原因は日本の超低金利政策で、世界的なインフレ下主要国が大幅な利上げに踏み切る。

日本はいまだにマイナス金利政策が続けられる。日本の低金利が世界で突出し、金利差から収益を狙う【円キャリー引】が円売りを加速させた。

・円安は輸出企業など対外的なプレゼンスが高い企業の収益改善させる。インバウンドにも追い風だが、一方では輸入物価を通じて国内物価の上昇圧力となり国民生活を苦しめる。

大幅に下落していた輸入物価は下げ幅を縮小している。

・日銀は賃上げが物価上昇に追い付いていない。資金と物価の好循環は生まれていない。

好循環の実現に向けて企業賃上げを求める声は少なくない。終身雇用や日本型雇用の年功賃金などは時代遅れだ。毎年決まった時期の賃上げではなく雇用制度や賃上げの仕組みなど日本だけ賃金が上がらない構造を大胆に変えられる改革が必要だ。