『昭和をひきずる年金制度』

『高齢者女性の貧困問題』

『介護との両立支援は重要な経営課題』

『医療改革決めたはずが薬処方箋の効率化わずか』

 

『昭和をひきずる年金制度』

 

・昭和モデルが第3号被保険者制度だ。専業主婦ら会社員や公務員の配偶者は保険料を納めなくても基礎年金を受給できる仕組みだ。
主婦がパートに出ても収入が一定額以上になるまでは扶養家族として扱われ年金保険料を納めなくていい。このルールの存在は不要の範囲内に収入が収まるように就業調整する【年収の壁】ができる要因だ。

 

・家計を支える者が死亡した場合に残された遺族の生活を支える遺族年金にも色濃く残るのだ。子供がいない30歳の専業主婦が専業主婦が会社員の夫を亡くした場合、いずれ仕事を探して収入を得ようとするのが一般的な行動のはずだ。
ところが年金制度はこの女性は再婚するか籍を抜くかしない限り、遺族厚生年金を終身でもらうことができる。

・遺族年金21年度総額は5兆6000億円で571万人に支給されたが受給者は97%女性だ。昭和の時代は寿退社という言葉があるくらいのひきずる年金制度。
女性の就労環境は夫婦共働きは1985年49%から2022年には79%に上昇し、50代後半も50%から74%に上がっている。遺族厚生年金の受給者を見ても21年度調査では60歳未満の妻の8割が働いている。既婚女性の雇用者の5割強はパートなど非正規雇用。
年金制度から男女の役割分担をなくせるのか?重要だ。

 

『高齢者女性の貧困問題』

・75歳以上単身者高齢者女性は2040年度7.4%に達する。死別の場合遺族年金頼みで相対的貧困率は3割に達する。寿命の性差や夫婦の年齢差から老境に入り一人暮らしの高齢者は多い。

・75歳以上単身者高齢者女性は30年までの10年間で130万人増えに達し、70代に占める比率は6割に及び男性の2割を大きく上回る。遺族年基金・厚生年金支給は報酬比例の4分の3で平均月額は82,000円程度で生活保護水準より低い。
・子供と同居している65歳以上割合は22年34%から30年間で23%下がった。一人暮らしは12%から22%になった。家族が貧困の防波堤にならなくなっている。
親族でも非正規雇用の広がりで若い層のほうが経済力が低い場合もある。

 

『介護との両立支援は重要な経営課題』


・2022年介護しながら働いている人たちは約365万人で直近1年間で介護・看護を理由にした退職も10万6000人いる。25年には団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、介護に直面する人は確実に増える。
・介護に使える法定制度は介護休業がある。休業なら通算93日3回まで分割して使える。両立支援制度の社員への個別周知を企業に義務付ける事を検討中である。一定の年齢には社員向けに説明会を開いたり相談窓口の設置も有効だ。
・硬直的な労働時間を見直し、フレックスタイムや在宅勤務などの柔軟な働き方を広める。業務内容を精査し、不要なモノはなくす。離職は本人のモノだけではなく年金など将来の年収にも影響する。心身ともに疲弊してしまう。

 

『医療改革決めたはずが薬処方箋の効率化わずか』


・年3兆円財源確保を少子化対策費用で決め歳出改革を謳うが医療や介護のデジタル化は遅れている。すでに決めた改革すら進まない。0.148%と4%医療費を効率よく使うために導入した2つの処方箋も進まない。
・リフィル処方箋活用は0.148%で677件で1件に相当する。一定の期間内と回数があれば繰り返し使え、医療機関に係わらず薬局にいけば薬が処方される。患者の容態管理や医療費が減る経営の影響を心配する医師は多い。

・医療費を年間470億円削減できると見込んだが70億円に留まる。今年1月にはじまった電子処方箋も停滞しており、医療機関や薬局の導入率は4%で中核医療である大学病院で導入したのは三重大学附属病院の1か所のみ。
・重複投薬は8000件検知できた。多数の薬剤を処方する多剤が半分になれば600億円削減効果があると言われており、医療機関はシステム対応の補助が足りないと訴えている。仮に2つの処方箋が完全に役割を果たしたとして医療費を抑える効果は1070億円だ。
・少子化対策のための歳出改革中心は医療とされ、2つの処方箋で医薬品の費用を抑えるのは改革のはずだが2020年度薬剤費は9兆5800億円もあり、診断された病名ごとに1日当たり医療費を定額にする包括払いの薬代が含まれない。包括払い薬代は1兆円見積もある。