『不妊の保険適用拡大』


従来は1回で数十万円の自己負担が求められる事例も多かったが原則3割窓口負担で済むこと位なる。高額療養費制度も踏まえればさらに軽減される。
不妊検査や治療の経験者は少なくない。2019年生まれの子ども14人のうち1人は治療成果で授かっている。
妊娠しやすい時期に精子を子宮内に注入する【人工授精】

卵子を取り出して体外で精子と受精させて子宮に戻す【体外受精】
顕微鏡を見ながら精子を卵子に注入する【顕微授精】などが今回保険対象になった。
関係学会が有効性を認めた治療法に原則限定される。

それ以外の技術による治療は自由診療とみなされ全額自己負担になる事は注意がいる。
治療はカップル実情に合わせたオーダーメイド対応がもとめられる。
保険適用されない先進的な治療法を選択せざるを得ないケースもあるからだ。

国や地方自治体はこうした自由診療にあたる部分にも補助制度を設けていた。
保険対象拡大でそれが廃止されてしまい、場合によっては自己負担が逆に重くなる。
政府や自治体は個別事情に応じた補助制度を存続すべきだ。
国民が負担する保険料で費用がねん出され行政は補助金を出さなくて済むような仕組みにしただけでは改善とは言えない。

体外受精については治療開始時に女性が40歳未満なら6回まで40歳以上43歳未満は3階までに補助対象が限られている。
高齢化すれば治療効果が低くなり流産リスクが高まるためという理由は理解できる。
だが対象を年齢で区切る事は再検討を求めたい。
出生率は1.30で6年連続で低下したが5歳刻み年齢別では40~44歳の出生率の伸びがいちばん高く出生数も唯一前年を上回った。
40~44歳が産んだ子供は5万人に近いので年齢一律に判断せず、個別事情に応じた対応がもとめられている根拠と言えよう。

不妊検査・治療にかかる費用の目安
検査=ホルモン血液検査、精液検査、子宮卵管造営など
~22年3月末と22年4月以降=合計数万円(以前から保険適用)
タイミング法=超音波で排卵日を予測し、自然妊娠を目指す。
~22年3月末と22年4月以降=5000円未満


人工授精=精子を子宮内に人工的に送る
~22年3月末1~4万円程度・22年4月以降1万円未満


体外受精=体外で受精させた受精卵を子宮内に移植する
~22年3月末40万円程度・22年4月以降14~20万円