質疑(村上委員) 

 

私からは、居住誘導区域内の既存住宅、中古住宅についてお伺いします。
 中古住宅流通促進に向けた検討チームの検討会議について、いまだに中高年の世代は、工事に関して、新築、戸建てにこだわる概念があります。

しかしながら、少子高齢化において、リノベーションが重要ですが、若い世代の価値観をしっかりと知った上で取り組むべきだと考えております。


 政府が基本統計調査で平均年収を出しているのですけれども、企業規模10人以上で25~29歳だと380万円、30~34歳で420万円、35~39歳で480万円です。さらに、1,000人以上の規模の社員ならば、25~29歳で約420万円、30~34歳が480万円、35~39歳が540万円になっているのです。

 

一方、あるネット上では、20代の平均年収は広島県で227万円前後なのです。大卒の平均年収が243万円前後、30代になると291万円で、大卒の平均年収は331万円です。こちらのサイトでは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を基に出されているのですけれども、私の感覚としては、こちらの数値のほうがしっくりきます。
 さらに、住宅金融支援機構の年収倍率で、どのような形で年収に対してお金を貸しているのかというところで考えたとき、ずっと右肩上がりで貸付金額が増えているのです。ローンは収入に関して1~2割で考えていると思うのですけれども、これから、原材料費が確実に高騰し、内需縮小で、世界経済の悪化によって景気後退も考えられる状況の中で、給与が伸び悩む状況も想定されます。また、金利上昇も想定されている中で、若い世代の意見や現状を反映させることが必要だと思うのですが、いかがでしょうか。

答弁(住宅課長) 

 

中古住宅やリノベーションの市場は、若い世代を中心に人気が広がってきております。県の施策においても、若年者をメインターゲットとして捉えて検討していくことが重要であると認識しております。


 今回、設置いたしました魅力的なライフスタイル創出検討チームにおきましては、ターゲットに対する効果的、効率的な広報戦略などを検討することとしております。

 

構成メンバーとしては、リノベーション市場で国内第一位の施工実績を持つ企業をはじめとして、市場規模が大きく、国内トレンドが形成されていく首都圏において活動されている事業者にも参画いただいております。


 このような若者を含めた消費者に響く商品や企画などの立案にたけた事業者などと議論することによりまして、実効性のある効果的な戦略を検討してまいりたいと考えております。

 

質疑(村上委員) 

 

構成員を一通り調べたのですけれども、在阪、在京の企業も入っております。基本的には戦略と施策を分けて実効性のあるものにしようということで、まずはここの戦略チームとして検討チームに入っているということです。

 

また、AIにより、中古住宅の値段がネットで分かるようにする等に取り組んでいます。

 

2月14日に配付された取組の方向性に関して、現状の項目でいえば、需要側の仕組みづくりと、需要側と供給側のマッチングの仕組みづくり、供給側の仕組みづくり、あと、今後の進め方には、先ほど言われていたターゲットを絞っていくところに関しての若い世代の項目がないのです。

これに対して、どのようにお考えなのか、お伺いします。

 

答弁(住宅課長) 

 

方策を検討する上で、若者を中心とした、これから住宅を購入していく世代に向けて、広角的な取組を検討することが必要であると考えております。

 

近年のSNSの普及などもございまして、消費者の情報を収集する能力は高くなっておりまして、魅力的なコンテンツや事例を知る機会は増えてきている一方で、情報発信だけでは膨大な情報量の中で埋もれてしまって、消費者の行動や価値観を変えていくところまでは難しいと認識しております。若い世代の行動や関心があることをしっかり分析した上で、リノベーションをリアルに体験して、魅力を感じていただける場面をいかに多くつくっていくかを検討してまいりたいと考えております。

 

質疑(村上委員) 

 

発信についてですけれども、ティックトックでよく出てきて、今すごくはやっているのが、外観上は古い団地の中へ入ると、若い世代の人たちがいわゆる映えるというような部屋の内観にしていて、若い人の感性を動かす形で、どんどんお客さんを取っていっているということも聞いております。


 居住専用住宅の坪単価が、資料を見ると、2012年に55万円でしたが、2021年には65万円程度まで上がり、約10万円上がっています。これから先ももっと上がっていくことが予測される中で、若い世代の所得が、増税もあるため、住宅単価に比較して上昇幅も抑えられることが想定されると思います。原材料高騰と若い世代給与に対する分析をどのように考えているのか、お伺いします。

 

答弁(住宅課長) 

 

坪単価は上昇し続けておりまして、今後も上昇が予想されます。海外の木材とか鋼材などの消費増加に伴う資材価格の高騰、それから、建設業の労働環境の改善などによる人件費の上昇により、今後も建築費はずっと上昇していく可能性が高いと考えられることを踏まえますと、これまでと同じように新築住宅の供給を推し進めるだけでなく、リノベーションの魅力をさらに県内に普及し、若い世代をはじめとする消費者が中古住宅を購入しやすい環境をつくっていくことが重要であると考えております。

要望(村上委員) 

 

総務省の住宅土地統計調査で、広島県内の世帯収入の分布の推移を見ると、年収400万円未満がかなり増えてきています。

 

50%を超えてきているのが現状であって、今後、金利が上昇することで、住宅金利上昇や企業経営も資金繰りが苦しくなって、給与所得や手取りは相当厳しくなっていくことも想定されます。

 

そして、2018年の時点では、空き家が約850万戸あり、2028年には1,500万戸にまで増えていくことも言われております。
 今朝の日経新聞で、中古住宅再生販売のカチタスという会社についての記事がありました。ここは、交通の便や学校、病院などとの距離を勘案して、売れると判断すると、庭を潰して2個駐車場を増やしたり、家に置いてあった家具も処分したりして、人口5~30万人の地方都市に集中したマーケティングをやっています。その世帯年収はどれぐらいなのかといえば、200~500万円のところを、カチタスはターゲットにしております。

 

こういった企業もしっかりと調査して、検討会に入っていただくことも必要だと思っております。

要は、こうした検討チームをつくるときに、どういったターゲットに絞り込んでやっていくのか。これから外国人がどんどん入ってくると、企業が中古住宅に外国人労働者を住ませることも考えられます。そういったところも考えていただけたらと思っております。


 これから、物価上昇が避けられない状況にあること、また、空き家の状況を考えると、新築戸建ての市場は厳しくなる反面、リノベーションの中古市場にとっては追い風と捉えて、今後の若い世代の中古住宅市場の購入促進と環境整備を併せて着実に進めていただきますよう、よろしくお願いします。