鳥獣被害対策についてお伺いします。
平成19年に制定された鳥獣被害対策特別措置法では、被害防止計画を策定した市町に対して財政措置がされております。会計年度で選任した場合の人件費について、国から80%の特別交付税措置がありますが、しかしながら、現在鳥獣被害対策のための特別交付税の対象となる自治体の隊員として登録しているのは、呉市のほか、全部で4市のみで、いずれも特別交付税の活用には至っておりません。


 こうなった要因として、大きく三つあると思っております。一つ目は、平成19年に平成の大合併などで人余りの時期があり、当時、ニーズがなかった。二つ目は、各市町の総務や農林関係の部局の情報が十分に行き渡らず、約15年間、この政策が放置されていた。この状況は、縦割り行政の典型的な問題を露呈しています。三つ目に、関係市町において、鳥獣被害対策が事業の優先順位として低かった。


 私は、現段階で農林水産局が各市町に通達したとして、きちんと全市町が首長を含めてこの制度を把握し、連携していく必要があると思っております。
 最近では、テレビでもよく流れているように、特に島嶼部で、イノシシは海を渡り、島に行き着き、様々な被害を出しております。イノシシの移動距離は数キロメートルと言われていますが、水路を通ると、山間部と違って、移動距離は大きいと聞いております。当然、近隣市町を越えて活動するのがイノシシと想定して、広島県として、きちんと鳥獣被害対策の指針を示し、取り組むべきと考えますが、農林水産局長の御所見をお伺いします。

 

答弁(農林水産局長) 

 

本県では、鳥獣による農作物の被害低減を図るため、「安心 誇り 挑戦 ひろしまビジョンアクションプラン」における農林水産業の施策領域において、市町の作成する鳥獣被害対策プログラムを進めるため、市町担当者や集落リーダーを対象とした研修会の実施やモデル集落での活動に向けた専門家の派遣、IoTを活用した新技術の導入実証などに対して支援することとしております。
 また、農林水産分野の行動計画である2025農林水産業アクションプログラムにおいても、このビジョンの目指す姿を実現するため、令和3~7年度の5年間を計画期間とし、県全体の被害額や集落ごとの被害状況を指標として定めており、具体的な計画に沿って、鳥獣被害対策に取り組んでおります。
 さらに、これら指標の達成に向けた取組が適切に進められているかどうか、局内における施策マネジメントを行っており、個々の取組内容に応じて、適切な時期に点検・評価を行い、課題に対する今後の対応策などについて、PDCAサイクルを循環させながら、最善の取組となるよう努めているところでございます。
 鳥獣による農作物の被害防止対策は、市町村が主体的に取り組むよう法律に明記されておりますが、鳥獣生息区域の拡大などに伴いまして、市町の区域を越える広域的な対策など、県が担うべき役割も増加しているため、専門業者を活用した市町への戦略的な支援や農地周辺の山林を含めた広域での捕獲活動について、今年度から県が主体となって取組を始めております。
 引き続き、効果検証の結果や地域の実情を踏まえつつ、県の方向性に沿って鳥獣被害の低減が図られるよう、市町に対して幅広く最新の国の制度に関する情報提供を行うとともに、捕獲等に係る新技術の助言などを行ってまいります。

要望・質疑(村上委員) 

 

私はシンプルに、会計年度で選任した場合の人件費の80%補助をしっかりと通達していただきたいと思っております。しっかりと要望していただくようにお願いします。