『空き家問題』

『建売住宅の在庫25%増』
『相続土地処分に困ったら国が引き取り』
『高齢者きしむ終の棲家』

『住宅が社会保障になる日』

 

『空き家問題』


宅地の優遇税を見直す企業が相次いでいる。
神戸市・尼崎市・京都市は新税を設ける。
家屋がある土地を対象とした固定資産税の優遇を見直し倒壊など危険がある空き家は対象から外す。非住宅用地に変更すると税額は3~4倍程度に跳ね上がる。固定資産税の優遇は高度経済成長時期に農地などの宅地化を進めるために導入されたが、それが今では空き家放置の要因になっている。


課題として住宅とみなせないと判断する線引きが難しく国に基準を示すべきです。
財政負担なく危険な空き家を減らす手立てが無いのが現実だ。
空き家が長期化すると所有者が改修費を工面できなかったり死亡してしまったりする場合もある。京都市は管理行き届いていない物件など1万3000件を課税対象とする【別荘空き家税】を考えていく。

空き家解体費用の目安として密集地と非密集地でわける木造180万・150万 鉄鋼造210万・170万 鉄筋コンクリート造280万・230万円
仙台市は倒壊の恐れがある特定空き家に指定されると50万円
神戸市は1981年5月以前に着工し家屋に腐朽・破損がある100万円
墨田区は柱が傾くなど住宅地区改良法の不良住宅に該当50万円

『建売住宅の在庫25%増』

建物住宅の在庫を含む棚卸資産は2021年度12月末で前年比25%増えた。
新型コロナを機に住宅販売が好調で減った在庫の埋め戻しと原材料高が続く中で在庫を確保できるか?が今後の収益を左右する。
飯田GHD・ケイアイスター不動産・オープンハウスGの3社合計棚卸資産は21年12月末時点で1兆41億円と20年12月末より25%増えた。
今後は資材や建材不足で着工が鈍れば適切な在庫住宅が確保できなくなり売り上げ減少と共に望まぬ在庫回転日数の短縮を招く恐れもある。

 

『相続土地処分に困ったら国が引き取り』


国が引き取らない条件は建物がある・担保権などが設定されている・樹木、工作物などがある、隣人トラブルがあると引き取りません。
2021年4月に新法が成立し、23年4月27日に施行し、空き家・土地油笛不明者対策などに政策を考える。
23年4月申請受付開始→申請手数料を納付し、法務局に申請→実地調査し法務局が審査→負担金は10年分の管理費相当額で申請者が負担金納付→国庫に帰属。

『高齢者きしむ終の棲家』

長寿命化により修繕回数は増え、工事単価も10年で2割上昇する二重苦。
賃貸住宅でもオーナーの7割が高齢者の入居拒否感を抱く。
入居中の孤独死でその後の賃貸が難しくなり、認知症から他の入居者とのトラブルになる。
さらに高齢のオーナーは長期間をかけて投資回収が難しい。
バリアフリー化工事も慎重で高齢者の入居に適した物件絶対数が増えにくい。
60歳以上の2人以上世帯の持ち家率は2021年で90%を超える。

2020年と1980年で比較すると単独世帯は19.8%から38%となり、夫婦と子、3世代世帯の割合は大幅に減った。かつて家の修繕費は世代リレーだったが現在は高齢者が晩年まで払う。
これらの社会状況から学生の孤独感と高齢者の見守り両立を目指す賃貸住宅なども出てきている。

 

『住宅が社会保障になる日』

日本の社会保障メニューは6つあり年金・医療・介護・障碍者福祉・生活保護・子育て支援だが欧州では『住宅』がある。

日本で言えば生活保護一部である住宅扶助と離職などで住まいに困った人2つ。
欧州の多くの国では公的な住宅手当があり、所得・世帯要件を満たせば必ず得られる権利とされている。フランスでは2割の人が住宅手当を受給されている。

 

高度経済成長であれば終身雇用で守られ福利厚生で企業独自の住宅手当を支給された。

不安定な非正規雇用が増加し、高齢化と世帯の変化から就職氷河期世代で不安定な雇用が続き、結婚もしていない人が2030年には60歳に到達し始める。
家族の支えがなく低年金の単身高齢者が急増すれば住まいの確保は社会問題になる。
ひとり親世帯の割合も9%と1980年5.7%から上昇した。
17年に住宅セーフティネット法が施行され高齢者・子育て世帯・障碍者らの入居を拒否しない事を条件に賃貸住宅の家主に耐震化やバリアフリー化の改修費用を補助する制度だ。
65歳以上の人口が最多になる40年問題に備え住宅政策の刷新が必要だ。

全国で800万戸を超す空き家を活用し高齢者の見守り機能がある公営住宅を確保し、月数万円の住宅手当と2本柱とする。
生活保護世帯だけでなく、賃貸住宅に住む低所得世帯や親元から離れて暮らす大学生らも給付対象とすべきではないか?

住宅ローン減税の廃止で数千億円規模の財源になるのだが、家賃負担に苦しむ人が増えるのに持ち家取得者に巨額の支援を続けるのはバランスを欠くとの声もある。

住宅業界もだが若い世代との対立を喚起しかねない。