『HPVワクチンを男性にも』

『特許切れ薬、負担上げ論点に』

『健康経営は岡山が先行』

『認知症の身体拘束に地域差』

『保険証デジタル化』

『社会保障ゆがめる年収の壁という助成金』

 

『HPVワクチンを男性にも』


・HPVワクチンの男性接種希望者は着実に増えています。4月から女性を対象に9種類のHPVを対象とする【9価ワクチン】が全額公費の定期接種で使えるようになった。性交渉未経験のうちに男女ともにHPVワクチンを接種する事でウイルスの広がりを断つことができ子宮頸がんを減らす事が出来る。
・HPVワクチン接種は尖圭コンジローマ、咽頭がん、肛門がんとなったHPV感染症のリスクも減らす事が指摘されているが男性にも発症する病気の予防になる事。
・海外の多くの国ではすでに男性への接種に公費助成が実施されている。オーストラリアでは対象者の男女8割が接種済みで子宮頸がんの発症率は希少がんと同等にまで減少した。

・男女ともにHPVワクチン接種で得られる予防効果は高く、性交渉未経験の年齢で接種した方がより予防効果が高い。
 

『特許切れ薬、負担上げ論点に』


・特許切れ薬は後発医薬品より価格が高く、費用負担が国の財政を圧迫している。

特許が切れていたり、後発役がすでに発売されていたりする薬を長期収載品と呼ぶ。

・医薬品は保険適用とする場合、自己負担を価格の1~3割に抑えている。

医薬品の自己負担以外は健康保険組合や国、地方自治体などが費用を負担している。

・保険適用の医療人とは別に費用を上積みする方策として【選定療養】と呼ぶ仕組みがある。入院患者が自ら希望して病院の個室を選んだ際に追加で支払う差額ベッドなどがあげられる。

・厚労省は後発役への置き換え割合に応じて特許切れ薬の薬価を引き下げるなど後発薬の利用拡大を製薬会社側に促してきた。価格が高い特許切れ薬で収益を稼ぐメーカーは多く、割安な後発薬へのシフトを阻害しているとの指摘がある。

・後発薬メーカーは190社あり、このうち100品目以上を供給しているのは15%ほど。50品目未満が8割ほどを占める。

製造能力や供給計画に一定の要件を設け満たない場合は市場参入できなくなる。仕組みを検討すべきだと提起した。

 

『健康経営は岡山が先行』

・岡山県の平均寿命は全国上位だが健康寿命は中位程度。この差を縮めるためにも県が健康に配慮した経営の重要性を訴えてきたほか、全国健康保険協会の地元支部が中心となって認定取得を支援する。

・認定企業を中心に30社以上が参加する岡山健康経営を考える会も発足。

先進的な取り組みなど共有し効果を高めたい。

・ある企業は毎月社員の体力測定する。独自制度ではカロリーや食塩量に配慮した食事を社員食堂で提供する事などが認定項目に盛り込まれており22年度末までに188社取得。

50人の社員に睡眠時無呼吸症候群を検知するスマホアプリを提供する。
沖縄ツーリストは20年に全社員の喫煙率ゼロを達成。21年には社員に歩く事を勧めるイベントを始めた。

・全国で優良健康経営者は1万社あるが全国トップで伸び率は徳島県4位・山口県5位
県が独自の認定制度を設けたり商工会議所がけん引役をしている。

・コンビニでの商品選び方を管理栄養士が開設したり、調理実習に取り組む。

健康管理は日常業務と同じくらい価値がある。

・認定企業は県の競争入札の審査項目で加点対象になっている。県内に本社があれば
政策入札の評価項目にも登録される。
では徳島商工会議所は独自の取組として・残業時間を抑制する取り組み、メンタルヘルス府庁舎へのサポート体制など28項目に答えて申請する。

 

『認知症の身体拘束に地域差』

・認知症・精神病床入院でベッド拘束割合が都道府県で最大18倍あり、岡山県0.9%、山形県16.7%で最小化に取り組む病院のある中で対応の違いが浮き彫りになった。
・認知症入院患者は7万2929人で1998年に比較し1.5倍増、精神病床の3割を占め統合失調症13万人に次いで多い。
・岡山県では身体拘束ゼロを積極的に取り組む。孤立しがちな患者家族に多職種が連携して訪問する事業に力を入れる。和歌山県は1.3%と低いが鍵付き個室の保護室隔離率が12.7%と全国で一番高い。

・身体拘束が認められる要件として

1:代替方法がない場合
2:自殺・自傷行為が著しく切迫する場合
3:多動または不穏が顕著である場合
4:他に精神障害のために放置すれば患者の生命に危険が及ぶ恐れがある場合
5:精神保健指定医が直接診察し、身体的拘束が必要と認めた場合

 

『保険証デジタル化』


・カード不所持者に交付する資格確認書の有効期限を当初の1年間から5年に延長。

周回遅れの日本デジタル行政改革がこの妥協案で良いのか?
今後、患者も診療所もまた5年後に反対すればいいだけだ。
・マイナ保険証によるオンライン普及は医療機関感での重複した検査や投薬を減らし薬の副作用や飲み物も合わせてチェックできる。高齢患者が増え続ける日本で無駄な医療費を減らし、効果的な医療サービスを促進させるはずだった。

・マイナンバーには保険証や年金に関する他人情報を誤って紐付ける事案が判明したが、紙ベースでも年間500万件ある。現状、行政における無数の非効率なしくみがデジタル化のプロセスで顕在化しただけ。

・紙の保険証では個人を特定できず高い医療保険料を払わずに受信する悪用者もいる。保険財政を悪化させるが診療所の懐は傷まない。せめて初診料は資格確認書利用では値上げし、デジタル保険証では値下げすることが必要だ。

・便号自体は運転免許証等と同様に個人を識別する道具に過ぎない。これを書留でしか郵送できない行政の秘密主義は今後、デジタル番号の幅広い活用の障害になる。
・デジタル行政は従来の生活保護をはじめとする住民の申請主義を行政からの個人のニーズに応えたプッシュ型に変えるために有効だ。高齢者ほど市町村の連携は密になる。
高齢者にはデジタル対応が無理だから紙ベースでやむを得ないというのは後ろ向き発想だ。

 


『病院まで1時間超え広がる無医地区』


・医療アクセス難地域を抱える割合上位県で広島は52%で全国4位となっている。
医師数は2030年頃から過剰になり32年頃36万6000人となるが無医地区に医師が来るか?はまた別問題。
・無医地区とは公共交通などで1時間以内に行ける病院や診療所がない地域が定義。
1994年1307箇所から2014年には1057まで減るが19年には1084箇所で増加。
全国1741市区町村の2割が抱え大分県はすでに7割超の市町村に存在する。

今後試算すると54年に2000箇所を超え市町村の4割無医地区増えます。
・今後はローカル鉄道の廃線などで無医地区は一層増える。
福井県は僻地診療所で医師が不在の場合、県立病院から代診医を派遣している。
和歌山県では県立医大の専門医がオンラインで助言する。利用は14~22年度で290件

 

『社会保障ゆがめる年収の壁という助成金』


・社会保障制度の公平性の観点で問題がある。パート従業員が社会保険料負担を避けるために働く時間を抑える年収の壁の対策として助成金制度を決めた。

・高齢者社会を支える、弱者を支える力を社会全体で高める必要があると所得を得た人が金額に応じた社会保険料や税を納める事はその基本だ。

・しかし、専業主婦ら会社員に扶養される配偶者は第三号保険者と位置づけられ、働きに出ても収入が一定額以上になるまでは負担を求められない。この優遇がそもそもおかしい。

専業主婦らの収入がその一定額を超えても国が実質的に保険料を肩代わりして手取りが減らないようにする。これでは優遇に優遇を重ねる事になる。

・専業主婦らが従業員数100人超企業で働く場合、週勤務が20時間以上で月収が8万8000円以上になると扶養から外れる。給与から社会保険料天引きが始まり、年収が125万円以上になるまでは手取りが適用前の水準を下回ることになる。

・今回の対策では社会保険料の算定対象としない手当を2年間限定で作る。収入が106万円以上になって保険料負担が発生してもそれと同額が手当によって穴埋めされる形。

対策を実施した企業には雇用保険特別会計からパート1人あたり最大50万円を助成する。

つまり実質的に国がパート保険料を肩代わりする事になる。

・助成金は人手不足への対策が狙いだが、たしかに最低賃金が10万円に引き上げられると106万円壁を超えないように働く時間を減らす動きがパートに広がる可能性がある。

2年間の時限措置だとしても専業主婦らの優遇を広げる手法は負担と給付の公平性を損ない、社会保険制度を歪めかねない。

・年収の壁が生まれてしまう根本原因は【負担なき給付】を認めた第三号被保険者制度にある。そこにメスを入れる改革こそが壁を無くすために必要だ。