次に、環境県民局にお尋ねします。

第5次広島県廃棄物処理計画において、デジタル技術を活用した廃棄物トレーサビリティーの強化を目的としている電子マニフェストの普及率が令和7年度時点で80%にすることを目標に掲げているのですが、電子マニフェストの普及により、なぜ廃棄物の適正処理や不法投棄対策が推進されるのか、お尋ねします。

答弁(産業廃棄物対策課長) 

 

マニフェスト制度につきましては、産業廃棄物の排出事業者が処理を委託した産業廃棄物の処理状況を自ら把握、確認することにより、不法投棄等の不適正処理を未然に防止する制度です。

排出事業者におきましては、紙マニフェストか、電子マニフェストのいずれかを選択して使用することが義務づけられております。このうち、電子マニフェストにつきましては、環境省が指定しております情報処理センターを介しまして、ネットワーク上で産業廃棄物の処理についての情報のやり取りを可能とするもので、平成10年から運用されているところです。

 

当初は、紙マニフェストに比べて、入力等が難しかったことや、少量の産業廃棄物の排出事業者にとりましては、コストが割高となることなど、紙マニフェストに比べてメリットが少なかったこともあり、電子マニフェストについては利用が進みませんでした。

しかし、運用開始以降、改善が行われており、例えば排出事業者が簡便にマニフェストの情報を登録できるようにシステムが改善されたことや、マニフェストの利用頻度によって利用料金の体系が複数設定されることなど、近年は利便性が向上しているところです。

 

また、紙マニフェストに比べて、電子マニフェストでは、排出事業者の事務の手続や事務処理費用が大幅に削減できるメリットもあります。電子マニフェストの普及を進めることによりまして、記入漏れがあればマニフェストを登録できないため、記入ミスを防止できることや、委託した産業廃棄物の処理が終了したことの報告がない場合には、情報処理センターから通知が届くことになっており、処理終了の確認漏れも防止できるなど、コンプライアンスが強化されるものです。

 

また、排出事業者が収集運搬業者や処分業者の3者と情報処理センターの管理するシステムにアクセスすることが可能であり、常に廃棄物の処理状況を確認できることにより、データの透明性が担保されているものです。電子マニフェストの普及でこれらが徹底されることにより、不適正処理等の未然防止等が推進されるものと考えております。

質疑(村上委員) 

 

答弁の中で言われていたと思うのですが、単純に言えば、排出事業者へごみを出す業者がいて、収集運搬業者がいて、中間処理業者や最終処分処理業者に分かれるということです。

紙ベースでは、どこでどういう不正が起きているのかが分かりにくく、また、単純にデジタル化しただけでは、連動させるのが難しいけれども、情報処理センターという国の第三者機関が入ることで、適正に処理されるということだと思います。
 そういったことから広島県も進めている中で、令和3年度の電子マニフェスト普及率は58.5%となっています。業種ごとの電子マニフェスト普及率がどうなっているのか、お尋ねします。

 

答弁(産業廃棄物対策課長) 

 

業種ごとの普及率は、直近の令和2年度のデータですけれども、建設業で64%、製造業で66%、卸売業等で72%、医療・福祉で34%となっております。

 

質疑(村上委員)

 

医療・福祉の業種については、電子マニフェスト普及率が34%と、ほかの業種の普及率と比較すると低くなっているのですけれども、原因とその対策についてお尋ねします。

 

答弁(産業廃棄物対策課長) 

 

医療・福祉の内訳ですけれども、例えば病院などの医療業のほか、保健衛生や介護事業等です。このうち、マニフェストの発行件数の9割程度を医療業が占めているところです。

この医療業の電子マニフェスト普及率を見てみますと35%となっており、このため、医療・福祉全体では電子マニフェストの普及率が34%となり、ほかの業種に比べて低いという状況です。

 

この医療業について、電子マニフェスト普及率が低い原因としましては、マニフェストを交付する医療機関において、電子マニフェストの認知度が低いこと、あるいは、小規模な医療機関ではマニフェストの取扱枚数が少なく、紙マニフェストから電子マニフェストに切り替えるインセンティブが働きにくくなっていることなどが考えられます。このため、紙マニフェストの取扱枚数の多い医療機関へ訪問し、電子マニフェストのメリット等を説明したり、医師会等の業界団体を通じまして、小規模な施設も含め、医療機関に対して加入について周知したり、電子マニフェストの活用講習会を実施するなどにより、電子マニフェスト普及率の向上を図っているところです。


 なお、電子マニフェストの全体の普及率を向上させるためには、マニフェストの発行件数の多い業種に対して働きかけを行うことが重要と考えております。このため、医療・福祉業のほか、マニフェスト発行件数の全体の7割程度を占める建設業や製造業にも重点を置いて取り組んでいるところです。また、令和2年度からは、例えば感染性産業廃棄物等の特別管理産業廃棄物を年間50トン以上排出する事業場においては、電子マニフェストの使用が義務づけられており、こういった制度の改正によりましても今後普及率が向上していくものと考えております

 

意見(村上委員) 

本日、病院事業局も御同席していただいているので、環境県民局とともに局間との連携をしっかりとしていただきたいと意見を述べさせていただきます。大阪市では電子マニフェストをしていないと公共入札に入れないというところまで進めています。ですから、関係各局との連携を取りながら、広島県の電子マニフェスト普及率の向上に向けて、よろしくお願いします。