『介護離職を心のケアで防げ』
『年金支給年齢の引き上げを』
『介護施設閉鎖による介護難民』
『医療・介護規制改革に壁』
『介護と仕事の両立支援』
『医療費の物価反映の身長に』

『介護離職を心のケアで防げ』

介護が理由とカミングアウトしないまま辞めたり有給休暇などで両立を励む人も多い。
育休世代と違い、長期で仕事を休む経験をしていない世代だ。
大成建設は仕事と介護を両立前提とした面談資料などを介護サポートプログラムとして整備し、毎年300人が管理職向け研修として実施している。

介護看護理由の退職者が年間10万人を越え10年間で倍増えた。
25年には団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となり2180万人になる見通しだ。
人口の18%を占めるが監査など手掛けるEYジャパンは19年介護希望者らが地元へ引っ越す際の費用を負担する取り組みを試行。

 

『年金支給年齢の引き上げを』

 

・2050年人口が1億人を下回る事が予測されているが、1960年代の水準に戻るだけだ。

しかし、当時の高齢者比率は6%で50年の38%とは著しく大きい。

・高齢者の増加で自動的に増えるのが年金で政府は20年ほど前の100年安心年金の看板に固執している。

・保険料は上げられず、給付削減も十分には削減できない。あとは年金積立金運用益に期待するしかない。過去の年金試算では将来の年金積立金が急速に積み上がり100年間維持できるといった都合の良い利回りと賃金見通しが描かれている。

・無理な将来試算をするより長生きする分だけ年金を受け取れる時期を先送りするのが合理的だ。生涯ベースの年金受給額を増やさなければ年金制度は安泰される。

・高齢で働けなくなった後の強制的な年金削減ではなくあらかじめ長く働き続ける事を基本とする低めの年金額でも良ければ早めに引退という選択肢もある。

65歳以上の支給開始年齢の引き上げがなぜ日本では検討もされないのか?他の先進国では67歳が支給開始年齢となる。

 

『介護施設閉鎖による介護難民』


・コロナ・物価高・人手不足の3重苦で倒産・休廃業・解散が22年過去最多を更新。

最多の143件前年比77%増、休廃業・解散も495件16%増となり合わせ638件。

・介護報酬は公定価格のためサービス料金の引き上げが難しく、感染防止のため利用控えと物価高による息切れ倒産が目立つ。比較的需要の多い都市部でも中小事業者がスタッフを確保できず休廃業に追い込まれるケースが出ている。

・介護従事者の人材紹介会社に支払う手数料の高騰も重荷になっている。

・ある施設では1人当たり紹介手数料49万5千円支払い、大規模な施設では年間1億円以上支払うケースもあった。高齢者施設の配置基準を入居者3人に職員1人と定めており事業者は欠員を速やかに補充する必要がある。

・厚労省は21年度手数料の公表や苦情窓口の設置など基準を満たした紹介会社の認定制度を設けたが介護分野で認定を受けたのは3月時点で21に留まる。
 

『医療・介護規制改革に壁』
 

政府に実施提言
・医療データ利活用の法整備
・都市部での遠隔診療拡大

・成果重視の介護報酬

・投薬など訪問看護師の業務明確化
・画像診断AIの早期承認


先送りや今後検討
・薬剤師による在宅患者の点滴交換

・看護師が医療行為をできる国家資格

・法定健診の項目合理化

医療福祉人材は2040年に1070万人が必要になる。一方で担い手は974万人で96万人足りない事になり、ケア体制が崩れかねない。

医療介護分野以外の主な答申内容
【スタートアップ・新産業】
・AI使う契約書審査サービスの推進
・無人航空機の安全基準緩和
【人への投資】
・日本在留認める特定技能の対象拡大
・技術革新へ大学設置基準の特例活用

【地域の活性化】
・国産小麦の競争力を高める検査適正化
・水産資源を管理しやすくする法律運用の改善
【そのほか】
・子育てに絡む中小企業の申請負担軽減


【過去の規制改革の主な成果】
・医薬品のコンビニ販売
・製造業の労働者派遣の解禁
・公共サービス効率化へ市場化テスト
・保護者がパートでも保育所入所許可に
・携帯電話の通信と端末の料金分離
・行政書士の押印廃止

 

『介護と仕事の両立支援』

・介護休業内容は対象家族1人当たり93日取得可能、3回まで分割可
・介護休暇介護終了まで年間5日間、時間単位で取得可能
・残業など免除・制限は介護終了まで何回でも取得可能
・短時間勤務やフレックスタイム・時差出勤などの活用も利用開始から3年以上の期間に2回以上使える。

・介護離職は2010年代から急増し9~10万人に達する。介護離職による経済損失は年間約6500億円にのぼる。


『医療費の物価反映の身長に』


・年間45兆円に上っている医療費が物価高を反映させる形で一段と膨らむ可能性が出てきた。医療費を増やせば患者負担や国民の保険料負担が重くなることを軽く見るべきではない。
・保健医療は診療報酬という政府が定める公定価格で提供されるので、医療機関や薬局は光熱費や設備費、委託費など経費の増加分を患者の医療費に転嫁できない。
・賃上げが重要なのは医療従事者も例外ではない。ただその原資や経費の増加分すべてを診療報酬の増額で賄う考え方で国民理解を得られるのか?
産業界の労使交渉では賃上げと生産性向上をセットで議論するのが一般的だ。
医療従事者の賃上げを考える際も業務効率化の方策を同時に検討すべきだ。
医療従事者の賃上げにはデータに基づく議論も必要だ。