◯質疑(村上委員) 私からは、新しい資本主義における所得・資産倍増プランが新産業に関わるのではないかという点と、雇用確保の点について伺いたいと思います。
 今回の物価高と世界的不況の仕組みは、人口が80億人を超え、資源が逼迫する中で、世界中の政府がコロナ禍でお金をばらまいたことで大幅なインフレが起きたためと考えます。現在、米国において金融引締めが行われていますが、今度は景況感が減速しており、中国においては、コロナ封鎖で経済が減速しています。従来であれば、金利の引上げで一定程度インフレが収まるところが、収まっていない状況です。これまでにないことが起きているのが、世界の現状だと思います。
 日本では、少子高齢社会と物価高や円安傾向で先が見通せない中で、仕事や副業で所得などを増やすことが大変難しい状況下にあることが予想されます。特に中小企業は、今後退職金が出ないのではないかとの話が散見される中で、老後2,000万円問題が騒がれていました。今後、老後の資金が必要とされる中で、まず、広島県内の中小企業における30代、40代、50代の従業員数を教えてください。

 

◯答弁(雇用労働政策課長) 県内中小企業の年代別の従業員数については、正確に把握し公表された統計データはなく、推計値となります。推計に当たっては、令和2年国勢調査から産業別雇用者数を年齢別に集計し、そのデータに対して経済政策のデータを元に、全企業に対する中小企業の従業員数の比率が76.7%であることから、この比率を全世代とも同じ率と仮定して推計しました。
 30代は約16万人、40代が約22万人、50代が約19万人、3世代を合計すると、約57万人になると思われます。

 

◯質疑(村上委員) 大企業はある程度の退職金制度がしっかりしているのですが、退職金制度がなかなか導入されない現状がある中小企業が散見される中、今後、中小企業において退職金制度に代わる制度が、つみたてNISAとiDeCoであると言われています。NISAを一例に取ると、仮に今年から年間40万円積み立てた場合、20年後の2041年には、20年間平均利回りを4.5%で運用すると2,026万円程度になると国は推奨しています。
 過去の失われた20年間でも利回りの実績平均7.3%で運用できています。仮に7.3%で運用できたら、約3,400万円になります。毎月3~4万円納めたとして、20年間でおよそ800万円が必要になります。800万円の元手が、約4.5%だと2,026万円で、7.3%だと約3,400万円になります。このような制度を企業に周知することは、ある意味で新産業という側面もあり、福利厚生面の充実という雇用対策として、一つの大きな戦略になると思いますが、広島県として、このiDeCoやNISAに関する考え方、認識をお伺いします。


◯答弁(雇用労働政策課長) 中小企業における退職金制度は、人材の確保と定着を図るためにも非常に必要な制度であると認識しています。県内中小企業においては、従業員に退職金を支給できるよう、退職金制度の導入に取り組んでいると考えています。
 御指摘のとおり、個人において将来の財産づくりのためのつみたてNISAや個人型確定拠出年金のiDeCoに加入されている方も、一定程度いるものと思います。これらに加えて、事業主が上乗せ拠出するiDeCo+や、国の助成を受けられる退職金共済制度などもありますので、制度の導入に当たっては、それぞれのメリット、デメリットを把握し、中小企業と従業員の実態に合った制度を活用することが肝要と考えますので、関係機関等とも連携し、情報発信など周知に努めていく必要があると考えています。

 

◯要望(村上委員) 最後は要望ですけれども、現在の日本におけるNISAとiDeCoの利用率は、まだ5%と言われています。そうした中で、日本に眠る1,050兆円の現金預金を株式市場に流用し、プライム、スタンダード、グロースと3つに分かれている株式市場の株価を上げていくことが資産防衛になり、企業業績の回復とともに賃金が上昇し、物価高対策になり、根源の対策になると思っています。さらに、このつみたてNISAは、手数料や信託報酬がなく、また年間40万円までの減税措置があり、個別銘柄を買うのではなく、ETF方式で株式を購入するので、破綻することもありません。毎月自動引き落としで資産形成が勝手に始まり、もちろん利回りは悪い年も良い年もありますが、20年間を平準化して見ることが、NISAの最大の特徴だと思います。
 今後、さらに減税枠が40万円から増えると言われており、現在、金利がほぼつかない金融機関において塩漬け資産となっている現金預金も、物価高で現金の価値が目減りしていますから、県としても、このNISAを推奨していくことは大変重要な責務であると感じています。仮に物価が1%上昇すると、20年後には1,000万円の価値が819万円になります。政府が目指す2%が実現すると、20年後には672万円になります。こうしたことからも、広島県が旗振り役となって中小企業の福利厚生面の整備、また、人材確保の戦略としても考えていくことが大変必要な施策だと深く認識していただき、これらの取組を進めていただくことを要望して、私の質問を終わります。