◯質疑(村上委員) 私からは、委員の改選前の最後の委員会ですので、1年を通し、強い思いを入れた質問をさせていただきたいと思っております。
 これまでの委員会では、警察の働き方改革のためにるる質問をしてまいりました。警察の業務において最先端技術を導入することで、広島県の警察官の負担が軽減し、その分、犯罪の検挙率や予防活動が向上して、県民の安心・安全が高まることにつながると信じて質問をしてまいりました。特に今回のサミットの中では、最先端技術を使って、今まで2万人体制でやっていたものを、もしかしたらもっと人数を減らして行えるのかといった国の最先端技術を活用した新しい取組をどんどん進めていくチャンスにもなるかもしれないので、そこはいろいろ警察庁と連携しながら対応してもらえたらと思っております。
 過去、私はいつも質問させてもらっていたのですけれども、警察においては検挙がすごく重要であって、予防に関しては、普通は、知事部局も含めて県民一丸となってやらないといけないところではないのかと思っており、検挙と防犯が混合しているような気がするのです。
 かつて、ニューヨークのジュリアーニ市長が推進した、落書きを消すことで犯罪を減らすという割れ窓理論は代表的な一例で、広島県警察においても全国に先駆けて、「減らそう犯罪」ひろしまアクション・プランとして取り組んでいただいています。
 こういった中で、現在、犯罪の減少傾向は継続しているのですけれども、ここで改めて、県民一体となって、犯罪予防都市広島というものを目指すべきではないかという思いで質問します。
 まず、広島県警察の取組として日常生活を通じた見守り活動についてお伺いします。
 既に、ながら見守りという名称で、多様な世代が通勤やウオーキング、買物、犬の散歩、花の水やりといった日常生活を行いながら、防犯の視点を持って子供等の見守りを行うように機運を醸成していると承知しております。コロナ情勢における防犯ボランティアの活動状況は、コロナ以前より活動のしにくさがあると思うのですけれども、全体的な犯罪の減少傾向が継続している中で、ながら見守りを加速させることができないかと考えております。
 その中で、静岡県、大阪府、兵庫県において防犯パトロールとランニングをかねた、ランニングパトロールという取組が広がりつつあると聞いております。広島県内においても多くのランニング愛好家や団体があるため、これまでながら見守りで行っている活動自体は大きく変わることはありませんが、キャッチフレーズとして大きくアピールしたらどうかと思っております。
 そこで、大阪府等のように、広島県においても広島ランニングパトロールのキャッチフレーズを導入して活動を促すことで、ながら見守りの防犯活動が活性化するのではないかと思いますが、どのようにお考えなのか、お伺いします。

 

◯答弁(生活安全部長) 今、委員から御質問のありましたながら見守りでございますが、これは日常活動を行う際に、防犯の視点を持って子供の見守りを行うものでございます。子供の安全確保のみならず、見守りの担い手の裾野の拡大でございますとか、地域の防犯力の向上が期待される活動でございます。「減らそう犯罪」ひろしまアクション・プランにおいても推奨しているところでございます。
 本県におきまして、ただいま御質問のありましたランニングパトロールをうたった団体は今のところございません。ただ、目下、警察本部が事務局をしております大学生ボランティアのスリーアローズのメンバーから、ランニングパトロールの実施の提案をいただいているところでございます。その実現に向けて、検討を行っております。このパトロールを通じまして、県民の皆様にランニングパトロール参加の機運醸成が図られれば、キャッチフレーズに関した活動へつなげていくことも検討できるのではないかと考えております。

 

◯要望・質疑(村上委員) ちょっと驚いたのですけれども、そういった形で進んでいるということです。こういったものは、まずは心に入りやすくするために、道徳規範の醸成やハラスメント、働き方改革といった細かいことを説明しなくても一言で国民、県民が理解しやすいということで、定着する大きな効果が見受けられると思います。その中で、ジョギングなど日々の生活の中で、まちの変化、不審者への意識を持ってもらって、オトモポリスとの連携も考えていただきたいと思います。
 また、キャッチフレーズを進めていくと同時に、マラソン人口などを増やしてほしいのです。これからやはり健康という面でも、福祉増進を広めていくという面でも、道路使用許可が警察の所管にあることから、各種マラソンやスポーツ団体と連携しながら、小さな大会でもいいので、開催しやすいように積極的に関与していただいて、県民福祉の向上と防犯活動の活性化を含め、要望いたします。

 


 次に、防犯カメラについて質問します。
 この間も、福山市で事故があって、それがずっと全国で放送されていたのですけれども、最近ではテレビでも、防犯カメラで撮影された衝撃映像が放送されています。国民の意識も、昔に行われた公権力による監視社会の到来だとか、プライバシーの侵害だとかといった兼ね合いのいろいろな議論を経て、反発もアレルギーもほぼなくなってきていると思います。コンビニエンスストアに入って、何で撮っているのだといったことも今どきはありません。
 それで確認したところ、日本全国では約500万台以上の防犯カメラが稼働しており、特に東京都、福岡県、大阪府は設置台数が多いということです。この3都府県は刑法犯の認知件数も多く、犯罪の予防や検挙のために設置が進んでいると考えられるのですけれども、諸外国で見ると、やはり中国、アメリカ、ロシアが圧倒的に多く、日本とは比較にならない数を設置しています。
 そこで質問ですが、広島県内において、県警察が歓楽街などの犯罪多発地域に設置、または自治体が設置、もしくは自治体の補助金交付制度を活用して設置されている街頭防犯カメラの設置状況はどのようになっているのか、また、近年の設置台数の増加の状況はどのようになっているのか、併せてお伺いします。

 

 

◯答弁(生活安全部長) まず、県警察が歓楽街などの犯罪多発地域に設置している街頭防犯カメラは30台でございます。いずれも流川・薬研堀地区に設置しているものでございます。
 それから、各市町設置の街頭防犯カメラにつきましては、令和4年3月末現在で2,281台でございます。前年同期比で79台増加いたしております。
 また、街頭防犯カメラ設置時の各市町による補助金交付制度でございますが、現在、広島市をはじめ、福山市、呉市など、県内6市が導入しております。これらの補助金交付制度を活用して、町内会等で設置された街頭防犯カメラにつきましては、令和4年3月末現在で698台でございます。前年同期比で71台増加いたしております。近年、毎年200台程度が増加している状況でございまして、順調に街頭防犯カメラの設置が進んでいるものと考えております。

 

◯質疑(村上委員) 以前に比べれば設置が進んでいるとお伺いしました。ただ、やはり2,281台ではまだまだ足りないという認識があります。
 ところで、各自治体の街頭防犯カメラの設置に関する補助金制度で、設置料の課題面は改善されてきたと思っておりますけれども、福山市では、新規補助は停止して、更新のみという状況であり、少し残念だと思っています。
 加えて、各自治体の補助金の交付制度では、補助対象団体として、おおむね自治会や防犯組合、さらに地区社会福祉協議会等が記載されておりますが、商店街組合や民間企業などは明記されていないのです。そういったところは原則補助がないのではないかと思っております。また、広島県として、防犯カメラの補助金交付制度がないことも課題であると思っているのですけれども、国の中小企業庁の中小商業活力向上事業の支援措置の一つに防犯カメラの設置があることは救いかと思います。こういったことの情報提供は商店街とかに行っているのか、これもまた怪しいところです。これらは県警察が直接解消できる課題ではないですし、防犯カメラの有効性は十分理解されていると思いますので、今後、県警察として、防犯カメラの普及促進について、関係所管も含めて、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

 

◯答弁(生活安全部長) 防犯カメラの普及は、犯罪の起こりにくい生活環境を創出する取組の一つとして期待されるところでございます。
 県警察といたしましては、防犯カメラの設置効果について幅広く広報するなど、設置に向けた機運の醸成を図りますとともに、町内会等が補助金制度を活用して設置する際には、防犯上、効果的な設置場所について助言するなどの支援を行いまして、防犯カメラの設置促進に努めてまいりたいと考えております。

 

◯意見(村上委員) 最後に、私の意見を述べさせてもらうのですけれども、やはり何か公権力という部分となると、警察からは言いにくいと思うのです。やはりそれぞれの団体や地域から声が上がってくるような自然な流れ、形にしていくべきだと思うのです。だからこそ、本来ならば、広島県の知事部局で条例をつくっていくべきだと思うのです。県警察でそこを強要して、お願いしますというのは難しいですし、私はそこも一例として、補助要綱の中で、県警察のデータとこれからつなげていくことがすごく重要ではないかと思っているのです。というのが、勝手に自分でつけた名前ですけれども、もしも犯罪予防都市広島を目指すとしたら、全ての防犯カメラのデータの連携強化は必要ですし、今後の社会の流れはそうなっていくと思っています。防犯カメラの横連携は、監視社会の推進として反対意見が多くあることは十分承知しているのですけれども、ドライブレコーダーやスマートフォンが普及している現代社会において、そのハードルは下がっていると思います。特に商店街は、高齢者が安心して利用してお買物できることが、商業の活性化にもつながっていきますし、防犯カメラはその最たるアイテムではないかと思っております。その方面でも設置を進めていく必要があるので、この点についてはこの後、商工労働局にも確認していきたいと思っております。
 他方で、警察による防犯カメラのデータ提出協力依頼では、原則として法令に基づく書類を提出して、提供してもらう流れになると承知しております。将来的に防犯カメラの横連携でデータの一元管理が実現すれば、警察が効果的に素早く活用することは可能であって、犯罪捜査の上で大きな力になるのではないでしょうか。特に振り込め詐欺やその受け取りなどで、防犯カメラが一瞬で判断できるような状況がこれから考えられます。警察庁は、既に防犯カメラをAIで認証チェックさせる実証実験も始めていると聞いています。それは今までだと職員がずっとチェックしないといけなかったところをなくしていける、警察の働き方改革の大きな一因になると思いますし、警察官が余計なところをチェックしていたとかがなく、このデータでこの顔だけをAIがチェックするといったところでも、個人情報や個人を守ることにつながっていくと思うのです。だからこそ、早々にこういった補助金のところで警察の防犯カメラシステムと連携するという一例を入れていくなど、広島県全体で進めるべきだというのが私の考えです。
 こういったことが社会風潮として一元化されれば、広島県では犯罪をすればすぐに捕まると全国民に周知されて、広島県ではやらないでおこうかということが出てくると思うのです。だからこそ、少しずつでも取組を進めていただきたいと思っております。
 1年間、質問してきましたが、親切、丁寧にお答えいただき、誠に感謝しております。今後も頑張ってください。ありがとうございました。